私より先輩だから80代が多いが、中には90歳の人もいる。元気のよい先輩もいれば車イス生活の先輩もいる。カミさんが入院された後、音信不通になっていた先輩の名前が、頂いたハガキにあったので、混声合唱団の演奏会に出かけた。
名東文化小劇場は地下鉄の上社駅の上にあるが、意外に遠くて、我が家を出て着くまでに1時間半近くもかかってしまった。先輩は高校の国語教師だったが、歌が好きで合唱の指揮をしていた。名古屋市立北高校の合唱部の流れは途切れることなく続いていた。
演奏会は4部に分かれていて、「千曲川の水上を恋ふる歌」、「Negro Spirituals」、「千原英喜の作品」、そして最後「ふるさとの四季」だった。先輩は黒人霊歌の指揮者として登場したが、痩せていて倒れそうな歩き方だったので心配した。演奏会が終わって出口で会った時は、卒業生に囲まれ、とても元気そうだった。
コロナ禍で演奏会が出来なかったが、今日をエネルギーにして次の目標が出来た感じだ。団員はそれなりに年老いているが、中には若い女性も参加されているから、練習にも力が入るだろう。演奏会はさながら同窓会のようで、「私、私よ」と声を上げて抱き合うおばさんたちで一杯だった。
私のところによく電話してくる先輩から、「やっと病院を退院し、介護施設に入所した」と電話があった。昨日、おやつの時間前を見計らって、お菓子を持って見舞いに行ってきた。病院は家族以外は面会出来なかったが、施設は面会の時間制限も無かったのでゆっくり話が出来た。
先輩はかなり落ち着いていて、「市への寄付は止めた」と言う。家族との話し合いでそうなったようで、先輩も納得しているようなので、「よかったね」と私もその結論に同意した。家族と揉めてまで寄付するのは愚かなことだ。「あんたと話しが出来てよかった」と言うので、「必要な時は電話してね」と言って別れた。