曇りがちながらも湿度の高い蒸し暑い1日。
夕刻より、激しい雷雨。
日の出の時間が、段々と遅くなってきて、夜明けの薄明かりの中、蜩の鳴き始める時間も、少しづつ遅くなってきている。
夜間は、網戸から侵入する虫がイヤで、窓を閉めているけれど、明け方の時間になると、窓を開け放しても、虫の侵入もないので、全開にして、涼しい空気を取り入れる。
昼間や夜間の熱い空気が入れ替わり、僅かの時間、ほっとできる涼しさの中、身を横たえることの幸福感をしみじみ味わう時間でもある。
ふと・・・花の香りが流れてきて・・・ハテ・・・?この爽やかなカンジの花はなんだったのだろうか・・・と、考えあぐねる。
甘さの中に、ひかえめな清しさのある夏の花の香りである。
真夏の白昼。
白くかすんだような強烈な日差しの中・・・。
夏休み中の登校日の帰り、自転車に乗りながら・・・そう、この香りだ。
葛の花・・・。
たぶん、裏の雑木林の中に自生している葛の花が咲き始めたのかもしれない。
葛の花は、秋草の一種。
まだ梅雨の時期のような湿度を残す7月の終わりに、もう秋草の葛か・・・と思う。
葛は、根は漢方薬の葛根で、風邪薬などに処方されているけれど、お腹を壊したときに、作って貰った優しい味の葛湯、そして、今の時期、1週間に2回は、食す『葛素麺(くずそうめん)』の原料となる植物だ。
葛素麺は、普通の素麺より、透明感があるような気がする(・・・あくまでも、そんな気がするだけで、お菓子の葛切のイメージが先行してしまっているためかもしれない)。
ゼラチンや寒天のようなお菓子には、欠かせない、液体に添加すると固まる・・・という性質が、葛根にもあって、葛の方が、上品なイメージがある。
葛は、蔓状で、繁殖力が強そうだ。夏の強い光に負けぬ気丈さがあるような一種の強靱さ。
赤紫の花は、夏というより、晩夏、初秋に似合うような・・・そんな佇まいである。