昼前、カミさんから、「これからみんなとランチに行くから、ひとりで食べてね」と電話が入る。いつもなら昼食の後は昼寝をしてしまうのに、ひとりなのだからゆっくりテレビでも見ようと思った。そしてアメリカ映画『遠い空の向こうに』を、途中からだったが見入ってしまった。
アメリカ映画と言えば、西部劇のような活劇が多いのに、華やかさのない青春映画だった。画面は暗いし地味で、田舎の炭鉱街が舞台だった。4人の高校生がロケットに興味を抱き、自分たちで制作して打ち上げることに夢中になっていた。
高校で出会った女性教師だけが彼らの味方だった。先生は「人と違ってもいい。自分の好きなことに挑戦しなさい」と言ってくれ、科学コンテストがあることを教えてくれる。校長は反対で、「叶わない夢を抱かせるべきではない」と言う。
炭鉱の街で生まれた者は、炭鉱で働くことが当然だった。炭鉱夫になりたくなければ、スポーツ選手で身を立てる他に道が無かった。高校生の父親も子どもに炭鉱で働くことを望んでいたから、親子ケンカが絶えなかった。けれど、これはアメリカ映画だから最後は全国大会で優勝し、奨学金をもらって大学に進学できた。
最後にロケットを打ち上げる時、「これはみなさんのおかげだ」と感謝する。そして泣けたのは、「(ロケットの)ブラウン博士は偉大だが、僕のヒーローではない。僕はお父さんのような人になりたい」と父親に告白する場面だ。
炭鉱の街は貧しかったが、それでも皆一戸建ちの家に住み、車を持っている。けれど、炭鉱で災害が起きても会社は全額保証しないし、利益が上がらなければ閉山してしまう。時代はズレるが、トランプさんを支持した白人労働者はこういう人たちだったのだろう。
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