2) 化粧土の「ひび割れ」に付いて。
剥がれ(剥離)は広い面積で起こりますが、網目状の「ひび割れ」では、素地から剥がれる事は
ありません。化粧土に細かい「ひび」が、キリンの文様の様に現れる現象が、素地の乾燥
中や、焼成中で発生します。基本的には剥がれと同様に、収縮率の差や化粧土の厚掛けが
主な原因です。
① 乾燥中の「ひび割れ」。
) 可塑性粘土(木節など)を多く含む化粧土は、調合の際に大量の水分を加える事になります。
乾燥に従い水分が蒸発(又は、作品に吸い込まれる)し、乾燥収縮が増大して「ひび割れ」
が発生します。それ故、粘土分を減らすか、蝋石や珪石を10~20%加え、縮む量を減らし
ます。又、白絵土を加えて、収縮度を抑える事も有効な予防方法に成ります。
) 化粧土の原料を過度に擂り潰し、粒子を細かくすると、表面積が増え水分を過剰に吸収
する様になります。 この結果、化粧土の乾燥収縮が大きくなり、「ひび割れ」を起こし易く
します。
) 素地を乾燥し過ぎる場合にも、化粧土の水分が急速に吸い取られ、「ひび割れ」を起こし
易くします。
) 化粧土を厚く塗ると、「ひび割れ」が起こり易いです。
以上の理由は、剥がれの場合と同じです。「剥がれる」か「ひび割れ」に成るかは、素地との
相性に寄って変わります。相性が悪ければ剥離し、相性が良ければ「ひび割れ」に成ります。
② 焼成中に起こる「ひび割れ」
焼成中に起こる収縮度が、素地と化粧土の差が大きく、特に化粧土の方が大きい時、化粧土
に「ひび割れ」が起こります。又、素地に粗目の土を使うと、素地の収縮が抑えられ、化粧土に
「ひび割れ」が起こります。いずれの場合でも、化粧土を厚く塗ればそれだけ「ひび割れ」が
多く発生します。
③ 使用中に口縁の化粧土が割れる場合。
本焼きまど問題なく焼き上がった作品も、使用中に化粧土の割れを起こす事もあります。
その際には共土(素地と同じ土)を10%程度化粧土に混入させます。
但し、共土が白化粧土の白色を変えてしまってはいけませんので、なるべく濃い色の土は
使わない事です。
3) 化粧土に起こる「ピンホール」と「ブク」に付いて。
以下次回に続きます。
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