H O N 様より以下の質問をお受けましたので、私なりにお答えしたいと思います。
(便宜上質問を二つに分けて考えます。)
◎ マット釉のカオリンの焼
1) 朝鮮カオリンを29%含む自作のマット釉で、本焼きすると釉が縮れて素地が露出します。
C M Cを5%足しても改善しないので、更にCMCを増やすか、もしくは朝鮮カオリンの何割かを
焼にしてみようかと考えています。どちらが良いでしょうか?
2) 市販の焼カオリンは1200度で焼いて粉砕してあるとの謳っているのですが、高価なので、
自分でやろうかと考えてます。しかし、これだけを1200度で焼くのももったいないので、素焼き
の800度で焼いてもそれなりの効果はあるでしょうか?
尚、焼くときはサヤに入れて焼く予定です。
明窓窯より
1) の質問
① CMC(化学のり)を釉に添加するのは、釉を素地に密着させる為です。
但し、施釉後に素地から釉が剥がれるのを防ぐ事が主目的で、高温で焼成中では釉の剥がれを
防ぐ事はほとんど効果が無いと思われます。 CMCは有機物質ですので、高温では焼失すると
思われます。
② CMCの使用方法をメーカーのカタログで見ると、0.3~0.5%程度と表記されています。
それ故5%の添加量は多過ぎると思われます。多く添加すると害があると云う記事もあります。
③ カオリンは磁土や粘土の素地に入れる事も多い素材です。即ち土の一種ですので、素地との
相性は良く、CMCを入れなくても、良く密着すると言われています。
それ故、カオリンを焼 して添加する方法が最良です。
2)の質問
① 焼成で釉が剥がれる(縮れる)主な原因は、素地と釉の収縮率の差で、釉の縮みが大きい為
です。即ち、一般に市販されいてる素地の収縮率は、12~13%程度と言われています。
一方カオリンの収縮率は1200度程度で12%程度と言われていますので、一見問題が
無い様に見えます。しかし生掛けの際には問題がなくても、素焼き後の施釉では問題になり
ます。即ち素焼きで素地は5~6%程度は縮んでいますので、本焼きでは7%程度しか縮み
ません。それ故、カオリンとの収縮差が5%前後発生します。この差が釉剥がれの原因に
なります。
② カオリンを29%添加するのは、一般的に20%以下とするのに対して、大量の割合になり
ます。カオリンは土の一種ですので、他の釉の成分が高温になるとガラス化し液体にり、
素地に張り付くのに対し、カオリンはほとんどガラス化せず液化もしません。更に大きく縮み
ますので、張り付かずに剥がれる事になります。
③ カオリンを焼する事は、予め収縮させる事になり、素地との収縮差を無くす事になります。
市販されている焼カオリンが1200℃の理由は、出来るだけ大きく収縮させる為です。
当然それ以上の温度の方が大きく収縮するのですが、1200℃以上になるとカオリンの中に
含まれる不純物と化学変化(不純物がガラス化して結合)を起こしますので、好ましくない
からです。
④ 質問にある素焼き程度の温度(800℃)で焼したカオリンも有効か? との事ですが、
十分有効に使う事が出来ます。但し1200℃に比べ収縮率が低いですので、多くの割合の
量を添加する必要があります。場合によっては100%添加しても良いのではないかと思い
ます。低い温度の焼 の方が砕き易い利点もあります。但し、カオリンを細かくし過ぎると
収縮率も大きくなります。12%程度の物が、粗目のカオリンでは8%程度の収縮になると
言うデータもあるとの事です。それ故、焼せずに粗目のカオリンを使う方法も有るかも
知れません。尚、どの程度の粗目が良いかのデータはありません。
⑤ 今回の質問とは直接関係しませんが、釉が縮れたり、剥がれる原因に釉の厚掛けがあります。
それ故、施釉時に若干薄く掛ける事で、縮れや剥がれを無くせる場合もあります。
以上、参考にして頂ければ幸いです。
(便宜上質問を二つに分けて考えます。)
◎ マット釉のカオリンの焼
1) 朝鮮カオリンを29%含む自作のマット釉で、本焼きすると釉が縮れて素地が露出します。
C M Cを5%足しても改善しないので、更にCMCを増やすか、もしくは朝鮮カオリンの何割かを
焼にしてみようかと考えています。どちらが良いでしょうか?
2) 市販の焼カオリンは1200度で焼いて粉砕してあるとの謳っているのですが、高価なので、
自分でやろうかと考えてます。しかし、これだけを1200度で焼くのももったいないので、素焼き
の800度で焼いてもそれなりの効果はあるでしょうか?
尚、焼くときはサヤに入れて焼く予定です。
明窓窯より
1) の質問
① CMC(化学のり)を釉に添加するのは、釉を素地に密着させる為です。
但し、施釉後に素地から釉が剥がれるのを防ぐ事が主目的で、高温で焼成中では釉の剥がれを
防ぐ事はほとんど効果が無いと思われます。 CMCは有機物質ですので、高温では焼失すると
思われます。
② CMCの使用方法をメーカーのカタログで見ると、0.3~0.5%程度と表記されています。
それ故5%の添加量は多過ぎると思われます。多く添加すると害があると云う記事もあります。
③ カオリンは磁土や粘土の素地に入れる事も多い素材です。即ち土の一種ですので、素地との
相性は良く、CMCを入れなくても、良く密着すると言われています。
それ故、カオリンを焼 して添加する方法が最良です。
2)の質問
① 焼成で釉が剥がれる(縮れる)主な原因は、素地と釉の収縮率の差で、釉の縮みが大きい為
です。即ち、一般に市販されいてる素地の収縮率は、12~13%程度と言われています。
一方カオリンの収縮率は1200度程度で12%程度と言われていますので、一見問題が
無い様に見えます。しかし生掛けの際には問題がなくても、素焼き後の施釉では問題になり
ます。即ち素焼きで素地は5~6%程度は縮んでいますので、本焼きでは7%程度しか縮み
ません。それ故、カオリンとの収縮差が5%前後発生します。この差が釉剥がれの原因に
なります。
② カオリンを29%添加するのは、一般的に20%以下とするのに対して、大量の割合になり
ます。カオリンは土の一種ですので、他の釉の成分が高温になるとガラス化し液体にり、
素地に張り付くのに対し、カオリンはほとんどガラス化せず液化もしません。更に大きく縮み
ますので、張り付かずに剥がれる事になります。
③ カオリンを焼する事は、予め収縮させる事になり、素地との収縮差を無くす事になります。
市販されている焼カオリンが1200℃の理由は、出来るだけ大きく収縮させる為です。
当然それ以上の温度の方が大きく収縮するのですが、1200℃以上になるとカオリンの中に
含まれる不純物と化学変化(不純物がガラス化して結合)を起こしますので、好ましくない
からです。
④ 質問にある素焼き程度の温度(800℃)で焼したカオリンも有効か? との事ですが、
十分有効に使う事が出来ます。但し1200℃に比べ収縮率が低いですので、多くの割合の
量を添加する必要があります。場合によっては100%添加しても良いのではないかと思い
ます。低い温度の焼 の方が砕き易い利点もあります。但し、カオリンを細かくし過ぎると
収縮率も大きくなります。12%程度の物が、粗目のカオリンでは8%程度の収縮になると
言うデータもあるとの事です。それ故、焼せずに粗目のカオリンを使う方法も有るかも
知れません。尚、どの程度の粗目が良いかのデータはありません。
⑤ 今回の質問とは直接関係しませんが、釉が縮れたり、剥がれる原因に釉の厚掛けがあります。
それ故、施釉時に若干薄く掛ける事で、縮れや剥がれを無くせる場合もあります。
以上、参考にして頂ければ幸いです。
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