わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器と色彩 5 (色彩心理 1)

2010-12-19 21:29:59 | 陶磁器と色彩
色の種類に拠って、人はどの様な、感覚を抱くかの研究は、かなり以前より、行われています。

1) 色が与える印象

 ① 暖色、寒色、中性色

   目で見た色を、あたかも皮膚で感じる様に、温度差が実感されます。

  a) 暖色: 赤や橙系統の色は、暖かさを感じる色です。

  b) 寒色: 青系統の色は、冷たい感じの色です。

  c) 中性色: 暖色、寒色に含まれない色です。緑、紫、グレーなどです。

  明度(明るさ)が高いと、やや冷たく感じ、彩度(鮮やかさ)増すと、より強く、寒暖差を感じます。

  同じ温度の液体に、色々な色を付け、その中に指を差込、温度を実感して貰った所、以下の様な結果が

  出ました。暖かい順は、赤、橙、黄、緑、菫(すみれ)、黒、青、白との事です。

  お風呂の、浴槽や壁のタイルを、暖色にすると、寒色にした時よりも、3℃ほど暖かく感じたとの

  研究が、報告されているそうです。

 ・ なぜ、色に温度差を、感じるのかは、人類の歴史的な経験が、影響している為です。

   即ち、太陽や炎は、赤、橙の色をしています。それ故、これらの色は、太陽や、炎を連想させて、

   暖かく、感じるのです。

   一方、青や青緑は、水や日陰などを、連想させる為、冷たく感じるのです。

 ・ 但し、この様に感じるは、必ずしも全ての人に、当てはめる物では、有りません。

   「赤は冷たい」「青は暖かい」と感じる人もいます。そこには、何らかの、心理的影響が、ある

    からです。例えば、青は晴天の空の色で、幸の色、暖かい色と、連想される訳です。

 ② 重く感じる色、軽く感じる色

   同じ重さの物も、色によって、重みに差が出る様に感じます。

  a) 明るい色ほど、軽く感じ、暗い色ほど、重く感じます。同じ重さの、黒い色の物は、白い物

    に対して、1.87倍重く感じるとの、研究も有ります。

  b) 但し、上記の研究は、見掛け上の重量比で、実際に、両方で持った感じでは、さほどの差は、

    感じられないとの事です。

  c) 色による重量感の差は、「シャルパンティエ効果」が、関係していると、言われています。

    この効果は、同じ重さの物でも、形が大きい物は、軽く感じられるという事です。

    昔、子供の頃、「鉄100貫と綿100貫では、どちらが重い?」と言う、なぞなぞをした事が

    有ると思います。「鉄100貫」と答えてしまい勝ちです。綿は白く軽い物との、先入観があり、

    鉄は、黒く重い感じがするからです。

   ・ 重量感の差については、「明度以外は、さほど関係がない」、と言う説が有力です。

 ③ 興奮色と鎮静色

   色には、人を興奮させる色と、気分を落ち着かせる、鎮静色が有ります。

   a) 色の「彩度」の影響が大きいです。

     「色相」や「明度」も関係しますが、「彩度」の影響が特に強く、「彩度」が高くなると、

     興奮感が強く成ります。

   b) 「色相」では、赤と赤紫が、興奮色で、橙、紫が中性色、寒冷色の「青み」が増すほど、

     又、暗く濁る程、鎮静感が増します。

   c) 「赤」など、鮮やかな暖色系は、交感神経を刺激して、血圧や脈拍を上げます。

     人類が、狩猟で生活をしていた頃、「赤」は傷ついた獲物の鮮血を、指していました。

     獲物に、立ち向かうには、血圧や脈拍を上げて、戦闘態勢をとる必要が有ります。

     その遠い記憶が、現在にも作用していると、考えられます。

  ④ 進出色と後退色   

以下次回に続きます。

 色彩心理
   
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