友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

花子と蓮子

2014年06月13日 17時51分16秒 | Weblog

 NHKテレビの朝の連続ドラマ『花子とアン』を見ている。脚本がいい。私自身は主人公の花子よりも仲間由紀恵さんが演ずる蓮子に興味が涌いた。仲間さんが好きというわけではないが、花子が実在の人物なら、腹心の友である蓮子も実在したはずと思ったからだ。蓮子は脇役だけれど、どうやら波乱万丈な人生を送った女性のようだ。伯爵家の令嬢ということになっているが、当時の伯爵なら相当な地位だったはずだ。

 アメリカで生活していた友人が、「ヨーロッパは身分社会が残っている。自由の国と言われたアメリカは黒人差別が消えない」と話していたことを思い出した。ヨーロッパは貴族社会が長く続いたから、市民革命後もそうした身分意識は残ったのだろう。ヨーロッパの小説にはそんな身分の話が出てくる。蓮子は皇室にもつながる血筋にあるが、その人生は激しい曲折であった。

 蓮子は兄のために福岡の石炭王と呼ばれた25歳年上の男に嫁入りする。男は露天掘りで石炭を掘り、日清・日露の戦争で大儲けして財を築いた。金にものを言わせて銅葺き屋根の御殿まで造った。学問も教養もなかったけれど、度胸と時代に恵まれた。やはり当時の新聞に「炭鉱王、金で伯爵令嬢を嫁に」と書かれたようだ。彼にすれば平民が伯爵令嬢を手に入れれば格が上がると読んだのだろう。

 ドラマでは蓮子に冷たく当たるけれど、実際の炭鉱王は蓮子に気を遣っていたようだ。男はあちこちに女を抱えていたようで、女中の中にも妾がいたそうだから、蓮子もやりきれない日々だっただろう。男は力ずくで蓮子と情交を持っただろうか。ひな壇に並べて置くだけで満足だったのだろうか。蓮子は夫婦の契りがなくて、ホッとしていたのだろうか。ふたりの気持ちがどうだったのかと思う。

 結婚して10年、蓮子は失踪する。明治憲法では妻から離婚できない。蓮子は新聞社に絶縁状を送ることで事実を公表し、男から離婚させるいわゆる「白蓮事件」を起こす。姦通罪で訴えられる前の先制攻撃である。蓮子はその後どのように暮らしたのだろう。花子以上に興味深いところだが、朝のドラマには向かない話かも知れない。

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