鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『冥談:京極夏彦・著』~ふとした日常のすきまに・・・~

2010-05-14 21:01:36 | Weblog
明るい晴れのような・・・くもりのような・・・。

読書は、続くよ・・・。

京極先生の著作は、ハズレが少ない。
読んで、後悔した・・・ということが、私には、ほとんどござません。

この力量は、物凄い。
たぶん・・・神懸かり・・・。

好みの問題かとも思うけれど、少なくとも、ワタシには、小説の神様だと思っております。

以前は、文庫版にして、厚さ50mmをゆうに越える長編小説が、本屋さんの棚に並んだ光景は、他の作家さんが、50冊くらい???入りそうなところ、京極先生のご本は、10冊前後でもう一杯・・・だったりして、
(場所とるよな・・・)
なんて思いながら、
(もう、買ってよんじゃったらから、いいんだけどさ・・・)
と言う事で、棚の前から撤退。
もっとも、最近では、ネットの本屋さんしか利用していないのだけれど。
最近、近眼の度が進み、本屋さんの棚から希望の書物を探すのが、もう大変で、大変で。
時間も無駄だし・・・。疲れるし・・・。たぶん、お探しの本は、ここには、ない・・・。

閑話休題・・・。
『冥談』は、この世とあの世?の境界線にいる人達の物語。
境界線は、曖昧で、ふとしたはずみで、いとも簡単にあの世に届いてしまう。
それ程、簡単にあちら側へ行ける人達も存在するようです。
そんな人達の短いけれど、幽玄な、そして、悲しく、儚い・・・物語のいくつか・・・。
時代もだいたい、このあたりですね・・・とオボロげながら、わかるカンジ。
相当昔・・・でもないけれども、そう最近・・・という訳でもなくて・・・。
曖昧・・・。
曖昧さのもつ柔らかく、優美で、そして脆さ・・・。
その曖昧さは、あの世のことを語るには、あまりにも不確かだけれど・・・そういう言葉では、表現できないイメージを京極先生の筆は、描写をしていくようで・・・。

あの世とは・・・冥界・・・。
冥界と現世を行きつ、戻りつしながら、展開していく8つの物語。

静かな静かな恐怖・・・。なんか・・・怖い・・・。

明日、この世界に紛れ込んでしまうかもしれない危険を孕みながら・・・。

五月闇(拙ブログ2010年4月29日をご参照下さい)のこの季節・・・この本は、丁度よろしいかと・・・。