7) 豆鉢(ミニ鉢)について
掌にスッポリ収まる程度の大きさから、親指の指先程度の大きさまで、色々な大きさの鉢があります。
江戸時代より、小盆栽は有りましたが、近代的な小品盆栽は、松平頼壽伯爵が先駆者に成り
発展します。その盆栽に使用されたのが、豆鉢です。
注: 松平 壽(まつだいら よりなが)、1874年~1944年 高松・松平家十二代目
小品盆栽とは、樹高はおおむね20センチ以下ですが、松などの樹木の他、雑木は実もの、
花もの、草ものなど千差万別で、一般の盆栽と同じです。
① 形も一般の盆器とほぼ同じです。
丸、方形、長方形、下方、六角(亀甲型)、八角などで、縁は切立、外縁が多いです。
当然穴がありますが、ほとんどは鉢の中央になります。
② ほとんどの鉢は、絵付けや施釉がしてあり、落款(らっかん)もあります。
③ 小さいからと言って、簡単には出来ません。むしろ小さい為に、作業がやり難い事が多く、
手間隙も大きい物と、さほど差はありません。
丸形では轆轤作業が出来ますが、他の形では意外と難しく、くり抜きの技法を使う事もあります。
穴は中央に1個あるのが普通です。
8) 落款(らっかん)について
作品には、作者のサイン、即ち落款が捺してあるのが普通です。
(落款の無い作品も、当然あります。)
この落款を手掛かりに、作られた時代を特定する手段と成っています。
① 落款には、陶印や、細い棒での手書きのサイン、更には下絵付けの呉須(ゴス)で筆書きしています。
② 陶印の形も正方形、縦長形、小判形、葉(イチョウ、楓など)形、不定形など様々です。
印の枠が無く、文字のみのサインも多いです。
印影には、凸状の文字(又は紋様)と、凹状の文字があります。
③ 落款の位置は、底の裏側で足の近くが多い様です。
陶印や土に掘り込むサインの場合には、作品が完成直後の、土が軟らかい内に行います。
下絵付けでのサインは、素焼後施釉する前に書き込みます。
9) 施釉(釉薬を掛ける事)する
泥もの場合には、釉を掛けずに土の色で特色を出しますが、釉を掛ける場合には、素焼後に
掛ける事に成ります。
① 素焼の温度。一般の陶芸作品と同じ700~800℃の範囲で焼成しまます。
尚、素焼鉢として使用するには、800~900℃程度にし、若干強度を持たせます。
(温度は高い程、強度は増しますが、吸水性が悪く成ります。)
② 施釉薬の仕方。
) 一般には漬け掛けが多いです。他にガン吹き(霧吹き)の方法も見受けられます。
下絵付けをする場合は、施釉する前に終わらあせておきます。
) 釉を掛ける範囲は、外側は足の先端を残し、全てに掛けます。縁は勿論ですが、内側の上部
1~2cm程度釉を掛けます。
) 他の陶磁器類と違う点は、底に穴が開いている事です。その為、一工夫する必要があります。
一般に、器の内側は上部を除いて、施釉しません。植物にとって悪い影響を与える為です。
a) 指が入る程度の穴2個以外は、テープを貼ったり、詰め物(粘土や紙)をして穴を閉じます。
上記穴2個に指を差込、逆さの状態(縁が下向き)で静かに釉の入った容器に足まで沈めます。
・ 注意点は、指の間から空気を逃がさない事と、盆器を水平にして「ボコン」と泡を
出さない事です。空気が逃げたり泡が出ると、必要以上に釉が内側に掛ります。
b) 穴を塞がずに、逆さの状態で内側の必要の寸法まで塗ります。外側と内側の塗れる深さは
同じです。次に全ての穴を塞ぎます。縁を上に向けて、釉の容器に沈め最初に塗った場所と、
若干重なる様にします。焼成時棚板に接する部分は、釉を剥がします。
c) 一色の場合は、割合容易ですが、複数の色を塗り分けるには、それなりの方法を考え
なければなりません。例えば、蝋抜き、マスキング、などの方法です。
③ 釉の調合: 独自の色を出す為には、釉の研究も大切です。
基礎的な事は会得しておく必要があります。
尚、釉の種類としては、青磁、織部、瑠璃、黄色、蕎麦、金茶、海鼠釉、均釉、紫紅釉、
桃花釉、天目釉、辰砂釉、交趾(こうち)など多彩です。
以下次回に続きます。
掌にスッポリ収まる程度の大きさから、親指の指先程度の大きさまで、色々な大きさの鉢があります。
江戸時代より、小盆栽は有りましたが、近代的な小品盆栽は、松平頼壽伯爵が先駆者に成り
発展します。その盆栽に使用されたのが、豆鉢です。
注: 松平 壽(まつだいら よりなが)、1874年~1944年 高松・松平家十二代目
小品盆栽とは、樹高はおおむね20センチ以下ですが、松などの樹木の他、雑木は実もの、
花もの、草ものなど千差万別で、一般の盆栽と同じです。
① 形も一般の盆器とほぼ同じです。
丸、方形、長方形、下方、六角(亀甲型)、八角などで、縁は切立、外縁が多いです。
当然穴がありますが、ほとんどは鉢の中央になります。
② ほとんどの鉢は、絵付けや施釉がしてあり、落款(らっかん)もあります。
③ 小さいからと言って、簡単には出来ません。むしろ小さい為に、作業がやり難い事が多く、
手間隙も大きい物と、さほど差はありません。
丸形では轆轤作業が出来ますが、他の形では意外と難しく、くり抜きの技法を使う事もあります。
穴は中央に1個あるのが普通です。
8) 落款(らっかん)について
作品には、作者のサイン、即ち落款が捺してあるのが普通です。
(落款の無い作品も、当然あります。)
この落款を手掛かりに、作られた時代を特定する手段と成っています。
① 落款には、陶印や、細い棒での手書きのサイン、更には下絵付けの呉須(ゴス)で筆書きしています。
② 陶印の形も正方形、縦長形、小判形、葉(イチョウ、楓など)形、不定形など様々です。
印の枠が無く、文字のみのサインも多いです。
印影には、凸状の文字(又は紋様)と、凹状の文字があります。
③ 落款の位置は、底の裏側で足の近くが多い様です。
陶印や土に掘り込むサインの場合には、作品が完成直後の、土が軟らかい内に行います。
下絵付けでのサインは、素焼後施釉する前に書き込みます。
9) 施釉(釉薬を掛ける事)する
泥もの場合には、釉を掛けずに土の色で特色を出しますが、釉を掛ける場合には、素焼後に
掛ける事に成ります。
① 素焼の温度。一般の陶芸作品と同じ700~800℃の範囲で焼成しまます。
尚、素焼鉢として使用するには、800~900℃程度にし、若干強度を持たせます。
(温度は高い程、強度は増しますが、吸水性が悪く成ります。)
② 施釉薬の仕方。
) 一般には漬け掛けが多いです。他にガン吹き(霧吹き)の方法も見受けられます。
下絵付けをする場合は、施釉する前に終わらあせておきます。
) 釉を掛ける範囲は、外側は足の先端を残し、全てに掛けます。縁は勿論ですが、内側の上部
1~2cm程度釉を掛けます。
) 他の陶磁器類と違う点は、底に穴が開いている事です。その為、一工夫する必要があります。
一般に、器の内側は上部を除いて、施釉しません。植物にとって悪い影響を与える為です。
a) 指が入る程度の穴2個以外は、テープを貼ったり、詰め物(粘土や紙)をして穴を閉じます。
上記穴2個に指を差込、逆さの状態(縁が下向き)で静かに釉の入った容器に足まで沈めます。
・ 注意点は、指の間から空気を逃がさない事と、盆器を水平にして「ボコン」と泡を
出さない事です。空気が逃げたり泡が出ると、必要以上に釉が内側に掛ります。
b) 穴を塞がずに、逆さの状態で内側の必要の寸法まで塗ります。外側と内側の塗れる深さは
同じです。次に全ての穴を塞ぎます。縁を上に向けて、釉の容器に沈め最初に塗った場所と、
若干重なる様にします。焼成時棚板に接する部分は、釉を剥がします。
c) 一色の場合は、割合容易ですが、複数の色を塗り分けるには、それなりの方法を考え
なければなりません。例えば、蝋抜き、マスキング、などの方法です。
③ 釉の調合: 独自の色を出す為には、釉の研究も大切です。
基礎的な事は会得しておく必要があります。
尚、釉の種類としては、青磁、織部、瑠璃、黄色、蕎麦、金茶、海鼠釉、均釉、紫紅釉、
桃花釉、天目釉、辰砂釉、交趾(こうち)など多彩です。
以下次回に続きます。
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