盆器大図鑑(近代出版)を見ていると、狂いや歪みの無い作品は、高い評価を受けている様です。
特に釉の掛かっていない、裸の状態の泥ものは、一目瞭然にその良し悪しが解かってしまいます。
当然、狂いや歪みの無い盆器の製作には、高度の技術が要求されるのですが、単に技術的な問題
だけでは無く、土の性質を、理解していなければなりません。
作品が歪む原因は、乾燥する事により土が縮む事と、焼成時に土が軟らかく成る事が、原因です。
尚、主な直な原因は以下の場合です。
① タタラ(板状の粘土)は乾燥時に反りが発生します。
) タタラ単体では、空気に触れる面積の大きい方に反ります。
) タタラで作った箱状の器は、内々に反ります。即ち側面は内側に、底部は上方向に反ります。
直線的な縁も、反ると弓なりになります。
) 長手方向に長いもの程、反る量は大きくなります。
(尚、厚みに関しては、余り関係しません。)
) 乾燥の仕方によっても、大きく反り返るります。
全体を均等に、乾燥させる事と、乾燥を遅くする事によって、予防できます。
) タタラの作り方によっても、反る方向が決ります。
ローラーなどで薄く展ばすと、ロール目と直角方向に反ります。
それを防ぐ為には、一方向ではなく、四方八方に展ばす必要があります。
) 土の記憶性も関係します。大きな一枚のタタラから、各部分を切り出す際に、同じ方向に
展ばした板を使いたいです。方向がバラバラですと、各々の反りが合わず、繋ぎ目等に、
「割れ」や「ひび」が入り易いです。
② 肉厚の差によっても、狂いや歪みが発生します。
) 肉厚部は肉薄部分より、縮もうとする力が強く働きます。それ故、肉薄部が引き裂かれる様に
成り、歪みや「ひび」が入り易いです。
) 紐作りの様に、製作時に肉厚に差が出る作り方では、削り作業で均一に削る必要があります。
③ 土が焼き締まる程度に高温になると、土が若干軟らかくなります。
) 横長の作品で、背の低い物は、四隅の足だけでは持ちこたえられず、中央が垂れてきます。
それ故焼成時には、「め」を立てて、下から支える必要があります。
又、足の付け方が悪い(細すぎる、高さの狂い、足に均等の重みが掛かっていない等)と、
乾燥時や焼成時に、歪みが発生します。
) 土の耐火度(強弱)によっても、変形の割合が違います。作品を焼成する前に、
使用している土が、何度まで持ち応えられるかを、確認しておく必要があります。
前置きが長くなりましたが、本日のテーマの「盆器を作る」の話を続けます。
4) 狂いや歪みの無い作品を作る。
① 電動轆轤で作る。(昔ながらの手回し轆轤や、蹴轆轤でも同じです。)
) 轆轤作業に馴れた方は、轆轤作業で比較的容易に、作品を作る事が出来ます。
作る時間も、短時間ですので、同時に何個でも作れます。
) 基本的には、形は円形に成りますが、小さな物から大きな物まで、綺麗な形に作る事ができます。
更に、肉厚も均等に作れますので、乾燥や焼成の際の狂いや歪みが出る恐れは、少ないです。
・ 注意する事は、轆轤挽き後、手板に作品を取り上げる時に、歪みが出易い事です。特に初心者は
折角綺麗に轆轤挽きが出来たのに、手板に採る際に歪み易いです。歪みは作品の腰で直します。
) 轆轤挽きした作品は、若干乾燥後に、「カンナ」で不要な部分を削り取ります。
又、底の中央に穴を開ける事や、足を削り出す事も容易な作業です。
② タタラの貼り合わせによる方法
)貼り合わせでは、繋ぎ目が重要な場所です。この処理が上手く出来ると、狂いや歪みの
少ない作品を作る事が出来ます。
) 貼り合わせの角度も、四角で直角(90度)、六角(120度)、八角(135度)と
成ります。90度以外の角度で貼り合わせるのは、かなりの熟練を要するか、冶具(じぐ)が
必要に成ります。各角(かど)の角度が一定でないと、作品は歪んで見えます。
) 両方の貼り合わせ部に、しっかり傷(あやめ紋の傷=刻み)を付け、糊の役目の「どべ」を付け
両方を押し付けて接着します。接着部が弱いとこの部分が剥れたり、「ひび」が入り易いです。
) 仕上げ作業。どの様な作品でも、仕上げ作業に手を抜くと、良い作品はできまっせん。
貼り合わせの部分が綺麗に成るように、削ったり土を足して補正し、綺麗な角を出します。
③ タタラによる型作り。
以下次回に続きます。
特に釉の掛かっていない、裸の状態の泥ものは、一目瞭然にその良し悪しが解かってしまいます。
当然、狂いや歪みの無い盆器の製作には、高度の技術が要求されるのですが、単に技術的な問題
だけでは無く、土の性質を、理解していなければなりません。
作品が歪む原因は、乾燥する事により土が縮む事と、焼成時に土が軟らかく成る事が、原因です。
尚、主な直な原因は以下の場合です。
① タタラ(板状の粘土)は乾燥時に反りが発生します。
) タタラ単体では、空気に触れる面積の大きい方に反ります。
) タタラで作った箱状の器は、内々に反ります。即ち側面は内側に、底部は上方向に反ります。
直線的な縁も、反ると弓なりになります。
) 長手方向に長いもの程、反る量は大きくなります。
(尚、厚みに関しては、余り関係しません。)
) 乾燥の仕方によっても、大きく反り返るります。
全体を均等に、乾燥させる事と、乾燥を遅くする事によって、予防できます。
) タタラの作り方によっても、反る方向が決ります。
ローラーなどで薄く展ばすと、ロール目と直角方向に反ります。
それを防ぐ為には、一方向ではなく、四方八方に展ばす必要があります。
) 土の記憶性も関係します。大きな一枚のタタラから、各部分を切り出す際に、同じ方向に
展ばした板を使いたいです。方向がバラバラですと、各々の反りが合わず、繋ぎ目等に、
「割れ」や「ひび」が入り易いです。
② 肉厚の差によっても、狂いや歪みが発生します。
) 肉厚部は肉薄部分より、縮もうとする力が強く働きます。それ故、肉薄部が引き裂かれる様に
成り、歪みや「ひび」が入り易いです。
) 紐作りの様に、製作時に肉厚に差が出る作り方では、削り作業で均一に削る必要があります。
③ 土が焼き締まる程度に高温になると、土が若干軟らかくなります。
) 横長の作品で、背の低い物は、四隅の足だけでは持ちこたえられず、中央が垂れてきます。
それ故焼成時には、「め」を立てて、下から支える必要があります。
又、足の付け方が悪い(細すぎる、高さの狂い、足に均等の重みが掛かっていない等)と、
乾燥時や焼成時に、歪みが発生します。
) 土の耐火度(強弱)によっても、変形の割合が違います。作品を焼成する前に、
使用している土が、何度まで持ち応えられるかを、確認しておく必要があります。
前置きが長くなりましたが、本日のテーマの「盆器を作る」の話を続けます。
4) 狂いや歪みの無い作品を作る。
① 電動轆轤で作る。(昔ながらの手回し轆轤や、蹴轆轤でも同じです。)
) 轆轤作業に馴れた方は、轆轤作業で比較的容易に、作品を作る事が出来ます。
作る時間も、短時間ですので、同時に何個でも作れます。
) 基本的には、形は円形に成りますが、小さな物から大きな物まで、綺麗な形に作る事ができます。
更に、肉厚も均等に作れますので、乾燥や焼成の際の狂いや歪みが出る恐れは、少ないです。
・ 注意する事は、轆轤挽き後、手板に作品を取り上げる時に、歪みが出易い事です。特に初心者は
折角綺麗に轆轤挽きが出来たのに、手板に採る際に歪み易いです。歪みは作品の腰で直します。
) 轆轤挽きした作品は、若干乾燥後に、「カンナ」で不要な部分を削り取ります。
又、底の中央に穴を開ける事や、足を削り出す事も容易な作業です。
② タタラの貼り合わせによる方法
)貼り合わせでは、繋ぎ目が重要な場所です。この処理が上手く出来ると、狂いや歪みの
少ない作品を作る事が出来ます。
) 貼り合わせの角度も、四角で直角(90度)、六角(120度)、八角(135度)と
成ります。90度以外の角度で貼り合わせるのは、かなりの熟練を要するか、冶具(じぐ)が
必要に成ります。各角(かど)の角度が一定でないと、作品は歪んで見えます。
) 両方の貼り合わせ部に、しっかり傷(あやめ紋の傷=刻み)を付け、糊の役目の「どべ」を付け
両方を押し付けて接着します。接着部が弱いとこの部分が剥れたり、「ひび」が入り易いです。
) 仕上げ作業。どの様な作品でも、仕上げ作業に手を抜くと、良い作品はできまっせん。
貼り合わせの部分が綺麗に成るように、削ったり土を足して補正し、綺麗な角を出します。
③ タタラによる型作り。
以下次回に続きます。
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