強い風を受けて、バラの樹が大きく揺れている。このままでは咲きかけたバラの花が痛んでしまう。風に煽られて花弁が散り、無惨な姿になるばかりだ。せっかく咲いてきたのに、誰にも見られずに散るのは余りにも可哀そうだ。
私はルーフバルコニーに出て、トゲが指に刺さるのも構わずに揺れるバラを捕らえてハサミで切り取り、花瓶に挿して玄関に並べてみた。ちょっとみっともないが、風で朽ちるよりはいいだろう。この世に生まれて、誰にも評価され無いよりこの方がいいはずだ。
最近、女性の作家の方がいい作品を書いている。どうも男性の作家は頭でっかちで、淡々と日常を描けない気がする。村山由佳さんの『ミルク・アンド・ハニー』は、女性によるエロ小説なのかも知れない。性行為の描写がとてもリアルだ。
感じ方も男と女では違うのかという気にもなるし、いや、即物性を超えた悦びがあるはずだと観念的に考えてしまう。新聞の書籍の広告で、映画監督の松井久子さんの小説『疼くひと』が目に留まった。松井さんは1946年生まれの団塊世代だ。
「七十歳。年下の男に身も心も溺れて―」とある。読んでみたいと思い、書店に行くが置いてないので、取り寄せてもらうことにした。人も花も、儚いけれど、みんな懸命に生きている。
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