明るい曇り空。今日も夏のような一日。
土曜日(9日)に、旧・朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)で、相当、まったり過ごした訳ですが、その日の夜は、満月。
紺青の夜空にまんまるお月様。
5月は、気持ちのよい季節ですが、1ヶ月間、ずぅっ~と気持ちのよい状態が保たれるわけではなくて、雨つづきの走り梅雨だったり、曇りがちだったりと、そんな日も多い月です。
・・・金曜日(8日)は、土砂降りの雷雨で、『カネは、貯まらないけれど、水は、溜まる会社』に勤務するワタシは、事務所前の駐車場が、まるで、湖のように、雨水で溢れている光景を、『紅茶花伝・ロイヤルミルクティ』の缶紅茶を飲みながら、しばし眺めておりました(忙しいってのに・・・)。
水のある光景っていいな・・・。
そんな風に思った訳です。
・・・で、その翌日(つまり9日)。
都内から帰宅して、洗濯物を取り込むのに縁側に出てみると、8日の雷雨で、バケツに溜まった水の中に、ぽっかりと満月が写っていて、
『あらま!お月様が身近に・・・。』
としばし、見入ってしまいました。
三島由紀夫の『春の雪』に、主人公・松ケ枝清顕が、十五歳(・・・だったかな?)の満月の夜に、水に映った月で、将来を占う儀式・・・というくだりがあって、器に写った月は、暗雲にかくれ、彼の短い生涯を暗示させるのですが、貴族(華族)って優雅ですね。
こういう未来予測をイベントとして行うあたり・・・。
たしか、『御立待ち』という行事だったと思いますが(違うかな・・・)。
土曜日(9日)に訪れた朝香宮家は、こういう風雅なこともあの邸宅で、行っていたのかどうか・・・(実際、宮家のご家族が住まわっていらしたのは、そんなに長い期間じゃなかったようですが・・・)。
日本から、貴族がいなくなって、60年余年・・・。
昭和も遠くなりました。
美しい血統が廃止されて、一見、平等になったかのように見えますが、更なる格差社会に突入し・・・、産まれながらに全てを持った『持てる者勝ち』的社会とは、似て非なるような構造の『華族制度』。
一見同じように見えるヒエラルキーだけれど、ナンだか、何処か、違うような気がする・・・。
華族制度には、消え行く美しく、儚い美しさがあるように思うのは、気のせいか・・・
水面にうつる月を見ながら・・・ふと・・・そんなことを考えたのです。