わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 171 大きな作品はなぜ難しいか6?

2015-07-29 20:07:03 | 素朴な疑問
9) 大物の作品を窯詰めする時の注意。

  作品が制作出来き乾燥や施釉がなされたら、次に焼成になります。当然、大きな作品が焼ける

  窯が条件です。昔は大窯と言う共同窯を使っていましたので、大きな作品を数多く焼く事が可能

  でしたが、近年は量産品を除き、個人窯が普通ですので、大きい窯を所持している方は比較的

  少なくなっています。その為、他の窯を借りる場合もあるかも知れません。焼成の際十分容積の

  大きい窯であれば、数個の作品を同時に焼成できますが、ギリギリの大きさであれば、一個のみ

  に成る可能性もあります。

 ① 大物を窯に運ぶ時と窯詰め時の注意。

  窯の構造として、横(前)扉式、上扉式、そしてシャトル式の物があります。それぞれ一長一短

  があり、窯積めの際、死角になる部分も違いがあります。大きな作品ほど死角の範囲も広く

  なります。又、大きな作品は慎重に窯のある場所まで、移動させなければ成りません。

  一人で持ち運ぶ程度の作品から、2~3名の人手が必要な物があります。又車を使って他の場所

  に移動する場合も発生するかも知れません。いずれにしても、本焼きが済んでいない作品は、

  脆く壊れ易いです。当然部屋の出入り口は、十分広く開け放されている必要があります。

  窯までの移動の際に作品を破損する事も、結構多い事故です。

  a) 持ち運ぶ際、大きな作品は、なるべく板(亀板)などに載せた方が安全です。

   特に移動中、揺れる様な不安定な作品では、底に楔(くさび)方の粘土片を噛まし安定させる

   様にします。この楔も窯詰めの際に利用すれば、作品を安定して窯詰めする事ができます。

   場合によっては、紐などを作品に掛けて、揺れを抑える必要がある場合もあります。

  b)上扉式の窯の場合、窯詰めには作品は高く持ち上げ、なるべく水平にする必要があります。

   当然不安定な姿勢に成ります。上部より中を覗き込む事になりますので、裾広がりの作品には

   向いていますが逆三角形形の作品では、底周辺が見え難くなります。尚、大皿の様な作品では

   細い紐や糸を二本又は折り返して二本にして、皿の高台の両端に掛け、吊り下げる事で狭い

   場所でも窯詰めが可能に成ります。横扉の場合には、奥行きが死角に成りますので、後ろの

   壁との距離を間違わない様にします。安全なのはシャトル式の窯で、周囲の状態を把握しな

   がら窯詰めできる利点もありますが、他の窯よりも容積が少なくなる傾向があります。

 ② 焼成で必要な温度まで上昇させるには、窯に適量の作品が無ければなりません。

  作品が少なければ、早く温度が上昇すると考えがちですが、必ずしもその様には成りません。

  温度が上昇するには、蓄熱性が必要で蓄熱する量の作品が無いと、熱は無駄に外部に逃げて

  しまいます。但し、多く詰め込み過ぎると、火(熱)の回りが悪く、温度は確実に上昇が遅く、

  目標温度になら無い場合も多いです。

  ) 大きな作品はどうしても、窯に隙間が出来易いです。何らかの方法でこの隙間を少なく

   する必要があります。特に円形の作品はその周囲に隙間が出来ます。隙間の大きさによっては

   その場所に他の作品を置く事も可能ですが、最初から考えておかなければ適当な物は見つかり

   ません。その場合、ダミーの物質(支柱など)を置く方法もあります。

  ) 作品をどの位置に置くか。

   a) 窯の容積がぎりぎりの場合には、考える余地もありません。作品を窯詰めした場合、

    若干隙間が出た場合が問題に成ります。窯の中央に置くと、周囲の熱は均等に当たり易いで

    すので理想的ですが、他の作品を入れる際には、やや端に置いた方が隙間が広く出来易いです

   b) 高さ方向に余裕がある場合。

以下次回に続きます。
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