鼎子堂(Teishi-Do)

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梨園の妻~『きのね:宮尾登美子・著』

2017-06-25 21:25:22 | 本・読書

深夜から雨。
朝方から本降り。
梅雨が、戻ったみたいです。


週末(23日)。

元アナウンサーで某・歌舞伎役者夫人の訃報。
既に、癌細胞が転移して、医学用語でいうステージⅣ・・・末期癌ということでした。
闘病生活を御自身のブログに綴り続けましたが、34歳という若さで、旅立たれました。

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。


私の祖母も34歳でみまかりましたので、祖母を知りません。

母は、まだ7歳だったそうです。
・・・そんな話をしていて、ふと、大昔読んだ宮尾登美子さんの『きのね』を思いだしました。


11代目市川團十郎夫人の物語でした。
一切、表にでることもなく、影で、團十郎を支えたひとでした。

梨園というところへは、芸能人の方が、嫁がれることが多いようで、今回ご逝去された夫人の職業のアナウンサーさんなども、いらしたようです。
坂東三津五郎さんの二度目の夫人でしたかね?
フジテレビの局アナさんとご結婚されたのは?
結局は、離婚されたようですが???

芸能界・・・というところは、不思議な世界です(アナウンサーが芸能人かどうかは、意見の分かれるところですが、昨今のフジテレビは、アナウンサーとタレントさんの線引が曖昧なようですし?)。

女優、歌手、タレントとアナウンサーでは、やはり違うものなのでしょうかね?

よくわかりません。

梨園に嫁ぐということは、芸能界(・・・というか)を、引退しなければ、勤まらないところ・・・。

まず、跡継ぎを産み、ご贔屓筋へのご挨拶、お弟子さん、舞台関係者(特に松竹さんなどの興行主)、マスコミと様々な対応。

片手間では、成り立たない所だと聞いています。

そんな場所で、女中からスタートした11代目市川團十郎夫人。

役者は、人気商売ですから、夫人の存在を隠したがるのは、歌舞伎役者に限らず、昔の俳優さんたちには、多かったように思います。

人気俳優が、結婚するとファンが離れますからね・・・。

それに比べると、今の俳優さんやタレントさんは、遠慮がない・・・というか・・・怖いモノ知らずというか・・・???節操がないと言えば、ソレまで。
堂々とご自分の幸せを見せつける・・・感が強いような気がしています。
(ファン以外は、どうでもよいことだと思うのですが???)

11代目團十郎も、夫人とお子さん(12代目)の存在を隠し続けましたね。ある時期迄は。

宮尾さんの筆にかかると、美貌でもなく、身分も一般庶民・・・ただ、とにかく控えめで、健気な糟糠の妻を、好ましく、物語にしてしまうところは、流石です。

筆者自身、健気で、賢く、前に出ることはせず、ひたすら頑張り・・・という、昔の日本女性が好きだ・・・と何かに書いていらっしゃいました。

・・・現代では、こういう女性は、評価されなくなりましたね。

ただ慎ましく、辛抱強く、夫につくし続ける・・・そんな昔の物語でした。
(今時では、そんな女性は、国宝級?ですかね???)