友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

小説通りの破廉恥な生活なら当然の帰結だろう

2022年02月12日 16時00分37秒 | Weblog

 土曜日は吉本新喜劇を観て、笑って泣いている。ヤクザの金貸しに300万円の借金があって、人質に取られそうになるところを助ける、同じパターンなのにどういう訳か笑って泣いてしまう。時には最後にどんでん返しがあったりして、最後まで楽しませくてくれる。

 芥川賞作家の西村賢太さんが亡くなった。受賞の日の会見だったかで、ふざけたことを言っていた気がする。変わった人だなと思って、書店に並べてあった文庫本の1冊を買った。1行の文章が長く、読みなれない漢字が多かった記憶しかない。

 私が買ったのは『どうで死ぬ身の一踊り』で、「墓前生活」と「どうで死ぬ身の一踊り」と「一夜」の3編から成っていたが、読んだのは「どうで死ぬ身の一踊り」だけだった。1967年生まれの若い作家なのに、いくつかの文が繋がれた文章なのでとても読みにくかった。

 破滅型とか、不健康とか言われる私小説作家だけに、その日常が凄まじい。同居している女性こそが幸運の女神と思いつつも、全く自分の気持ちに沿う対応が生まれないと、すぐにカッとなって暴力を振るってしまう。それも抑えが効かない手荒な行為である。

 写真で見る西村さんは、大柄でいかにも腕っぷしが強そうだ。殴られたら大怪我するだろう。彼は中学しか出ていないし、それも結構不登校だった。酒に酔って人を殴り、留置場に入ったこともある。どうしてなのか分からないが、大正時代の私小説家・藤澤清造氏に共鳴し、作家の道を目指す。

 2006年『どうで死ぬ身の一踊り』で芥川賞候補となり、20011年『苦役列車』で芥川賞を受賞した。赤裸々な私小説は余り気分のよいものではないが、西村さんが露わに存在していて引き込まれてしまう。54歳の逝去は早すぎるが、小説通りの破廉恥な生活なら当然の帰結だろう。

 今日はこれから3回目のワクチン接種に行く。これを機にあの世に連れて貰えないのだろうか。


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