16歳の青羽悠さんが書いた小説『星に願いを、そして手を』は、プラネタリウムと図書館が合わさった施設を利用していた4人の幼馴染の物語だ。ここで勉強したり、おしゃべりしたりしていた4人が大人になって、施設の閉館を契機に再び集う。
宇宙に興味を持っていた4人だったが、大学院まで進んで宇宙の研究をしている女性、施設に就職してプラネタリムで解説している女性、大学を出て市役所の職員となった男性、同じく大学を出たけれど親の後を継いで電気屋をしている男性と、それぞれの道を歩いている。
大学院へ進んだ女性と市役所の職員になった男性は、共に悩みを抱えている。男性は宇宙への夢を諦めたことを、女性はそれが許せないことを、引きずっている。この小説のテーマは「夢」で、それが何度も形を変えて出てくる。
16歳でこんな小説が書ける青羽さんは天才だ。小説には昔、夢を追った高齢者も出てきて、それが重要なポイントなのに、私には理解しにくい展開だった。77歳の私には「最後の恋」の夢しか存在しないし、人はそんなに夢を見るのだろうかとさえ思ってしまう。
日曜の夜はテレビドラマ『日本沈没』を見ているが、原作の小松左京の小説を読んでいない私はむしろ、どうなっていくのかと興味深い。大人たちは夢を追い求めるというより、沈没という現実にどう対処するで必死だ。日常はこんな風に生きることに精一杯だ。
「最後の恋」が叶うなら、これほど幸せなことは無いはずだが、夢は叶わないから見続けるのかも知れない。明日に希望の無い人は、夢ばかり見るのだろうか。これは辛い。明日はこの町で友だちが開く「落語の会」に誘われている。
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