前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

2015年3月福井県議会予算特別委員会。北陸新幹線・第3セクター、原子力行政

2015年05月09日 | 福井県政
 2015年3月5日 福井県議会予算特別委員会での質疑を紹介します。


      「北陸新幹線と在来線三セク化について」   佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。
 最初に、新幹線の建設と、それにかかわって、在来線の三セク化の問題について尋ねる。
 新幹線の金沢開業が目前となった。私は、敦賀開業時にフリーゲージトレインの開発が間に合わないということで、敦賀での乗りかえが発生するのは、利用者にとって利便性が大きく低下するということで、現在の特急の運行を継続すべきだと求めている。
 この問題は、金沢開業時にも発生するわけである。先日の新聞報道でも、大阪-富山間の時間短縮効果は8分間、一方、料金の値上げは700円と、経済メリットはない。このように、サンダーバードが金沢どまりになる問題点が報道されていた。
 北陸3県と関西間の鉄道移動は延べ1,650万人、首都圏との移動の2.5倍あるわけである。しかし、関西間の移動では、富山県は240万人、福井県は1,030万人ということで、福井県は大変関西圏と結びつきが強いと、こういうことだと思う。それで、福井と関西間の鉄道の利便性が新幹線によって低下する影響というのは、富山県の比ではないということは明らかだと思う。3年前倒しするとか、福井先行開業とか、いろいろ議論があるが、そういう浮き足立つだけではなくて、改めて真剣に、この問題の対策検討を求めたいというように思う。
 あわせて、私は、これまで新幹線に伴う在来線の第三セクター化は、十分県民に説明がなされていないという問題を指摘してきた。市民団体の調査でも、「知らない」という方が4割を超えている。特急がなくなるということを知らないという方も5割近く、北陸線のJRからの経営分離に反対する方は66%ということになっている。
 だから、多くの県民の方が、新幹線に伴う北陸本線、第三セクター化の真実を知らされないままに3年前倒しというようなことで進めていくことは、県民軽視で極めて無責任だというように思う。
 説明責任が十分果たされていないということについて、西川知事の見解を尋ねる。


◯新幹線・交通政策監  今、県としては、北陸新幹線の早期開業とあわせて、並行在来線となる北陸本線の地域鉄道としての存続、これについて、県民の理解を得ながら進めることが重要というふうに考えているところである。
 これまでも、県民を対象とした講演会や出前講座の開催、パンフレットやホームページなど、各種広報を通じて、新幹線の早期開業の必要性と並行在来線の第三セクター化について説明を行ってきたところである。また、先日、2月末にも説明に出向いて、いろいろ県民の方に説明を申し上げているところである。
 これからも県民の理解が得られるよう、さまざまな機会を捉えて周知を図っていきたいというふうに考えている。


◯佐藤委員  周知を図っていくのは当然なのであるが、要するに、昨年の市民団体の調査でも、こういう数字が出ているわけである。
 西川知事にお答え願いたいわけであるが、知事は、この原発の問題では、国民合意がまだ不足しているということで政府の尻をたたかれるわけである。みずからが進める新幹線の建設とセットの、いわゆる北陸線の第三セクター化、これについては、県民合意が得られていない。県民も知らない。7割の県民が反対している。こういう県民合意が不十分なままで推し進めるというのは、おかしいではないか。
 知事、答えて。──何で知事が答えない。知事が答えて。


◯新幹線・交通政策監  県民の皆さんへ周知活動を行っているわけであるが、それと、県民の方々に県民合意をどういうふうに図っていくかということについては、あらゆる機会を通じて理解を求めていくということで、これまでもやってきたし、今後とも、そういう方向で努力していきたいというふうに思っている。


◯佐藤委員  知事、ちゃんと答えて。
 原発では、国民合意が形成されていないということで国の尻をたたいているのに、県が進める事業では、県民の合意が非常に不十分なまま、なぜ進めるのか。


◯知  事  二つの話は、全然事柄が違うと思う。


◯佐藤委員  行政とか国が進める、あるいは、県が進める事業で、どれだけ合意が得られているかということでは、同じ問題である。
 では、あわせて、この第三セクターに向けて、準備状況を尋ねる。
 このJRの資産調査、それからJRとの資産譲渡、これについてのJRとの協議、県と市町との役割分担協議、第三セクター化された場合の需要予測調査の計画、これはどうなっているか。


◯新幹線・交通政策監  並行在来線の第三セクター化に向けては、県、沿線市町、経済団体からなる並行在来線対策協議会、これを平成24年度末に設置しており、昨年度は、北陸本線の駅、線路などの鉄道資産の現況調査をしたところである。
 来年度以降、さらに旅客流動調査とか将来需要予測調査、また、収支予測調査、こういった必要な調査を順次実施して、鉄道資産がどの程度になるのかといったことや、また、鉄道資産の譲渡とか運行計画等について、JRとも相談しながら協議を進めていきたいというふうに考えている。
 また、これらに基づく対策協議会において、第三セクターへの出資、支援のあり方、これについて、県と市町の役割分担等も含めて協議して、開業3年前の平成31年度をめどに、経営計画案を具体的にまとめて明らかにしていきたいというふうに考えている。


◯佐藤委員  需要予測調査の問題も、今、答弁があったが、やはり経営の根本にかかわってくる問題だと思う。
 JR西日本は、今でいうと、北陸はもちろんであるけれども、関西圏をトータルして収益がどうなるかということが直接問題になるというふうに思う。ところが、福井県の第三セクターは、石川県境から敦賀までという、その区間での収益性が問題なのだということだと思う。当然、厳しくなるということである。
 それで、3月14日の新幹線の金沢開業に伴って、JRは、金沢-富山間のシャトル新幹線を運行するということである。だから、従来なら、在来線、第三セクターに流れるお客さんの層もすくいとろうとしているというふうに思う。それから、バス会社も、富山-金沢間の通勤定期を出して、サンダーバードがなくなった後の通勤客を鉄道からバスへ奪おうとしているわけである。
 だから、こういう点で、各県ごとに経営体が変わる第三セクターというのは、ますます厳しくならざるを得ないわけである。そのことは結局、石川県の例でも、運賃が3割値上げになるというようなことに出てきていると思う。
 だから、はっきり言って、新幹線の料金で県外に行くときも値上げになる。さらに、第三セクターで県内の通勤も値上げになるということでは、これは、県民の家計から見れば大ピンチである。敦賀開業3年前倒しなら、きちんと需要予測調査もするし、それに基づく料金がどうなるのかというのを、やはり、県として示していくということがどうしても必要だと思う。それは、開業3年前でいいのかという問題も出てくると思う。富山、石川がもう開業して、いろんな問題点、課題が見えてくるわけであるから、より早く、福井県民には、そういうアナウンスをしていくということが必要ではないか。


◯新幹線・交通政策監  富山、石川の例で運賃のお話が出たが、運賃については、富山、石川とも、これまでとそんなに値上がりしないような形で──従来、既設のしなの鉄道とか、岩手、青森とか、そういったところにおいては、運賃水準が2割から3割というふうに高く上がっていたわけであるが、今回の北陸新幹線の沿線の場合は、えちごトキめき鉄道については、運賃を据え置く。また、石川、富山についても、1割増しぐらいの運賃のアップで経営をしていくということで、できるだけ国の財政支援も引き出しながら経営を安定させるとともに、利用者の方にも不便をかけないように、きめ細かくやっているところである。


◯佐藤委員  その説明はわかる。説明はわかるが、実際、これから第三セクターの経営がどうなるかというのは、それは厳しくなるのである。よくなる可能性というのは余りない。
 例えば、国立国会図書館が2月17日に出した「並行在来線の現状と課題」という小さな資料であるが、これを見てもやはり、国立国会図書館の分析でも、今は例えば、貨物からのいろんなお金が入って何とか経常収支が黒字になっているところでも、これからは、人口減少と利用者の減少によって、なかなかどこも経営は厳しいということを、常識的に分析するわけである。
 だから、福井県がやはり、そういうデメリット面もきちんと見て、県民にアナウンスをしていって説明をしていかないと、とにかくいい面だけ、新幹線が来ればよくなる面だけ宣伝していくと、これは大きな問題があるなと思っている。
 それと、あわせてもう一点、第三セクターで尋ねたい。
 この第三セクターをつくられる際に、北陸3県が今のままだと、ぶつぶつに切られていくわけである。今、言われたように、富山は富山、石川は石川、福井は福井ということで、ぶつぶつに切られていくことになる。これは、保守管理の上でも大きな問題が出てくると思う。
 福井県内でいうと、新幹線が経営される。これまでの越美北線など、従来のJR線、これはこれでJRが経営される。それから、いわゆる第三セクターが新しく立ち上がって、これを経営するということになるので、従来は、JRが責任を持っていた巨大な北陸線のシステムが大きく変わるということによって、災害時などにうまく対応できるかどうかという問題も心配されている。
 そこで、以前も検討をお願いしたことがあると思うけれども、第三セクターの経営にJR西日本にしっかりとかんでもらうことはもちろんなのであるが、まずは、石川県と統合した、要するに敦賀開業にしろ、あるいは福井先行開業にしろ、石川県も、同じ時期に新しい路線が立ち上がるわけであるから、やはり統合したシステムをつくって、せめてリスクの軽減を図るということを検討すべきではないか。


◯新幹線・交通政策監  これまで第三セクターについては、経営分離された区間は、県単位で会社が設立されているところである。
 それについて、相互の乗り入れ、また、災害時の、今指摘のあったような場合の対応、そういったものについては、石川県、富山県においては、現在、JRの支援を受けて、いろんな運行システム等については、統一して共同で運用するということで対応している。
 今後、我々福井県が並行在来線を運営するに当たっては、そういうことも含めて、先行事例を十分、並行在来線対策協議会の中で議論をいただいて、現在も、JRの方のオブザーバー参加をいただいているので、その中で十分議論して、そういう運行システムが円滑に進むように進めていきたいと思っている。


◯佐藤委員  先ほど言われた富山、石川の共同のシステム運行というのも、それは、今のシステムの期限までである。要するに、いわゆる保守期限というか、それが過ぎれば、もうそれぞれ別々になるということもあるわけである。だから、それは真剣に考えていただきたいというふうに思う。



        「原子力行政について」

 次に、原子力問題について質問する。
 福島原発事故から4年ということで、間もなく3月11日を迎えるわけであるが、福島では、放射能汚染された廃棄物の中間貯蔵施設の建設について、結果的に福島県内で建設されるということになった。これについて、知事の見解を尋ねる。


◯知  事  福島県内のいわゆる中間貯蔵施設について、その経緯や内容を詳しく承知しているわけではない。
 なお、福島県内の中間貯蔵施設は、除染に伴い発生する汚染土、あるいは、廃棄物を保管するものであって、福井県が国及び事業者に強く求めている中間貯蔵というのは、使用済み燃料を保管する中間貯蔵ということで、全くといったほうがいいのか、性質の違うものである。言葉は同じであるが。


◯佐藤委員  性質が違うことは、もちろんわかっている。
 要するに、原子力発電に由来する使用済み核燃料、あるいは、原子力発電の事故に由来する汚染物質、これをどこが保管するかということで、結局、今回の場合は、福島に押しつけられたということについて、どう思うかと聞いている。


◯知  事  それは、福島県と国との関係であるから、そういう議論の中で決まったということではないかと思う。


◯佐藤委員  こういう問題は、私、一般質問でも──国の対応、電力事業者の対応を見ていれば、福井県もやはり、そういうことを真剣に考えていかないと、どんどん原子力発電を動かしていけば核のごみは事故がなくてもふえていくわけであるから、そういう問題を真剣に考えなければいけないというように思う。
 あわせて、福島では、地震と津波で直接亡くなられた方が1,603名、それに対して、東日本大震災以降亡くなられた方が1,862名ということで、被災された東北3県の中ではずば抜けて、宮城県、岩手県に比べて多くなっているわけである。
 なぜ、福島県だけ東日本大震災の地震津波以降の死者がこれだけふえているのかということについて、福井県はどう分析されているか。


◯安全環境部長  今、佐藤委員の指摘の点であるが、まさに福島県の事柄であって、県として、その理由など詳細については、よく承知をしていない。
 この問題であるが、国会でも議論されていることは承知しているけれども、まず、国としてこの問題、何が課題であり、そして、福島の復興に向けて国がどのように取り組むのか、そういう国としての責任ある対応というものが何より重要ではないかと考えている。


◯佐藤委員  宮城、岩手、そして福島。福島は原発事故が加わっているわけである。いまだに12万人近い方が家に戻れない。ふるさとに戻れない。商売を再開できない。先の見通しも放射能汚染で立たないという苦悩が、いろんな形で、こういう死者の増大につながっているというふうに思う。
 だから、原発事故は、一旦起これば本当に取り返しがつかないということを今回の福島原発事故そのものが示しているし、その後も、残念ながら、死亡者の極端な増大ということも示しているということを、福井県としては、真摯に受けとめないといけないというように思う。
 それで、事故から4年たつのであるが、いまだに原発事故は収束していない。先日も、汚染水が海に流されていて、東京電力が隠していて大変な漁業関係者からの批判が報道されていた。こういう安全上──壊れたのがまともに修理もできない、4年たってもそのまま、これからどうなるかわからない、こういう技術に頼っていていいのか。知事はどう思うか。


◯安全環境部長  今、佐藤委員指摘の福島原発の今の状況については、まず、事業者たる東京電力、それから、これを規制監督する原子力規制委員会が、地元民、あるいは国民の安全・安心を守るという観点から、しっかり対応していただかなければならない、そういうことかなというふうに考えている。


◯佐藤委員  やはりこういう、一旦事故が起こったときに、もう元に戻せないという技術は本当に問題だと思う。
 それで、いよいよ高浜原発がどうなるのかという問題で、福井県は、あす県の原子力安全専門委員会を開催するというふうに発表された。これは知事の諮問機関であるので知事に尋ねるが、知事がこの委員会に諮問する内容、これは、具体的にどういう点を議論してもらおうとお考えなのか。


◯知  事  県の原子力安全専門委員会は、これまでも、いろんな局面で必要な専門的な調査、あるいは、いろんな検討をしてこられたわけであるが、今回、高浜3、4号機の安全対策の進捗状況を、主に工学的見地から節目節目に独自に確認をするということになるわけである。
 あすであるが、今回の設置許可の内容について、まず、原子力規制庁から説明を受けるということが前提になる。その上で、引き続き安全対策工事の達成状況、また、いわゆる東京電力での吉田調書などに見られる、現場から吸い上げられた教訓、これについて事業者の運用体制がどうなのか、また、現地調査などによって必要な確認も行うことになると思う。また、工事計画そのもの、保安規定の審査状況についても、原子力安全専門委員会は確認をしていくと、こういうことになると思う。


◯佐藤委員  以前から議論があるが、住民の事故時の避難計画、これについて、どうしても議論が抜け落ちてしまう。原子力規制委員会も責任を持たない。福井県は、県庁としてはもちろん責任を持つのだけれども、知事の諮問機関であるこの専門委員会も、その問題では専門家としての意見を述べないというので、そこを埋めるということが必要だという議論がある。
 知事は今度──あす開かれる委員会はもうどうしようもないが、次回以降開かれる委員会において、住民、県民が最も心配している避難計画問題についても、専門委員会の場、いわゆる専門家の立場から検証してもらうという考えはあるか。


◯安全環境部長  県の原子力安全専門委員会であるが、これまでもプラントの安全性を工学的観点、技術的な観点から確認するということを目的としている。佐藤委員指摘の避難を含めた防災避難、そういったものは、これまでも当委員会の議論の対象とはしていない。


◯佐藤委員  これは以前からそうなのはわかっている。けれども、福島事故後、そういうことが県民の一番の心配事ではないか。
 県庁がその仕事をしているのはわかる。けれども、専門委員会のような場をつくって、同じメンバーだけではだめだろうが、メンバーを変えるか、別の委員会をつくるかは別として、きちんと専門家のそういう検討を得るということは考えないか。


◯安全環境部長  今、福井県では、もう既に避難計画要綱をつくっている。防災訓練も実施した。そして今、課題になっているのは、近隣府県との広域的な課題ということで、ここのところについては、国のワーキンググループのほうが調整、あるいは、その検証をしているので、まずは、そのような場で防災体制のさらなる充実というものを図っていきたいというふうに考えている。


◯佐藤委員  しかし、いろいろお聞きすると、例えば、奈良県とか兵庫県に避難する場合に、その避難場所が、いわゆる警戒区域とか土砂災害の危険区域、そういうところに指定されている場所も結構あるというふうにお聞きしているが、その実態はどうなのか。


◯安全環境部長  今、佐藤委員指摘の奈良県、あるいは兵庫県への広域避難である。これは両県と協議をして、既に平成25年度中には、敦賀市民の避難先として奈良県、これは247の施設がある。それから、小浜市、おおい町、高浜町、若狭町の住民の避難先として、兵庫県に200施設を決定したところである。
 その後、平成26年4月に改正災害対策基本法が施行されて、いわゆる避難生活を送るための指定避難所は、被災者を滞在させるために必要な規模であることのほかに、土砂災害警戒区域を避けるなど、災害による影響が少ない場所であることなどが新たに基準となったところである。
 このため、現在、奈良県及び兵庫県の各市町においては、まさに奈良県民、あるいは兵庫県民みずからの地域住民の安全確保のため、これまでそれぞれ指定した避難所が新たな基準に適合しているかについて調査し、現在、必要な見直しが行われているところと承知している。


◯佐藤委員  計画をつくったといっても、そういう状況である。だから、全然安心できる計画ができたとは言えないではないか。
 いろんな避難訓練の問題もあるし、今回のように実際、避難先がどうなのか、その間のルートがどうなのか、そういう問題があるわけだから、専門家の委員会をつくるか、あるいは、今の委員会を活用するかは別として、きちんと専門家の検証を受けてはいかがかということを提案しているのである。なぜそれができないか。


◯安全環境部長  防災対策がこれで終わりということはなく、日々充実させていかなければならないものである。制度もさまざまに変わっていく。
 そういった意味で、当面、現在の私どもの対応としては、先ほども申し上げたが、県は県として、これまでも計画をつくり訓練もしているが、残された広域的な課題については、国のワーキンググループという場で検証、あるいは、さらなる充実を検討していきたいと考えている。


◯佐藤委員  県の原子力安全専門委員会で工学的には検証するけれども、肝心のソフト面、住民の避難がどうなのかということについて、まだ穴があいたまま再稼働に進むことは絶対に許されないというふうに思う。
 もう一点尋ねるが、厚生常任委員会の新聞報道によると、再稼働の同意権の問題で議論が交わされたというふうに報道されている。関西電力と京都府が安全協定を結んだが、ここに再稼働の同意権は入っていない。それから、運転再開の事前説明も事故で原子炉を停止した場合に限定しており、今回のように、事故でとまったのではなくて、停止して再稼働するという場合の協定もない。協定というか、協議もないということになっている。
 京都府の山田知事は、議会への答弁の中で、この安全協定については、当初は「福井県並みの再稼働の同意権を持つ安全協定というのを目指すのだ」というふうにおっしゃっていたそうである。ところが、「福井県との調整がデッドロック──暗礁に乗り上げて今回のようになった」と京都府議会ではお話をされているそうであるが、実際、京都府と福井県とのそういう協議、調整というのは、どういう形で行われていたのか。


◯安全環境部長  指摘の安全協定というのは、あくまでも事業者と自治体との間で交わされる紳士協定である。だから、今回の指摘の京都府と関西電力との安全協定についても、その双方で検討がなされたものと考えている。


◯佐藤委員  要するに、関西電力と京都府の協定だからその双方の協定だと、こういうのか。それはそのとおりであるけれども、何でわざわざ京都府知事が議会で「福井県との調整がデッドロックに乗り上げた」などと言うのか。


◯安全環境部長  京都府知事の発言については、詳細を承知していない。


◯佐藤委員  結局、直接県が言う言わないは別であるが、やはり関西電力を通じてそういうことを働きかけるということもあったのではないかなというように思う。
 これは、本当に私は重大だと思う。つまり、地方自治、地方分権、それぞれの自治体がそれぞれの責任で自分の地域の住民を守る、こういうことである。場合によっては、原発の再稼働は困るという、そういう権利もあるということを京都府は最初考えていたわけである。結果的に、その権利はなくなったということになるわけである。
 だから、本当に福井県庁、あるいは関西電力が、そういう地域の自治体が原発のそういう心配があるのだから、それぞれの地域の住民の安全を守るということに対して干渉するのは、知事おかしいと思わないか。


◯知  事  極端な前提で言われるから、ちょっと話が………。


◯佐藤委員  京都府知事の………。


◯知  事  それは、京都府のお考えであって、我々にそんなことを聞かれてもどうにもならない。京都の議会でやっていただいたほうがよろしいと思う。
 我々は、発電所の問題は、プラント自体の安全の確保、事故の制圧、避難の問題。避難の問題が一番外縁部にあるから、いろんな条件があるし、年々これは内容を充実しなければならないわけであるので、おのずと強さとか濃淡、それから必要性の違いがある。それを、三つのレベルで安全を確保しようという事柄である。


◯田中(敏)副委員長  時間である。


◯佐藤委員  時間が来たのでこれで終わるが、原発再稼働に反対して、意見を表明して終わる。

                              ~以  上~

2015年2月福井県議会一般質問。原発再稼働、予算案、介護、高志中学校入学者選抜

2015年05月09日 | 福井県政
  2015年2月24日におこなわれた福井県議会一般質問です。


◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。

 まず、原発問題で質問いたします。
 今、鹿児島の川内原発、福井の高浜原発の再稼働手続が進められていますが、再稼働の前提となる新規制基準には、過酷事故に対する住民の安全確保も、複数の原発が同時に事故を起こした場合の対策も考慮されておらず、多くの国民、県民が反対しております。何より4年前の福島原発事故は、終息するどころか、その処理は混迷をきわめています。4年たっても修理もできない。高濃度の放射能汚染水が漏れ続けている原発技術に、国民は不信感を増大させております。現場では、労災事故も相次いでおります。いまだに12万人を超える住民がふるさとの自宅に戻ることができない、営業再開ができないと放射能汚染の現実に苦しんでいます。政府や東京電力は、被災地の営業に関する損害賠償について、来年2月で打ち切るとしたことについて、福島県では、激しい怒りが広がっています。私たち福井県民は、この政府と電力会社の無責任な態度をよくよく見ておかなければなりません。福島の被災者切り捨てと原発再稼働は一体として進められようとしているのであり、どちらも民意に反し、断じて容認はできません。
 そこで、質問いたします。西川知事は、提案理由説明において、県としては、国民の原子力の重要性に対する理解はいまだ十分とはいえず、政府が国民に対ししっかりと説明、説得する必要があることを初め、エネルギーミックスの明確化、中間貯蔵施設の県外立地に係る国の積極的関与、福島事故を教訓にした事故制圧体制の充実、強化など、本県がこれまで要請してきた事項について、国の責任ある回答がなされることが判断の前提となると述べました。
 知事にお尋ねします。この前提条件のどれ一つを欠いても、福井県としては再稼働の判断へ進めないということなのかお尋ねをします。
 また、提案理由説明では、「政府が国民に対し、しっかりと説明・説得する必要がある」と述べておりますが、政府は、地元の要望に応えて説明に出向くとしているのであり、知事として、きちんと政府に対して県民への説明会の開催を要請すべきではありませんか。毎日新聞社説でも、地域住民の生の声に耳を傾け、みずからの判断に生かしていくことが知事の責務のはずだと指摘されました。知事の明快な答弁を求めます。
 ところで、福井県民の間でも原発再稼働の賛否は大きく分かれております。福井県民が再稼働反対署名の実行委員会をつくり、県内外から20万5,000人の西川知事宛ての署名が福井県庁に持ち込まれました。私自身も福井市内で署名運動に取り組みました。これまでいろんな署名運動に取り組んできましたが、一番共感される署名だと痛感をいたします。それは、先に述べた福島原発事故の4年の現実が、実態の上でも、感情の上でも、知事さん原発は動かさないでくださいと、こういう願いとなっているからだと思います。かつて、栗田元知事は、繰り返しきちんと知事みずから原発増設反対などの署名を受け取り、県民との意見交換に応じられました。西川知事は、今のところ応じられておりません。福井県知事として、国に説明責任を果たすよう要求するだけではなく、まず知事みずから再稼働反対の県民の声に真摯に耳を傾ける姿勢が必要ではありませんか。西川知事みずからが署名を受け取り、県民との意見交換に応じることを強く求めます。知事の答弁を求めます。


 次に、予算案に関して質問します。
 知事は提案理由説明で、消費喚起対策について、「まず、県民消費喚起につなげるため、県民向けに2割のプレミアムがついた総額36億円の商品券を市町と協調して発行します。なお、経済負担の大きい多子世帯やひとり親世帯には、さらに割安で購入できるよう配慮いたします」と述べました。これは、消費税増税での個人消費落ち込みをカバーしようというカンフル剤のようなものでしょうが、大きな盲点があるのではないでしょうか。
 言うまでもなく、消費税の最大の問題は逆進性です。低所得者層ほど打撃が大きいのです。つまり、8,000円とか1万円とかのお金を出してプレミアム商品券を買う余裕のない県民、低所得世帯への配慮が欠けているのではないでしょうか。政府の補正予算には、自治体が行う低所得者向け灯油購入費助成制度への財政支援が盛り込まれております。こういう制度の積極活用をせずに、プレミアム商品券などにとどまる県の制度設計は、弱者に冷たいと言わざるを得ません。上から目線の制度設計ではなく、本当に困っている低所得者世帯、母子・父子家庭などに行き届く対策を講じてこそ、消費税増税にあえぐ県民への支援策となるのではないでしょうか。実際、今申し上げましたように、今回の政府の事業では、福祉灯油事業なども可能であります。つまり県民に商品券購入のためのお金を準備させるのではなく、ダイレクトに灯油代やガソリン代に使える商品券などの配布が可能なわけです。手法はいろいろありますけれども、直接、低所得者の生活を支援する施策を強く求めますが、知事の見解をお尋ねをいたします。


 次に、安倍政権が進める介護の大改悪について質問します。
 来年度予算案で政府は、社会保障費の自然増を抑制するとしています。特に重大なのは、介護報酬の2.27%引き下げという過去最大規模の削減です。今、介護の現場は深刻な人手不足にあえぎ、それが介護難民増大の一因ともなっております。警察庁によれば、過去5年間で介護・看病疲れによる殺人、自殺は1,741件、年平均348件に上ります。毎日のようにこうした痛ましい事件が日本のどこかで起きているのです。福井県内でも介護をめぐる事件が起こっております。介護現場はどうなっているのでしょうか。
 介護の現場で働く皆さんからは、「こんなに毎日毎日疲労こんぱいになって働いているのに、これだけの給料しかもらえないのかと思う」との声が相次いでおります。福井県の資料によれば、この5年間、平成21年から25年に採用された介護職員は県内で9,287人です。同じ時期に離職された介護職員は5,924人です。県は、この実態をどう分析しているのですか。今回の政府の介護報酬削減が現場での介護職の離職と介護崩壊に一層拍車をかけかねない事態ではありませんか。県の見解と対応をお尋ねします。


 次に、高志中学校入学者選抜について質問します。
 「小学生からお受験競争を引き起こしかねない」と女性団体や教育関係者らが反対してきた中高一貫校である高志中学校の選抜が行われました。
 今回の適性検査問題について、教育の専門家からも、「総じて基礎学力を問う問題が少なく、かなり難易度の高い問題が多い。国語や算数では、小学校の指導内容ではない問題もある。県立高校入試で定着している教科書準拠の問題という目安からは、かなり踏み出している。これでは特別な塾や難解問題集の学習を盛んにしていくことになり、教育上は問題だ」と、こういう指摘が出されております。これは非常に重大です。つまり、現在の小学校の教員が教科書に沿った授業をしても解けない問題が出される。そのことによって県立中学校に合格できないとなれば、教育現場に新たな不信感が生まれかねないからです。教師と子供たち、親御さんの間にくさびを打ち込むような試験がなぜ行われたのでしょうか。さらに、教科書の範囲を超えての授業に現場教師が追い込まれることになれば、今でも過労の現場に拍車をかけることになります。
 そこでお尋ねをします。なぜ高校入試では当たり前になっている教科書準拠の問題という目安を今回の中学入試ではとらなかったのか、お答えください。
 また、科目ごとの受験生全体と合格者の平均得点がそれぞれ何点であったのか、さらに今回の選考結果について、教育委員会はどう評価し次年度に生かしていくのか、お尋ねをいたします。


 次に、農業問題について質問します。
 安倍総理と自民党の稲田政調会長を先頭に進める農協改革は、現場の声や必要性から出発したものではありません。TPP反対の中心となってきたJA全中、農協を潰そうという狙いが見え見えです。実際、私がお話を聞いたあるJA幹部の方は、この状況ではTPPの取り組みが弱くならざるを得ないと苦渋の表情で話されておりました。
 農協の改革は、協同組合にふさわしく自主的に行うべきです。そもそも農協は、地域住民の生活全体にかかわる事業を、個々の面では赤字でも、総合的に実施して運営をしております。弱肉強食の競争社会、投資家の利益優先の株式会社ではできない事業を協同組合として行っていることを、直視しなくてはなりません。さらに今、農業者は空前の米価暴落に襲われ、円安による生産費の高騰も加わって未曾有の危機に直面してます。政府が力を入れる大規模経営の農家からも、「所得倍増どころか赤字倍増だ」と悲鳴が上がっています。米価暴落への緊急対策こそ求められています。このような状況が進むままで「ポストこしひかり」を鼓舞しても、土台が崩れかねないではありませんか。
 TPP交渉が重要な局面を迎えています。全国の農家は、交渉内容を何も知らされず、不安を募らせています。日米合意に向け、日本側は米など重要5項目について譲歩案を検討していると報道されております。米では、アメリカが特別枠で主食米の輸入を5万から20万トンふやすよう要求、今でも暴落している米価の暴落に拍車をかけかねない状況です。政府はこれを行うために、国産米の隔離まで検討しているというものです。さらに、牛肉は、38.5%の関税を9%に引き下げる。豚肉は、1キロ482円の関税を50円にまで引き下げるとされています。今でも畜産危機であり、全員協議会でも同僚議員から心配の声が上がりました。日本は今でも北朝鮮並みの自給率と言われているのです。TPPは、日本の食の決定的な破壊につながりかねない、国を滅ぼしかねない危険な方向です。
 自給率の低さゆえ、日本は世界人口の2%の人口で世界の食料の10%を買いあさっているではありませんか。世界の食料不足を考えても、日本農業の高い生産性など農業を大事にして、底力を生かして食料自給率を抜本的に向上させることが必要です。
 私の問い合わせに福井県は、TPP対応の会議は最近開いていないということでした。実際は、TPP交渉は風雲急を告げております。TPP反対のセンターでもあったJA全中を事実上解体し、アメリカの言いなりでじっくり日本を料理していこうというアメリカ主導のTPPは、明らかに国会決議に違反する領域に入りました。知事として政府に、TPP交渉から脱退を強く求めるべきではありませんか。見解をお尋ねいたします。


 次に、戦後70年と知事の認識について質問します。
 先日、シベリア抑留体験者の方のお話をお聞きしました。88歳のその方は、先日、シベリアの仲間が鯖江市から尋ねてきた。シベリアでは福井出身者同士で仲よくしていた。引き揚げてきたけれども、共産党の人が「御苦労さんやった。おかゆを食べてくれ、ゆっくり食べなさいと温かく迎えてくれたのには当時感激した。当時の大本営は、私たちを見捨ててソ連の捕虜にさせた。十分な償いを国から受けていない」と、きのうのことのように怒りを込めて語られました。
 当時の関東軍は、「天皇制、国体護持」を最大の目的にして、満州に残された日本人の扱いについて、「労働力などとして使ってもらえば結構だ」と、そういう文書をソ連軍に出しておりました。そこにスターリンが目をつけて、ちゅうちょなく日本人捕虜を当時の満州からソ連に持ち帰り、労働力として使うことを決めたわけです。日本人捕虜のシベリア送りと強制労働という旧ソ連の国際法違反の蛮行の引き金を引いたのは、大本営だったのです。
 この文書は、当時の大本営から関東軍に派遣されていた瀬島龍三参謀(後の中曽根内閣での臨時行政調査会委員)が書いたものです。多くのシベリア抑留者の悲劇は、ここから始まりました。国のためにと異国の地で戦った日本人、福井県民を見捨てた当時の軍国日本と戦争を美化し、再び戦争する国づくりへ進むことは絶対に許されません。
 福井県によりますと、1931年以降の戦没者は2万8,284人、福井市、敦賀市の空襲犠牲者は1,757人です。また、県は、県民のシベリア抑留者の数はわからないとしておりますが、シベリアからの帰還者数は5,736人としています。厚生労働省は、シベリアで6万人ぐらいが死亡したとしておりますので、多くの福井県民も犠牲になったことは明らかです。
 ことしは、第2次世界大戦が終結して70年の歴史的な節目の年です。この年が日本とアジア諸国との和解と友好に向かう新たな一歩となることを、アジアを初め、世界の多くの人々と大多数の日本国民が願っております。
 西川知事にお尋ねします。政府として「村山談話」の核心的内容である「植民地支配と侵略への痛切な反省」との態度を堅持することが大切ではありませんか。また、戦後70年間、日本が戦争によって一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さなかったのは、日本国憲法、特に戦争を放棄した第9条があったからだと考えますが、知事の認識をお尋ねいたします。
 さらに、沖縄戦や広島・長崎の原爆の犠牲となった福井県民も少なくありません。戦争の悲惨さを今日に伝え、若い世代に語り継ぐことは、県としての大事な仕事です。戦後70年に当たり、戦争の実態と福井県民の犠牲を語り伝えるための企画展示などを行うことを提案いたしますが、知事の見解をお尋ねいたします。


 最後に、「戦争は秘密から始まる」と多くの国民が廃止を求めている特定秘密保護法について質問いたします。
 福井県警察本部が警察庁から通知、または、提供を受けた特定秘密の状況をお尋ねするとともに、特定秘密の扱いについての今後の県警察本部の対応とその福井県民への影響をお尋ねして、私の質問を終わります。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、原子力政策についてであります。
 提案理由等での説明をもとに、さまざまな前提条件を欠いた場合には、原子力発電所、高浜発電所の再稼働の判断は進めないのかとの御質問であります。
 原子力の重要性に対する国民への説明、あるいは十分な説得など今月17日に国の資源エネルギー庁に対し要請した事項は、いずれも福井県が国に対し繰り返し求めているものであります。これらの事項は、全体としていろんな項目が含まれておりまして、実現までに時間がかかるものもありましょうし、性質はさまざまでありまして、それぞれの要請項目に対する国の状況も見ながら県として判断していくことになると思います。
 それから、提案理由において「政府が国民に対し、しっかりと説明・説得する必要がある」と述べているけれども、政府は、地元の要望に応えて説明に出向くとしていると。そして、県としては、政府に対し県民への説明会の開催を要請するべきではないかという御質問です。
 原子力発電所の発電の重要性、あるいは原子力発電の必要性につきましては、国民理解がいまだ十分ではないことから、県としては、政府が国民全体に対し、これらをしっかり説明、あるいは説得するよう求めているところであります。一方、原子力発電所の安全性等に係る住民説明会の開催及びその方法については、市町がそれぞれの地域の実情に応じて判断すべきものであります。こういうことでありますので、規制委員会等、地元からの要望があれば、みずからの責任において規制委員会が説明会を開き、住民に対する説明責任を果たす必要があると、このように考えております。
 それから、知事みずからが再稼働反対の署名活動について、受け取って県民との意見交換に応じるべきではないかとの御質問であります。
 今回の市民団体といいますか、団体からの署名につきましては、指定した日時と場所と対応者などについて具体的な内容をお伝えし、最も詳しい責任者がそれについてお答えするということであります。原子力発電にかかわるさまざまな要請や署名については、これまでも県として責任を持って対応しているところでありまして、今後ともそうした方法で適切に対応してまいりたいと考えます。
 次に、農業行政であります。
 TPP反対のJA全中のいわゆる解体といいますか、アメリカ主導のTPPは明らかに国会決議に反する分野に入っていると。政府にTPP交渉からの脱退を求めるべきではないかとの御質問です。
 TPPは、我が日本の経済的な効果、あるいはアジア・太平洋地域での新たな経済秩序をつくるという狙いのものと理解しており、その交渉や脱退の判断などは、政府が責任を持って行うべきものであります。政府は、重要品目を守るとした国会決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求すると表明しており、地方から進言するまでもなく、国会決議を十分尊重しながら今後の交渉を進めていくべきものと考えております。
 県といたしましては、これまでも、農林漁業者が不安なく前向きに生産を継続し、農林水産業が持続的に発展していけるよう、国に対し、力強い農林水産業を実現する政策を責任を持って進めるよう働きかけており、今後とも必要な働きかけを行ってまいります。
 次に、戦後70年の課題でありますが、政府として、いわゆる「村山談話」の堅持が大切であり、戦後70年、戦争によって戦死者を出さない、あるいは外国人を殺さない、戦争を放棄した日本国憲法第9条があったためと考えるがどうかとの御質問です。
 シベリア抑留などいろいろ述べられましたが、その問題については、さまざまな考え方があるのかもしれないと思っております。戦後70年間、日本の国土は焦土からの再生を果たし、日本経済は世界に類を見ない速さで復興を遂げたわけであります。
 この問題については、憲法第9条という議論ももちろんあるのかもしれませんが、例えば、昭和26年に、当時の吉田茂首相が日本の再軍備について、アメリカからの要請を断っているということもあったでしょうし、何よりも、日本といいますか、日本国民が戦争体験をもとに二度とそういうことはすべきではないという強い決意といいますか、国民の覚悟、これがこうした今日の平和といいますか、繁栄、こういうものにつながってきたのかなと思っているところであります。
 その他については、関係部長から答弁いたします。

◯議長(田村康夫君) 健康福祉部長山内君。
    〔健康福祉部長山内和芳君登壇〕

◯健康福祉部長(山内和芳君) 私から3点お答え申し上げます。
 まず、予算案に関しまして、プレミアム商品券の発行に関連して、直接、低所得者の生活を支援する施策を実施すべきではないかという御質問でございます。
 今回のプレミアム商品券は、低所得者対策ということではなくて、消費喚起を目的として実施するものでございます。県では、より強力に子育て支援を行うといった観点から、経済的負担の大きい多子世帯、また、ひとり親世帯については、さらに割安で購入できるような配慮をさせていただいたところでございます。
 なお、国のほうにおきましては、低所得者への消費税負担の軽減対策といたしまして、今年度市町村民税非課税世帯員の1人当たりにつきまして、1万円の臨時福祉給付金を支給したところでございますが、来年度におきましても、1人につき6,000円を支給するということになっております。
 次に、福祉行政に関連しまして、県は、介護職の実態をどう分析しているのか。また、今回の介護報酬の削減が離職や介護崩壊に拍車をかけかねないといったことについての所見ということでございます。
 昨年の県の調査──大体、県内1,200事業所がありますけれども、約9,500人の在職者に対しまして離職された方は約1,300人ということで、離職率は13.5%、全国の離職率は16.6%ということで、それよりは低くなっております。全体といたしまして、介護職の方の数につきましては、毎年約500人の増加となっているところでございます。また、常勤と非常勤を含めた平均賃金ですが、前年度に比べますと、月額で約4,000円上昇しておりまして、約20万6,000円となっておりまして、これは東京、神奈川といった大都市圏に次ぎまして、全国では5番目に高い状況となっておりまして、これまでも事業者に対しまして、助言や指導を行ってきた成果が上がっているのかなと考えております。
 また、今回の介護報酬の改定ですが、基本報酬の引き下げによりまして、全体としては2.27%の減ということでございますけれども、職員の処遇改善加算につきましては、賃金が月額1万2,000円ふえるようにということで、1.65%の引き上げとなっているところでございます。
 県といたしましては、この拡充された処遇改善加算、これを確実に実施していただくようにということで、それが重要でございますし、また、新たに処遇改善や働きやすい職場づくりに積極的に取り組む事業者につきまして、そういった情報を「見える化」といいますか、そういったことを行って経営努力を促すといったことで、賃金、また、労働環境の改善を進めるようにして、サービスを支える人材の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
 最後に、3点目といたしまして、戦後70年に当たりまして、戦争の実態、または、県民の犠牲を語り継ぐための企画展示を行ってはどうかという御質問でございます。
 戦争の記憶が薄れようとしている今日、戦争で多くのとうとい犠牲があったことを語り継ぐことは大切であるというふうに考えております。このため、県におきましては、毎年、戦没者追悼式を行いまして、現在の平和と繁栄の礎を築いた戦没者への追悼の意をあらわすとともに、未来にわたり安心で幸せな社会を築き上げていく誓いを新たにしているところでございます。
 本年、戦後70年を迎えまして、戦災、または震災を経て県民のたゆまぬ努力によりまして築き上げてきたこの豊かな暮らしを振り返り、今後の県勢発展の方向を見据えるような、そういった機会になればというふうに考えております。

◯議長(田村康夫君) 教育長林君。
    〔教育長林 雅則君登壇〕

◯教育長(林 雅則君) 教育行政について2点お答えいたします。
 高志中学校の入試において、教科書準拠をとらなかったことについて、そして、受験生全体合格者の得点、さらには、その評価と活用について、あわせてお答えさせていただきます。
 まず、公立中高一貫教育校につきましては、高校のような入学者選抜試験というものを行うことはできないようになっております。他県の公立中高一貫教育校でも、小学校教科書のいわゆる知識量とか記憶力のみを評価するだけでなく、中学校入学後の学習への対応力を判断する適性検査を行っております。このため、高志中学校では、小学校の教科書で学んだ内容をもとに、自分で考える力、自分の考えをあらわす力、中学校で学ぶ意欲などを見るために、特に、福井県の日常生活に関連した問題を多く出題したところであります。その結果、文章を読んで論点をまとめる検査Iというもの、そして、図形や数に関して論理的に考える検査IIという区分、そして、資料とかデータから自然、あるいは社会の現象を考える検査III、この三つに分けております。そして、あわせて将来の自分の目標を表現する作文、この4点について試験をしますが、それぞれ合格者の得点としましては、おおむね6割程度となっております。また、受験生全体を見ますと、その合格者よりは2割程度下回るような状況になったところでございます。
 こうした出題内容は、これまで学習したことが将来どんなことに役立つのかを考えさせ、日常生活に応用して考える力や表現力、こういったものを育むことになりまして、そうした子供の力をより引き出すものとなると考えておりまして、今回の結果につきましては、高志中学校の教育のみならず、本県教育全体のさらなる向上のために活用していきたいというふうに考えております。

◯議長(田村康夫君) 警察本部長井上君。
    〔警察本部長井上一志君登壇〕

◯警察本部長(井上一志君) 特定秘密保護法に関する御質問にお答えいたします。
 まず、警察庁からの通知提供の状況についてであります。当県警察では、現時点、特定秘密保護法第5条第2項に基づき、警察庁から2件の通知を受領しております。また、同法第7条第1項に基づく提供については受けておりません。
 次に、今後の対応及び県民への影響についてであります。県警察といたしましては、同法、同法施行令、運用基準、警察庁からの指示、県警察における特定秘密の保護に関する訓令等に基づき、特定秘密を適切に保護するとともに、これを的確に活用し、引き続き県民の安全を確保してまいります。

◯議長(田村康夫君) 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) まず、西川知事に、原発関係で再質問いたしますけれども、県民の説明について、要するに知事は、国民全体の理解が十分でないということで、国にちゃんと説得しなさいということを求めているとおっしゃった。具体的なその再稼働に当たっての説明は、立地の市町と規制委員会で相談してやっていただきたいというような答弁だったと思うのですが、福井県民全体をとってみても、理解が不十分だという認識だと思うのです。そういう認識ではないのでしょうか。だから、もし福井県民全体としても、知事から見れば原発に対する理解が不十分だと、それは再稼働反対の署名の数にもあらわれているわけですから、福井県民全体を対象にして、それは別に高浜町とか、そういう立地の市町だけの問題ではなくて、福井県が責任を持ってちゃんと説明会を要請すべきじゃありませんか。そこはちょっとごまかさないで答えていただきたいと思うのです。
 署名の受け取りの問題は、一番詳しい責任者が答えるということではなくて、これはやはり最終的な判断は知事に責任が、ある意味では、福井県としての判断は知事に責任が出てくるわけです。だから、多分前の栗田知事は、そういうお気持ちでみずから繰り返しそういう署名を受け取られたのだというふうに思うわけです。ですから、そういう立場に立っていただきたいということを求めているわけですが、そこはきちんともう一度、政治家というか、政治責任を一番負うのは西川知事ですから、そこはちゃんと明確に御答弁をいただきたいというふうに思います。
 それから、山内健康福祉部長に1点だけお尋ねしますが、低所得者支援の関係で、今回は低所得者対策ではないのだと、消費喚起だというふうに御答弁をされました。それで、国の内閣官房の資料で、地域住民生活と緊急支援のための交付金の資料を見ると、地域消費喚起で生活支援型と、こう書いてあるわけです。だから、福井県は、地域消費喚起はやったけれども、生活支援をなぜやらないのかと。国はそういう制度をわざわざつくっているわけですから、なぜやらないのかということをお尋ねしているのです。
 ですから、国が示しているメニュー例では、プレミアム商品券、ふるさと旅行券とかいうことが紹介してあって、三つ目に低所得者向けに灯油などの購入を助成する。それもこの事業でやっていただいて結構ですよと。メニューまでちゃんと書いてあるではありませんか。だから、何で福井県はやらないのですか。その点をちょっと明確に答弁してください。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 説明につきましては、説明をどんな形式でどうやるかということにこだわることが重要なのではなくて、全体として県民、そして、もちろんそれぞれの地元、何よりも国民がこのことを理解し、福井県のこうした状況を信頼を持って理解してくれるかが重要でありますので、そういう姿勢で従来からこの問題に臨んでいるわけであります。そして、福井県は、多くの原子力発電所がございますし、それぞれ立地状況が違います。前回は大飯発電所でありましたし、今回は高浜の発電所でありますから、それぞれ基本的には、地元の説明等については市や町が中心になってこの問題に対応をしているという方法をとっているということであります。
 それから、署名の受け取りについては、これはまた手続をどうするかという議論をおっしゃっておられるようですけれども、内容的に最も詳しい責任者がそれを受け取り、私がそれを理解し、責任を持ってどう対応するかという問題であると、このように思っております。

◯議長(田村康夫君) 健康福祉部長山内君。

◯健康福祉部長(山内和芳君) 今回の交付金のメニューの中で、本県としましては、今回消費喚起型のためのプレミアム商品券の発行という事業をさせていただくということに決めたということでございます。

◯議長(田村康夫君) 発言時間わずかです。簡潔に願います。
 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事、もう一点だけ聞きますけれども、知事が責任を持って県民の声を聞くという立場にどうして立てないのですか。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) これまでも責任を持って聞いているつもりでございますけれども。

憲法改悪反対共同センターが福井県議会に「安保法制反対」請願、再稼働反対金曜行動

2015年05月09日 | 福井県政

   昨日は、憲法改悪反対共同センターが福井県議会に安保法制反対の請願をおこない、私も同席しました。改選後初の請願です。日本歴史の重大な岐路、ふたたび戦争し、「殺し殺される国」にしてはなりません。県議会での採択をもとめてがんばります。
請願書は県議会の吉田議事調査課長が受け取りました。
 午後は会議、夜は再稼働反対金曜行動に参加しました。参加者からは県原子力安全専門委員会を傍聴した報告や、ニューヨークでのNPT参加の報告、原発裁判の報告などがおこなわれました。県民の粘り強いたたかいで原発ゼロをめざしましょう!








 ■憲法改悪に反対し九条を守る福井県共同センターニュースより

   福井県議会へ「安保法制反対」請願提出

 

  憲法改悪に反対し九条を守る福井県共同センターは5月8日、福井県議会に「安保法制(関連法案)」に反対し、憲法9条を守るための請願を提出しました。同「共同センター」の運営委員5名はそれぞれが、安倍内閣の憲法改悪・自衛値の海外派兵が進もうとする動きに反対し、福井県議会が請願の趣旨を理解し採択するよう要請しました。

 平澤孝運営委員(県労連)は、請願書を読み上げ採択を要請しました。

鈴木孝典運営委員(福井県高教組)は、教育現場では戦後一貫して「教え子を戦場に送るな」と平和と憲法の尊さを伝えてきた。平和を伝えて70年、今180度の返還の動き。高校生の進路選択に自衛隊もあるが、それは住民の安全と災害復旧などが目標。教え子を戦場には送れない。世論は「数段的自衛権の行使反対」が多数。

 多田初江代表世話人(新婦人福井県本部)は、新婦人創立53年、一貫して軍国主義と憲法改悪反対、子ども・孫を戦争に送るな運動を進めてきた。安倍内閣の戦争で人を殺す政策ストップは特別な思いでいる。中学校で自衛隊見学があるが、その自衛隊が戦争に参加する動き。生命を生み出す女性として、何としても戦争反対する。

 佐々木紀明運営委員(福井民医連)は、医療機関として、命と健康を守ることを一貫して主張し運動を進めてきた。今も、沖縄辺野古へ米軍基地を作るなの運動に現地に人を送り込んで、平和の運動を進めている。沖縄でも、本土でも、基地はいらない・戦争反対の民意は明らか。安保法制で解釈改憲はやめるべきだ。

 松原信也運営委員(革新懇)は、特定秘密保護法で県内野党4党が「反対の共同声明」を発表し、集団的自衛権容認の閣議決定も国民の多数が反対の意思表示を行った。それに連動する安保法制の関連法案は戦争へ直結する法制整備で強く反対する。福井県議会で慎重に審議し、請願の採択を要請する。

 同席した佐藤正雄県会議員(日本共産党)は、政府は「安保法制関連法案」を国会延長してでも強制採択を強行しようとしている。福井県議会でも急いで請願を採択し、意見書を国会へ送るよう、その取り組みを進めたい。と述べました。

 請願提出後、各団体代表(運営委員)は、「安保法制反対」の取り組みを一層強め、民主団体の交流会や幅広い一点共闘を進めようと、当面する活動を確認しました。