卒業生の浅野定志君が、午前10時に迎えに来てくれた。カミさんがインフルエンザに感染して以来、別々の部屋で寝起きしているので、我が家に上がってもらえる部屋が無い。申し訳なかったが、近所の喫茶店に連れて行ってもらった。
同じ通りに面して2軒の喫茶店がある。古くからある大きい方の喫茶店を、私たちは「年金喫茶」と呼んでいる。とにかく年寄りが多い。新しい喫茶店はシャレた造りなので、若い人が多いのかと思ったが、入ってみるとやはり年寄りが多い。
そんな話をしていると、「この時間帯ならどこでもそうですよ」と、彼は言う。「何しろ年寄りには時間が充分ありますから」。そう言われてみると、確かにどこへ行っても喫茶店に年寄りがいる。独りで来ているか、何人かで来ているかが違うだけだ。
「行くことがあるうちはいいですよ。話し相手がいることが一番大切です」と、彼は言う。確かに話し相手がいなくて、孤独な知り合いがいる。結婚した相手だからと言っても、決して夫婦は同体では無い。関心事も趣味も違う。「それが普通ですよ」と、浅野君は言う。
同級生の話から、映画や本の話など、脈絡も無く話し込んでしまった。同級生の女子の中に、クルーズ船の旅を楽しんでいる子がいて、3月末にしか日本に帰らないので、「クラス会は4月になってからですね」と、幹事役の彼は言う。
彼のような世話焼きがいないとクラス会は出来ない。東京に根を下ろした同級生は、彼の発案で始まったFacebookの『同級生新聞』に、東京の様子を送って来る。同級生であったことが心の拠りどころになっているようだ。同級生というのは不思議なものだ。同じクラスで過ごしただけなのに、何もかも共有している気がしてしまう。
浅野君が次の本を1冊持って来てくれた。凪良ゆうさんの『星を編む』で、『汝、星のごとく』の続きだと言うのでとても興味が湧いた。凪良ゆうさんの小説は理屈っぽいけれど、なぜか惹きつけられる。どんな展開なのかと興味津々だ。定志君、ありがとう。
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