わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 40 匣鉢焼成(備前焼風2)?

2014-12-02 22:38:06 | 素朴な疑問
4) 牡丹餅を焼く。

  主に平たい板皿の上に、故意に丸や楕円形の装飾文様の跡が付けられた焼き物です。

  重ね焼きの出来る焼き締め陶器では、板皿の上に茶碗や徳利など、底の面積の狭い作品を載せて

  本焼きする事ができ、その上の作品を取り除いた後に、底の形がくっきり残ります。

  即ち、底の部分には燃料の灰が降り掛かる事が無く、素地の色がそのまま残ります。作品が

  上に載らなかった部分は、灰が降り掛かり胡麻(ごま)と呼ばれる灰の熔けて出来た自然釉が

  掛かる事になります。その色の対比が見所と成る作品が、牡丹餅と呼ばれる作品です。

  匣鉢焼成でも、薪窯と同様な牡丹餅の作品を焼く事が出来ます。

  尚、ガス窯であれば、匣鉢を使わずに牡丹餅を焼く事も可能です。即ち、皿の上に食器や徳利を

  載せ、灰を振り掛ける事により、焼く事が出来ます。但し匣鉢では強還元焼成と成る為、灰の色

  が緑掛り綺麗に発色します。 酸化気味の場合は黄色くなります。

 ① 使用する粘土。

   備前焼きですから、本来備前の土を使いたいですが、入手困難な事と取り扱いがやや不便な為

   一般的な信楽等の赤土を使う方が良いかも知れません。尚、備前の土を使う場合には、素焼き

   を行う事です。

 ② 板皿は「ひびや割れ」が入り易く、乾燥や焼成で変形し易いですので、しっかり土を締める

   必要があります。

  ) 一般にタタラ板を使い、粘土の塊を糸で同じ厚みに切り出しますが、正方形又は長方形に

   切り出した後、更にローラーを掛けて土を締めます。その他、0.6~1.0cmの深さのある木枠を

   使い、叩き棒で強く叩き、更にローラーを掛けて厚みを均一にする方法があります。

  ) 制作時の粘土の厚みは、作品の大きさによって違いがありますが、1.0cm以下が一般的

   です。

  ) 土を締めるのは、単に上下方向だけでなく、四辺の端面を中央部に押し当て縁に厚みを

   付けます。一見肉厚の皿に見える利点もあります。

  ) 皿の四隅や周辺を持ち上げたりして、使い勝手の良い皿にします。

   板皿に脚を付ける場合は、脚の位置が問題に成ります。即ち、高温で素地が若干柔らかくなる

   為、板皿が変形し易くなります。出来れば皿の上に作品が載りますので、脚無しの方が安全

   です。

  ) 当然ですが、皿の上に置く物は作品である必要はありません。道具土で適当な大きさの

   円盤を作り、載せる事も出来ます。円盤の形を色々な形にすれば、その形が抜け文様として

   現れます。

 ③ 匣鉢に詰める。

  匣鉢は四角い形で高さの低いものを使います。大きさは皿の他に木炭を入れますので、大き目の

  物を使います。小さ過ぎると緋色などが出難くなります。

  ) 匣鉢に藁(わら)を敷き詰める。(珪砂は使いません)

    長い藁を輪にして底に敷き平らにします。藁の量はやや多目にします。

  ) 藁の上に板皿を載せます。更に、皿の上に短く切った藁を数本並べます。

    この藁の上に道具土で作った薄い円盤を載せます。この短い藁も緋色に発色しますので、

    藁と円盤の配置も重要に成ります。円盤はなるたけ板皿に密着させ、灰が隙間から入らない

    様にします。逆に、円盤の縁を若干浮かせる事で、牡丹餅の境目を「ボカス」事もできます

  ) 天然灰を掛ける。一般に天然の松灰を使います。

    灰は乳鉢で良く磨り潰します。この灰を茶漉しや篩(ふるい)で皿の上に振掛けます。

    一様ではなく、濃淡を付けると変化のある景色に成ります。濃い部分は胡麻と呼ばれる

    色になります。円盤の上に掛かった灰はそのままにしておきます。

  ) 木炭を詰める。

    皿の周辺に木炭を多目に入れます。更に、円盤の上にも一塊の木炭を置きます。

  ) 匣鉢に蓋をして完成です。

    匣鉢を密封せずに少しの隙間を設ける事で、空気が入り込み、良く炭が燃える事で、高温に

    なります。匣鉢の中は強還元ですので、灰は緑色になるはずです。

 ④ 窯出 し。

  ) 蓋を開けると作品が目に飛び込んできます。一目見て焼き上がりの状態が見て取れます。

    灰が濃く掛かり、良く熔けている場合は、緑色の胡麻が出ます。

  ) 藁や木炭の燃えカスを取り除き、道具土で作った円盤を取り除くきます。

    円盤の下には、藁の燃えカスと灰の掛からない円盤の跡が見られます。

  ) 皿上の燃えカスは刷毛で払い退けます。藁の緋色が出ているかを確認します。

    皿の底の部分も刷毛で払い取ります。

  ) 最後に紙ヤスリを使って「ばり」や異物を削り取ります。

 ⑤ 焼き上がった作品を見て、反省点などの検討し、次回の参考にします。

5) 緋襷(ひだすき)を焼く。

以下次回に続きます。    
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