わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の失敗と対策 5 (釉の煮え、釉が流れる)

2009-02-02 18:12:48 | 失敗と対策
7) 釉が煮える。

  部分的に、火の温度が高い場合や、長時間一部に炎が当たり続け、釉が沸騰する現象です。

  釉が煮えて、固まると、ピンホールが出来、穴の壁は薄く、釉が流れて、

  光沢の無い斑点に成ります。 又、釉の表面が、凸凹する場合も有ります。

  対策:

  a) 窯詰めで、常に同じ位置の作品が、煮える場合には、窯の構造上の欠陥か、

    窯焚きの仕方に、問題があるかです。 焚き方の仕方を変えて下さい。

  b) 窯詰めの仕方をかえる。

    炎の出る窯では、炎の通り道を考慮し、窯の中の温度が、均一に成る様にします。

    又、作品間の隙間を、極端に、狭くしたり、拡げ過ぎない事で、熱の伝わりを、均一にします。

  ・ 一般に、作品間の隙間は、指一本が通る程度にします。

  ・ 棚板上の作品の数や、作品の大小(高い低い)、棚板の上下の隙間も、

    重要な要素に成ります。

  c) 最高設定温度を下る。

     焼成温度が、高すぎた場合にも、煮えますから、温度を下げます。
  
  d) 釉の構成を変える。

    焼成温度が、設定通りだが、それでも、煮える場合、釉が熔け過ぎですので、釉に珪酸や、

    アルミナを多くし、熔け難くします。

    又、亜鉛華やマグネシア、石灰は、釉の粘土を増します。

8) 釉が流れ落ちる。

   釉はある温度に成ると、ガラス質に成ります。殆どの釉は、大なり小なり、流れます。

   それ故、高台の下から2~3mmは、釉を塗りません。

   しかしながら、釉が流れ、棚板まで落ち、棚板と固着する場合が有ります。

   (蛇足ですが、作品が棚板に固着した場合、棚板の裏から、木槌等で叩き、衝撃を与えると、

    棚板に塗られた「アルミナコーチング」と伴に、剥がれます。

    「アルミナコーチング」は、強固ですので、「ダイヤモンド、ヤスリ」や「グラインダー」で

    削り取ります。)

  原因:

    釉を厚く掛け過ぎた場合、釉の調合が悪い場合、窯の中の温度が、極端に不均衡の場合に

    に起こります。

  対策: 釉の粘度を大きくします。

   a) 珪酸(珪石、珪砂)を増やす。

   b) 釉に「アルミナ」の成分を、増やす。

   c) 珪酸、「アルミナ」両方の成分を、増やす。

     (逆に言うと、「アルカリ」成分を少なくする事に、成ります。)
陶芸釉薬の失敗と対策 
   
釉の煮え 釉の流れ   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 釉の失敗と対策 4 (ぶく=... | トップ | 釉の失敗と対策 6 (釉の着色) »

コメントを投稿

失敗と対策」カテゴリの最新記事