NHKテレビの朝ドラ『虎と翼』の影響なのか、民放のドラマが変わってきた。『虎と翼』は戦前の民法が、女性の人権を無視していることに憤り、改革に立ち上がる女性たちを描いている。そのためか度々、法廷の様子がドラマに出て来る。
以前、こうした法廷をドラマにしたものが、あったのか思い出せない。『相棒』や『捜査1課長』や『特捜9』など、事件の犯人を捕まえる優秀な刑事が主人公だった。犯人は絶対に悪い奴で、同情の余地など全くないから、捕まえた時は拍手喝采であった。
ところが、日曜日に放送される『アンチヒーロー』を観ていたら、エッこの男は犯人ではなかったのかと思ってしまった。主人公は弁護士で、「依頼主に応えることが仕事だ」と言う。検察側の不備を暴き出していくが、でも、じゃー誰が犯人なのかと分からなくなる。
検事は警察が捕まえた犯人を、証拠を積み上げて証明しなくてはならない。犯人を捕まえられなければ警察の権威は地に落ちるから、警察は何が何でも犯人を捕らえようとする。杜撰な捜査で、冤罪が起きる、そんな事件がある。
女優の石原さとみさんが主演している『Destiny(宿命)』は、大学の同期生の男女の青春ドラマと思っていたら、友だちが自動車事故で死んでしまう。そこから、石原さんの父親は検事という設定となり、事件を捜査中に自殺している。この2つが重なり、彼女はそれが気になってならない。
しかも、2つの事件に友だち(恋人?)の父親である弁護士が関わっている。いったい、法廷は事件の決着をつける場なのか、それとも犯人を特定し、刑を言い渡す場なのか、思いが入り乱れる。人を裁くことの難しさをテーマにすると、裁判への信頼が揺らいでしまう。視聴者である私は、とにかく見守る他ない。
法廷ものに刑事もののような快活さは無いが、人の心に入り込む要素は持っている。人々が刑事ものに飽きたから、こうした弁護士や検事がやり合う法廷ものが登場してきたのだろうか。この先、どんな展開になるのかと落ち着かない。
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