わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 44 匣鉢焼成(窯への入れ方)?

2014-12-08 22:21:09 | 素朴な疑問
前回までに、匣鉢に詰める方法に付いては、述べて来ましたが、匣鉢をどの様に窯に詰めるかは、

お話していませんでした。匣鉢を窯で焼成する場合、匣鉢のみを積み上げて焼成する方法と、匣鉢と

他の作品を裸火で一緒に焼成する方法があります。勿論、小さな窯で匣鉢が一個しか入らない場合は

選択の余地はありません。

1) 匣鉢のみで焼成する場合。

 ① 最下段に棚板を使用しますが、それ以外は匣鉢を積み上げて窯詰めします。

  最下段の棚板はその下に空間を作り、熱が底の方からも当たる様にする為です。

 ② 匣鉢を積み上げる際、丸い円柱型の匣鉢では隣同士密着させても、その間には必ず空間が

   出来ますので問題有りませんが、四角い匣鉢の場合は、密着させると、隙間が出来ませんので

   熱の伝わり方がバラツキます。その為に指一本程度の隙間が必要です。

 ③ 匣鉢の上に直接他の匣鉢を載せる事は可能ですが、下の匣鉢に重量が掛ますし、上下の匣鉢

   の間が密着しますので、匣鉢全体に熱が伝わり難くなる場合があります。その為なるたけ、

   各匣鉢は、棚板の上に載せた方が良いと思われます。

 ④ 匣鉢に大小が有る場合、大きい匣鉢を下段にし、上段に行くほど、小さくて軽い匣鉢を積み

   上げて、全体の安定感を出します。

 ⑤ 狭い空間での窯詰めでは、窯の壁に匣鉢をぶつける事があります。特に電気窯の場合発熱体を

   痛める事に成りますので、慎重に窯詰めします。

2) 他の施釉陶と一緒に焼成する場合。

 ① 重たい匣鉢は手前側の下段に窯詰めします。即ち、重たい匣鉢を出し入れの為に、多く移動

  させたくない為と、出し入れがし易い為です。

 ② 当然ですが、施釉陶と匣鉢に詰められた作品の焼成温度は同じです。しかし、匣鉢に入れた

   木炭や籾殻などが燃え、匣鉢内部の温度の方が、高温に成る事は稀ではありません。

 ③ 匣鉢の蓋との間に空気が通る隙間を設けると、木炭の焼成による還元焼成の雰囲気が、窯全体

   に行き渡り、その影響で、施釉陶が還元焼成に成り易いです。

 ④ 匣鉢内部の木炭が燃える為には、多くの空気が必要です。電気窯の様に屋内で焼成する場合

   には、換気扇を回し新鮮な空気を外部より取り入れないと、一酸化中毒の事故に繋がります

   ので、くれぐれも注意する事です。

3) 窯出 し。軍手の着用をお勧めします。

 匣鉢を取り出す際には、蓋を取り除いてから本体を引き出します。特に棚板を蓋として利用した

 場合、重たい棚板は慎重に取り除いてから、本体を取り出します。

 その後に施釉陶を窯出しします。

4) 匣鉢の掃除。

  作品を取り出したら、匣鉢内の燃えカスや灰、珪砂などを綺麗に取り除きます。

  釉などが珪砂に硬く固着した場合には、金属製の箆(へら)やダイヤモンドやすり、砥石などを

  使い、綺麗に取り除いておきます。

5) 匣鉢は市販されていますが、ご自分でも道具土を使って作る事も出来ます。

  電動轆轤で作る事ができます。市販品で飽き足りない方は、自作すると良いでしょう。

以上にて、匣鉢焼成の話を終わります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする