南のベランダに出て、カミさんが育てているハーブのローズマリーを見ていたら、上の方に何かいる。近づいてもピクリともしない。けっこう大きいバッタがローズマリーにしがみついていた(写真)。
カミさんに話すと、「昨日からいる。動いてもいない」と教えてくれた。携帯電話を近づけて写真を撮ったが、全く動じる気配もなかった。地上30メートルはある我が家のベランダに、どうやって辿り着いたのだろう。
昼からもう一度見に行ったが、既にどこにもいなかった。春になって、ルーフバルコニーの植木鉢の上を花の蜜を求めて、チョウやハチが飛び回るようになった。しかし、バッタの姿を見ることは出来なかった。
こんな地上から離れたところでも、バッタを見かけることはあったが、春のこの時期は初めてだ。バッタもチョウもハチも、交尾の相手がいなければ子孫を残すことは出来ない。たまたま、花の蜜を求めてやって来ただけで、交尾の相手を求めに来た訳では無いのかも知れない。
虫の好きな友だちがいるが、私は小さな時から花の方が好きだった。見かけない花を見つけると、「あれはなんという花?」と父に聞いていた。父は校長だったので、学校に出入りする本屋から植物図鑑を買い、「これで調べてみるといい」と渡してくれた。
NHKの朝ドラの主人公、牧野富太郎監修の『植物図鑑』だった。牧野富太郎氏がどんな人だったかは知らないが、「この人が一番植物のことを知っている」と父が言っていたので、名前だけはよく覚えている。
でも、学習百科事典ほど見ることは無かった。学習百科事典は知らないことがいっぱい載っていて、絵や写真も多く、見ているだけで楽しかった。牧野富太郎氏の『植物図鑑』は結婚するまで持っていたはずだが、今、書棚を探しても見当たらない。
私は農学博士の稲垣栄洋さんの雑学的文章は好きです。