茶道具の建水(けんすい)に付いて、お話致します。
建水は、茶碗を清めたり、温めたりした時に使った、湯や水を、捨てる為に使います。
通称「こぼし」と言い、水下(みずこぼし)とも書きます。
・ 建水は、最も格の低い、脇の道具として、点前の際は、勝手付に置かれ、客からは、見えにくい
所で使われます。会記でも、最後尾の、一段下げた所に、記されます。
1) 建水の材質
材質からの分類すると、金属、陶磁、木竹の3種類に、区別できます。
① 金属は、唐銅の他に、砂張(さはり)、毛織(モール)、七宝(しっぽう)、鍍金(ときん)、
南鐐(なんりょう)、真鍮(しんちゅう)などが使われます。
② 陶磁には、南蛮焼、ハンネラ、染付、朝鮮系、備前焼のほか、瀬戸焼、信楽焼、伊賀焼、丹波焼、
唐津、織部、京焼などがあり、その産地、形状とも多種多様で、一定の形は有りません。
・ 日本に渡来した南蛮陶の産地としては、ベトナムや、タイ、又は、中国南部の物や、朝鮮半島の
焼き物が、南蛮物とされている例もあります。南蛮陶には、施釉物と無釉の物とが有ります。
③ 木竹は、「曲(まげ)」と言われる物で、最も素朴で、清浄感のある木地(きじ)曲のほか、
塗曲、蒔絵、箔押しを施したもの、また竹や、桜皮を周囲に、張り巡らせた物もあります。
2) 建水の形
形状は筒型や桶型、壺型など、湯を捨て易い様に、口は大きく、開いている物が、ほとんどです。
建水の形 ‥形としては、昔より「七種建水」と、呼ばれる物があります。
① 大脇差(おおわきざし)… 利休愛用の形と言い、黄瀬戸が好まれました。
いつも、腰の傍らに、置いたので、腰につける脇差に、連想して名付けられたと、思われます。
胴が捻貫の様に、成っている円筒形で、やや背の高いものです。
② 差替(さしかえ)、… 大脇差の小形の物です。
③ 棒の先(ぼうのさき)… 駕篭等の、担ぎ棒の先端につける、金具の形からの命名です。
④ 槍の鞘(やりのさや)… 槍の穂先に、かぶせる鞘の形に、似ています。
⑤ 箪瓢(たんぴょう)… 瓢箪(ひょうたん)を逆さまにした形です。
⑥ 餌 畚(えふご)… 鷹匠(たかしょう)が持つ、鷹の餌入れの形。
⑦ 鉄 盥(てっぱつ)… 浅くて、低い平建水。
その他の形として、
⑧ 合 子(ごうす)… 本来は、蓋物の容器のことですが、建水の場合は、蓋物の身の方を、指します。
⑨ 毛 織(もうる)… 袋形で、口縁の下に、「くびれ」があり、胴には、連弁の彫文、口に唐花、
唐草の打出し文様が、施されています。
(チベットでは、この形の容器のことをモールと呼んでおり、 建水の場合には、材質と形と
両方の意味で、モール建水と呼んでいます。)
以下次回に続来ます。
建水は、茶碗を清めたり、温めたりした時に使った、湯や水を、捨てる為に使います。
通称「こぼし」と言い、水下(みずこぼし)とも書きます。
・ 建水は、最も格の低い、脇の道具として、点前の際は、勝手付に置かれ、客からは、見えにくい
所で使われます。会記でも、最後尾の、一段下げた所に、記されます。
1) 建水の材質
材質からの分類すると、金属、陶磁、木竹の3種類に、区別できます。
① 金属は、唐銅の他に、砂張(さはり)、毛織(モール)、七宝(しっぽう)、鍍金(ときん)、
南鐐(なんりょう)、真鍮(しんちゅう)などが使われます。
② 陶磁には、南蛮焼、ハンネラ、染付、朝鮮系、備前焼のほか、瀬戸焼、信楽焼、伊賀焼、丹波焼、
唐津、織部、京焼などがあり、その産地、形状とも多種多様で、一定の形は有りません。
・ 日本に渡来した南蛮陶の産地としては、ベトナムや、タイ、又は、中国南部の物や、朝鮮半島の
焼き物が、南蛮物とされている例もあります。南蛮陶には、施釉物と無釉の物とが有ります。
③ 木竹は、「曲(まげ)」と言われる物で、最も素朴で、清浄感のある木地(きじ)曲のほか、
塗曲、蒔絵、箔押しを施したもの、また竹や、桜皮を周囲に、張り巡らせた物もあります。
2) 建水の形
形状は筒型や桶型、壺型など、湯を捨て易い様に、口は大きく、開いている物が、ほとんどです。
建水の形 ‥形としては、昔より「七種建水」と、呼ばれる物があります。
① 大脇差(おおわきざし)… 利休愛用の形と言い、黄瀬戸が好まれました。
いつも、腰の傍らに、置いたので、腰につける脇差に、連想して名付けられたと、思われます。
胴が捻貫の様に、成っている円筒形で、やや背の高いものです。
② 差替(さしかえ)、… 大脇差の小形の物です。
③ 棒の先(ぼうのさき)… 駕篭等の、担ぎ棒の先端につける、金具の形からの命名です。
④ 槍の鞘(やりのさや)… 槍の穂先に、かぶせる鞘の形に、似ています。
⑤ 箪瓢(たんぴょう)… 瓢箪(ひょうたん)を逆さまにした形です。
⑥ 餌 畚(えふご)… 鷹匠(たかしょう)が持つ、鷹の餌入れの形。
⑦ 鉄 盥(てっぱつ)… 浅くて、低い平建水。
その他の形として、
⑧ 合 子(ごうす)… 本来は、蓋物の容器のことですが、建水の場合は、蓋物の身の方を、指します。
⑨ 毛 織(もうる)… 袋形で、口縁の下に、「くびれ」があり、胴には、連弁の彫文、口に唐花、
唐草の打出し文様が、施されています。
(チベットでは、この形の容器のことをモールと呼んでおり、 建水の場合には、材質と形と
両方の意味で、モール建水と呼んでいます。)
以下次回に続来ます。