備前焼の焼き締め陶器には、緋襷(ひだすき)や牡丹餅(ぼたもち)等の色違いによる文様を持つ
作品と、無地の焼き締め陶のもの、更には灰を被りその灰が胡麻(ごま)と呼ばれる各種の変化を
起こした窯変の作品があります。
作品の種類も多く、壷、板皿、花入れ、水指、徳利などの酒器、食器などがあります。
本来は、薪による低い温度で長時間の焼成ですが、ガスや電気窯でも焼成する事が出来るのが、
匣鉢焼成です。
1) 備前焼きの土。
① 粘りのある黒色の土で、良く焼き締まる土ですが、高価な上、希少な土ですので、本物は
ほとんど手に入らなくなっています。現在市販されている土は、合成備前と呼ばれる土です。
黒く焼き上がります。信楽や越前その他の赤土を使用しても、備前焼と同じ様な風合いの作品に
成ります。但し、備前土は収縮率が20%程度あり、信楽などの12~13%とは大きく異なります。
収縮率が大きい事は、土が良く焼き締まりますので、焼成後に水漏れを起こす事は少ないです。
一方信楽の土では、水漏れの恐れが生じますので、花瓶など常に水を貯めておく器では、
内側のみ施釉を施した方が良いでしょう。
② 緋襷の作品には、白く焼き上がる土を使うと、緋色の赤がより効果的に表現されます。
黄ノ瀬、最上(もがみ)等の粘土に白信楽土や、伊賀の白い土を3割程度混ぜて使うと良いで
しょう。
2) 本物の備前の土は、急激な温度変化に弱く、じっくり時間を掛けて、温度上昇する必要が
あります。更に、やや高い温度(1000℃程度)で素焼きを行ってから、1230℃で長時間本焼
する必要があります。この事からも、匣鉢焼成では本物の備前土を使うよりは、他の類似の土を
使う法が得策です。特に他の施釉陶器と一緒に焼成する場合には、断然有利になります。
3) 備前焼の花入れ。(徳利などにも応用できます)
備前焼を代表する花器で、黒い肌の所々に茶褐色や赤いの色が現れる花入れです。
筒型の物、壷型の物など種類も多いです。
① 匣鉢に詰める。
匣鉢の方法は前回お話した、古信楽焼きの場合とほぼ同じです。作品の大きさや高さに合わせて
匣鉢を選びます。
) 花入の正面になる処に、水で溶いた天然灰と「CMC」を混ぜた液体を、筆や刷毛で
厚めに塗り込みます。(木灰は乳鉢で良く磨り潰すことで、完全に熔ける様にします。)
) 匣鉢の底に珪砂を一面に敷きます。
) 匣鉢の周囲に藁(わら)を10本程度丸めて入れます。緋色を得る為です。
) 作品を匣鉢に入れ、その隙間に木炭を入れます。作品と木炭は接触させます。
特に灰を厚く塗った場所には、大き目の木炭を入れます。高温を長く持続させ、灰を熔かす
為です。更に、強還元焼成する事で、金色や銀色に発色する事もあります。
木炭の入れる場所によって、茶褐色の出る場所が変化します。
(茶褐色は木炭の少ない場所で発色する様です。)
) 匣鉢に蓋をして完了です。
蓋は外気が入らない様に密封状態にいます。
② 匣鉢の窯出し。
作品の表面や底に付いた、藁などの燃えカスを取り除き、「紙(布)ヤスリ」で異物や「バリ」
を取り除きます。
花瓶に水を八分目ほど入れ、テーブルの上に放置し、水漏れが無いかを確認します。
ポタポタ漏る様ですと、穴が貫通しています。表面に汗をかいた状態では、側面から水がにじみ
出ていますので、水漏れ防止剤などで処理します。表面に汗が出なくても、花瓶を退かした後に
花瓶の底の形の濡れが生じている場合は、「しもる」状態ですので、水漏れを防止をします。
器の表面と底に濡れた跡が無ければ、花瓶として一応合格です。
4) 牡丹餅を焼く。
以下次回に続きます。
作品と、無地の焼き締め陶のもの、更には灰を被りその灰が胡麻(ごま)と呼ばれる各種の変化を
起こした窯変の作品があります。
作品の種類も多く、壷、板皿、花入れ、水指、徳利などの酒器、食器などがあります。
本来は、薪による低い温度で長時間の焼成ですが、ガスや電気窯でも焼成する事が出来るのが、
匣鉢焼成です。
1) 備前焼きの土。
① 粘りのある黒色の土で、良く焼き締まる土ですが、高価な上、希少な土ですので、本物は
ほとんど手に入らなくなっています。現在市販されている土は、合成備前と呼ばれる土です。
黒く焼き上がります。信楽や越前その他の赤土を使用しても、備前焼と同じ様な風合いの作品に
成ります。但し、備前土は収縮率が20%程度あり、信楽などの12~13%とは大きく異なります。
収縮率が大きい事は、土が良く焼き締まりますので、焼成後に水漏れを起こす事は少ないです。
一方信楽の土では、水漏れの恐れが生じますので、花瓶など常に水を貯めておく器では、
内側のみ施釉を施した方が良いでしょう。
② 緋襷の作品には、白く焼き上がる土を使うと、緋色の赤がより効果的に表現されます。
黄ノ瀬、最上(もがみ)等の粘土に白信楽土や、伊賀の白い土を3割程度混ぜて使うと良いで
しょう。
2) 本物の備前の土は、急激な温度変化に弱く、じっくり時間を掛けて、温度上昇する必要が
あります。更に、やや高い温度(1000℃程度)で素焼きを行ってから、1230℃で長時間本焼
する必要があります。この事からも、匣鉢焼成では本物の備前土を使うよりは、他の類似の土を
使う法が得策です。特に他の施釉陶器と一緒に焼成する場合には、断然有利になります。
3) 備前焼の花入れ。(徳利などにも応用できます)
備前焼を代表する花器で、黒い肌の所々に茶褐色や赤いの色が現れる花入れです。
筒型の物、壷型の物など種類も多いです。
① 匣鉢に詰める。
匣鉢の方法は前回お話した、古信楽焼きの場合とほぼ同じです。作品の大きさや高さに合わせて
匣鉢を選びます。
) 花入の正面になる処に、水で溶いた天然灰と「CMC」を混ぜた液体を、筆や刷毛で
厚めに塗り込みます。(木灰は乳鉢で良く磨り潰すことで、完全に熔ける様にします。)
) 匣鉢の底に珪砂を一面に敷きます。
) 匣鉢の周囲に藁(わら)を10本程度丸めて入れます。緋色を得る為です。
) 作品を匣鉢に入れ、その隙間に木炭を入れます。作品と木炭は接触させます。
特に灰を厚く塗った場所には、大き目の木炭を入れます。高温を長く持続させ、灰を熔かす
為です。更に、強還元焼成する事で、金色や銀色に発色する事もあります。
木炭の入れる場所によって、茶褐色の出る場所が変化します。
(茶褐色は木炭の少ない場所で発色する様です。)
) 匣鉢に蓋をして完了です。
蓋は外気が入らない様に密封状態にいます。
② 匣鉢の窯出し。
作品の表面や底に付いた、藁などの燃えカスを取り除き、「紙(布)ヤスリ」で異物や「バリ」
を取り除きます。
花瓶に水を八分目ほど入れ、テーブルの上に放置し、水漏れが無いかを確認します。
ポタポタ漏る様ですと、穴が貫通しています。表面に汗をかいた状態では、側面から水がにじみ
出ていますので、水漏れ防止剤などで処理します。表面に汗が出なくても、花瓶を退かした後に
花瓶の底の形の濡れが生じている場合は、「しもる」状態ですので、水漏れを防止をします。
器の表面と底に濡れた跡が無ければ、花瓶として一応合格です。
4) 牡丹餅を焼く。
以下次回に続きます。