やっぱり、羽生結弦選手は凄い。ケガからの復帰を1位で成し遂げた。「金メダルに対して誰よりも強い気持ちがある」と聞いた時は自信過剰に思えたが、実現してしまうのだから凄いとしか言いようがない。アナウンサーも「なんという精神力、なんという技術力」と表現し、「異次元の強さ」と評していた。彼には挫折とか、恐怖心というマイナス思考はないのだろうか。
ショパンのピアノ曲と彼のスケートは見事に一致していて、美しい演技だった。以前は何か太々しい印象があって好きになれなかったが、今日は力を見せつける演技ではなく、全てにおいて美しかった。滑り終えて観客席に向かって深々と頭を下げた時、口の動きから「ありがとうございました」と言ったと思う。
誰の助けもない個人の競技は、まさに自分との闘いなのかも知れない。私は個人競技をしたことがないので、その緊張感や達成感は分からないが、成し遂げた人の精神力には頭が下がる。高校の時、生徒会長の選挙で全校生徒の前で演説した。首長選挙や議員選挙で、誰もいない道端でも演説した。ひとりでも多くの人に私を届けるためだが、何度経験しても緊張感から抜け出すことはできなかった。
新聞部で記事を書いたのも、記事に織り込んだ私の思いを続けるためだが、誰もいないところの演説と似ているのに、文章を書く緊張感は演説ほどではなかった。しかし、緊張感なしに書いたことは一度もない気がする。他への呼びかけはそういうものだろう。絵を描くことも、ラブレターでも、一生懸命さがなければ自分を伝えることはできない。羽生選手のような堂々とした自信が欲しいと思うが、残念ながら私には永遠に辿り着けない気がする。
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