2015年3月5日 福井県議会予算特別委員会での質疑を紹介します。
「北陸新幹線と在来線三セク化について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
最初に、新幹線の建設と、それにかかわって、在来線の三セク化の問題について尋ねる。
新幹線の金沢開業が目前となった。私は、敦賀開業時にフリーゲージトレインの開発が間に合わないということで、敦賀での乗りかえが発生するのは、利用者にとって利便性が大きく低下するということで、現在の特急の運行を継続すべきだと求めている。
この問題は、金沢開業時にも発生するわけである。先日の新聞報道でも、大阪-富山間の時間短縮効果は8分間、一方、料金の値上げは700円と、経済メリットはない。このように、サンダーバードが金沢どまりになる問題点が報道されていた。
北陸3県と関西間の鉄道移動は延べ1,650万人、首都圏との移動の2.5倍あるわけである。しかし、関西間の移動では、富山県は240万人、福井県は1,030万人ということで、福井県は大変関西圏と結びつきが強いと、こういうことだと思う。それで、福井と関西間の鉄道の利便性が新幹線によって低下する影響というのは、富山県の比ではないということは明らかだと思う。3年前倒しするとか、福井先行開業とか、いろいろ議論があるが、そういう浮き足立つだけではなくて、改めて真剣に、この問題の対策検討を求めたいというように思う。
あわせて、私は、これまで新幹線に伴う在来線の第三セクター化は、十分県民に説明がなされていないという問題を指摘してきた。市民団体の調査でも、「知らない」という方が4割を超えている。特急がなくなるということを知らないという方も5割近く、北陸線のJRからの経営分離に反対する方は66%ということになっている。
だから、多くの県民の方が、新幹線に伴う北陸本線、第三セクター化の真実を知らされないままに3年前倒しというようなことで進めていくことは、県民軽視で極めて無責任だというように思う。
説明責任が十分果たされていないということについて、西川知事の見解を尋ねる。
◯新幹線・交通政策監 今、県としては、北陸新幹線の早期開業とあわせて、並行在来線となる北陸本線の地域鉄道としての存続、これについて、県民の理解を得ながら進めることが重要というふうに考えているところである。
これまでも、県民を対象とした講演会や出前講座の開催、パンフレットやホームページなど、各種広報を通じて、新幹線の早期開業の必要性と並行在来線の第三セクター化について説明を行ってきたところである。また、先日、2月末にも説明に出向いて、いろいろ県民の方に説明を申し上げているところである。
これからも県民の理解が得られるよう、さまざまな機会を捉えて周知を図っていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 周知を図っていくのは当然なのであるが、要するに、昨年の市民団体の調査でも、こういう数字が出ているわけである。
西川知事にお答え願いたいわけであるが、知事は、この原発の問題では、国民合意がまだ不足しているということで政府の尻をたたかれるわけである。みずからが進める新幹線の建設とセットの、いわゆる北陸線の第三セクター化、これについては、県民合意が得られていない。県民も知らない。7割の県民が反対している。こういう県民合意が不十分なままで推し進めるというのは、おかしいではないか。
知事、答えて。──何で知事が答えない。知事が答えて。
◯新幹線・交通政策監 県民の皆さんへ周知活動を行っているわけであるが、それと、県民の方々に県民合意をどういうふうに図っていくかということについては、あらゆる機会を通じて理解を求めていくということで、これまでもやってきたし、今後とも、そういう方向で努力していきたいというふうに思っている。
◯佐藤委員 知事、ちゃんと答えて。
原発では、国民合意が形成されていないということで国の尻をたたいているのに、県が進める事業では、県民の合意が非常に不十分なまま、なぜ進めるのか。
◯知 事 二つの話は、全然事柄が違うと思う。
◯佐藤委員 行政とか国が進める、あるいは、県が進める事業で、どれだけ合意が得られているかということでは、同じ問題である。
では、あわせて、この第三セクターに向けて、準備状況を尋ねる。
このJRの資産調査、それからJRとの資産譲渡、これについてのJRとの協議、県と市町との役割分担協議、第三セクター化された場合の需要予測調査の計画、これはどうなっているか。
◯新幹線・交通政策監 並行在来線の第三セクター化に向けては、県、沿線市町、経済団体からなる並行在来線対策協議会、これを平成24年度末に設置しており、昨年度は、北陸本線の駅、線路などの鉄道資産の現況調査をしたところである。
来年度以降、さらに旅客流動調査とか将来需要予測調査、また、収支予測調査、こういった必要な調査を順次実施して、鉄道資産がどの程度になるのかといったことや、また、鉄道資産の譲渡とか運行計画等について、JRとも相談しながら協議を進めていきたいというふうに考えている。
また、これらに基づく対策協議会において、第三セクターへの出資、支援のあり方、これについて、県と市町の役割分担等も含めて協議して、開業3年前の平成31年度をめどに、経営計画案を具体的にまとめて明らかにしていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 需要予測調査の問題も、今、答弁があったが、やはり経営の根本にかかわってくる問題だと思う。
JR西日本は、今でいうと、北陸はもちろんであるけれども、関西圏をトータルして収益がどうなるかということが直接問題になるというふうに思う。ところが、福井県の第三セクターは、石川県境から敦賀までという、その区間での収益性が問題なのだということだと思う。当然、厳しくなるということである。
それで、3月14日の新幹線の金沢開業に伴って、JRは、金沢-富山間のシャトル新幹線を運行するということである。だから、従来なら、在来線、第三セクターに流れるお客さんの層もすくいとろうとしているというふうに思う。それから、バス会社も、富山-金沢間の通勤定期を出して、サンダーバードがなくなった後の通勤客を鉄道からバスへ奪おうとしているわけである。
だから、こういう点で、各県ごとに経営体が変わる第三セクターというのは、ますます厳しくならざるを得ないわけである。そのことは結局、石川県の例でも、運賃が3割値上げになるというようなことに出てきていると思う。
だから、はっきり言って、新幹線の料金で県外に行くときも値上げになる。さらに、第三セクターで県内の通勤も値上げになるということでは、これは、県民の家計から見れば大ピンチである。敦賀開業3年前倒しなら、きちんと需要予測調査もするし、それに基づく料金がどうなるのかというのを、やはり、県として示していくということがどうしても必要だと思う。それは、開業3年前でいいのかという問題も出てくると思う。富山、石川がもう開業して、いろんな問題点、課題が見えてくるわけであるから、より早く、福井県民には、そういうアナウンスをしていくということが必要ではないか。
◯新幹線・交通政策監 富山、石川の例で運賃のお話が出たが、運賃については、富山、石川とも、これまでとそんなに値上がりしないような形で──従来、既設のしなの鉄道とか、岩手、青森とか、そういったところにおいては、運賃水準が2割から3割というふうに高く上がっていたわけであるが、今回の北陸新幹線の沿線の場合は、えちごトキめき鉄道については、運賃を据え置く。また、石川、富山についても、1割増しぐらいの運賃のアップで経営をしていくということで、できるだけ国の財政支援も引き出しながら経営を安定させるとともに、利用者の方にも不便をかけないように、きめ細かくやっているところである。
◯佐藤委員 その説明はわかる。説明はわかるが、実際、これから第三セクターの経営がどうなるかというのは、それは厳しくなるのである。よくなる可能性というのは余りない。
例えば、国立国会図書館が2月17日に出した「並行在来線の現状と課題」という小さな資料であるが、これを見てもやはり、国立国会図書館の分析でも、今は例えば、貨物からのいろんなお金が入って何とか経常収支が黒字になっているところでも、これからは、人口減少と利用者の減少によって、なかなかどこも経営は厳しいということを、常識的に分析するわけである。
だから、福井県がやはり、そういうデメリット面もきちんと見て、県民にアナウンスをしていって説明をしていかないと、とにかくいい面だけ、新幹線が来ればよくなる面だけ宣伝していくと、これは大きな問題があるなと思っている。
それと、あわせてもう一点、第三セクターで尋ねたい。
この第三セクターをつくられる際に、北陸3県が今のままだと、ぶつぶつに切られていくわけである。今、言われたように、富山は富山、石川は石川、福井は福井ということで、ぶつぶつに切られていくことになる。これは、保守管理の上でも大きな問題が出てくると思う。
福井県内でいうと、新幹線が経営される。これまでの越美北線など、従来のJR線、これはこれでJRが経営される。それから、いわゆる第三セクターが新しく立ち上がって、これを経営するということになるので、従来は、JRが責任を持っていた巨大な北陸線のシステムが大きく変わるということによって、災害時などにうまく対応できるかどうかという問題も心配されている。
そこで、以前も検討をお願いしたことがあると思うけれども、第三セクターの経営にJR西日本にしっかりとかんでもらうことはもちろんなのであるが、まずは、石川県と統合した、要するに敦賀開業にしろ、あるいは福井先行開業にしろ、石川県も、同じ時期に新しい路線が立ち上がるわけであるから、やはり統合したシステムをつくって、せめてリスクの軽減を図るということを検討すべきではないか。
◯新幹線・交通政策監 これまで第三セクターについては、経営分離された区間は、県単位で会社が設立されているところである。
それについて、相互の乗り入れ、また、災害時の、今指摘のあったような場合の対応、そういったものについては、石川県、富山県においては、現在、JRの支援を受けて、いろんな運行システム等については、統一して共同で運用するということで対応している。
今後、我々福井県が並行在来線を運営するに当たっては、そういうことも含めて、先行事例を十分、並行在来線対策協議会の中で議論をいただいて、現在も、JRの方のオブザーバー参加をいただいているので、その中で十分議論して、そういう運行システムが円滑に進むように進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 先ほど言われた富山、石川の共同のシステム運行というのも、それは、今のシステムの期限までである。要するに、いわゆる保守期限というか、それが過ぎれば、もうそれぞれ別々になるということもあるわけである。だから、それは真剣に考えていただきたいというふうに思う。
「原子力行政について」
次に、原子力問題について質問する。
福島原発事故から4年ということで、間もなく3月11日を迎えるわけであるが、福島では、放射能汚染された廃棄物の中間貯蔵施設の建設について、結果的に福島県内で建設されるということになった。これについて、知事の見解を尋ねる。
◯知 事 福島県内のいわゆる中間貯蔵施設について、その経緯や内容を詳しく承知しているわけではない。
なお、福島県内の中間貯蔵施設は、除染に伴い発生する汚染土、あるいは、廃棄物を保管するものであって、福井県が国及び事業者に強く求めている中間貯蔵というのは、使用済み燃料を保管する中間貯蔵ということで、全くといったほうがいいのか、性質の違うものである。言葉は同じであるが。
◯佐藤委員 性質が違うことは、もちろんわかっている。
要するに、原子力発電に由来する使用済み核燃料、あるいは、原子力発電の事故に由来する汚染物質、これをどこが保管するかということで、結局、今回の場合は、福島に押しつけられたということについて、どう思うかと聞いている。
◯知 事 それは、福島県と国との関係であるから、そういう議論の中で決まったということではないかと思う。
◯佐藤委員 こういう問題は、私、一般質問でも──国の対応、電力事業者の対応を見ていれば、福井県もやはり、そういうことを真剣に考えていかないと、どんどん原子力発電を動かしていけば核のごみは事故がなくてもふえていくわけであるから、そういう問題を真剣に考えなければいけないというように思う。
あわせて、福島では、地震と津波で直接亡くなられた方が1,603名、それに対して、東日本大震災以降亡くなられた方が1,862名ということで、被災された東北3県の中ではずば抜けて、宮城県、岩手県に比べて多くなっているわけである。
なぜ、福島県だけ東日本大震災の地震津波以降の死者がこれだけふえているのかということについて、福井県はどう分析されているか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員の指摘の点であるが、まさに福島県の事柄であって、県として、その理由など詳細については、よく承知をしていない。
この問題であるが、国会でも議論されていることは承知しているけれども、まず、国としてこの問題、何が課題であり、そして、福島の復興に向けて国がどのように取り組むのか、そういう国としての責任ある対応というものが何より重要ではないかと考えている。
◯佐藤委員 宮城、岩手、そして福島。福島は原発事故が加わっているわけである。いまだに12万人近い方が家に戻れない。ふるさとに戻れない。商売を再開できない。先の見通しも放射能汚染で立たないという苦悩が、いろんな形で、こういう死者の増大につながっているというふうに思う。
だから、原発事故は、一旦起これば本当に取り返しがつかないということを今回の福島原発事故そのものが示しているし、その後も、残念ながら、死亡者の極端な増大ということも示しているということを、福井県としては、真摯に受けとめないといけないというように思う。
それで、事故から4年たつのであるが、いまだに原発事故は収束していない。先日も、汚染水が海に流されていて、東京電力が隠していて大変な漁業関係者からの批判が報道されていた。こういう安全上──壊れたのがまともに修理もできない、4年たってもそのまま、これからどうなるかわからない、こういう技術に頼っていていいのか。知事はどう思うか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員指摘の福島原発の今の状況については、まず、事業者たる東京電力、それから、これを規制監督する原子力規制委員会が、地元民、あるいは国民の安全・安心を守るという観点から、しっかり対応していただかなければならない、そういうことかなというふうに考えている。
◯佐藤委員 やはりこういう、一旦事故が起こったときに、もう元に戻せないという技術は本当に問題だと思う。
それで、いよいよ高浜原発がどうなるのかという問題で、福井県は、あす県の原子力安全専門委員会を開催するというふうに発表された。これは知事の諮問機関であるので知事に尋ねるが、知事がこの委員会に諮問する内容、これは、具体的にどういう点を議論してもらおうとお考えなのか。
◯知 事 県の原子力安全専門委員会は、これまでも、いろんな局面で必要な専門的な調査、あるいは、いろんな検討をしてこられたわけであるが、今回、高浜3、4号機の安全対策の進捗状況を、主に工学的見地から節目節目に独自に確認をするということになるわけである。
あすであるが、今回の設置許可の内容について、まず、原子力規制庁から説明を受けるということが前提になる。その上で、引き続き安全対策工事の達成状況、また、いわゆる東京電力での吉田調書などに見られる、現場から吸い上げられた教訓、これについて事業者の運用体制がどうなのか、また、現地調査などによって必要な確認も行うことになると思う。また、工事計画そのもの、保安規定の審査状況についても、原子力安全専門委員会は確認をしていくと、こういうことになると思う。
◯佐藤委員 以前から議論があるが、住民の事故時の避難計画、これについて、どうしても議論が抜け落ちてしまう。原子力規制委員会も責任を持たない。福井県は、県庁としてはもちろん責任を持つのだけれども、知事の諮問機関であるこの専門委員会も、その問題では専門家としての意見を述べないというので、そこを埋めるということが必要だという議論がある。
知事は今度──あす開かれる委員会はもうどうしようもないが、次回以降開かれる委員会において、住民、県民が最も心配している避難計画問題についても、専門委員会の場、いわゆる専門家の立場から検証してもらうという考えはあるか。
◯安全環境部長 県の原子力安全専門委員会であるが、これまでもプラントの安全性を工学的観点、技術的な観点から確認するということを目的としている。佐藤委員指摘の避難を含めた防災避難、そういったものは、これまでも当委員会の議論の対象とはしていない。
◯佐藤委員 これは以前からそうなのはわかっている。けれども、福島事故後、そういうことが県民の一番の心配事ではないか。
県庁がその仕事をしているのはわかる。けれども、専門委員会のような場をつくって、同じメンバーだけではだめだろうが、メンバーを変えるか、別の委員会をつくるかは別として、きちんと専門家のそういう検討を得るということは考えないか。
◯安全環境部長 今、福井県では、もう既に避難計画要綱をつくっている。防災訓練も実施した。そして今、課題になっているのは、近隣府県との広域的な課題ということで、ここのところについては、国のワーキンググループのほうが調整、あるいは、その検証をしているので、まずは、そのような場で防災体制のさらなる充実というものを図っていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 しかし、いろいろお聞きすると、例えば、奈良県とか兵庫県に避難する場合に、その避難場所が、いわゆる警戒区域とか土砂災害の危険区域、そういうところに指定されている場所も結構あるというふうにお聞きしているが、その実態はどうなのか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員指摘の奈良県、あるいは兵庫県への広域避難である。これは両県と協議をして、既に平成25年度中には、敦賀市民の避難先として奈良県、これは247の施設がある。それから、小浜市、おおい町、高浜町、若狭町の住民の避難先として、兵庫県に200施設を決定したところである。
その後、平成26年4月に改正災害対策基本法が施行されて、いわゆる避難生活を送るための指定避難所は、被災者を滞在させるために必要な規模であることのほかに、土砂災害警戒区域を避けるなど、災害による影響が少ない場所であることなどが新たに基準となったところである。
このため、現在、奈良県及び兵庫県の各市町においては、まさに奈良県民、あるいは兵庫県民みずからの地域住民の安全確保のため、これまでそれぞれ指定した避難所が新たな基準に適合しているかについて調査し、現在、必要な見直しが行われているところと承知している。
◯佐藤委員 計画をつくったといっても、そういう状況である。だから、全然安心できる計画ができたとは言えないではないか。
いろんな避難訓練の問題もあるし、今回のように実際、避難先がどうなのか、その間のルートがどうなのか、そういう問題があるわけだから、専門家の委員会をつくるか、あるいは、今の委員会を活用するかは別として、きちんと専門家の検証を受けてはいかがかということを提案しているのである。なぜそれができないか。
◯安全環境部長 防災対策がこれで終わりということはなく、日々充実させていかなければならないものである。制度もさまざまに変わっていく。
そういった意味で、当面、現在の私どもの対応としては、先ほども申し上げたが、県は県として、これまでも計画をつくり訓練もしているが、残された広域的な課題については、国のワーキンググループという場で検証、あるいは、さらなる充実を検討していきたいと考えている。
◯佐藤委員 県の原子力安全専門委員会で工学的には検証するけれども、肝心のソフト面、住民の避難がどうなのかということについて、まだ穴があいたまま再稼働に進むことは絶対に許されないというふうに思う。
もう一点尋ねるが、厚生常任委員会の新聞報道によると、再稼働の同意権の問題で議論が交わされたというふうに報道されている。関西電力と京都府が安全協定を結んだが、ここに再稼働の同意権は入っていない。それから、運転再開の事前説明も事故で原子炉を停止した場合に限定しており、今回のように、事故でとまったのではなくて、停止して再稼働するという場合の協定もない。協定というか、協議もないということになっている。
京都府の山田知事は、議会への答弁の中で、この安全協定については、当初は「福井県並みの再稼働の同意権を持つ安全協定というのを目指すのだ」というふうにおっしゃっていたそうである。ところが、「福井県との調整がデッドロック──暗礁に乗り上げて今回のようになった」と京都府議会ではお話をされているそうであるが、実際、京都府と福井県とのそういう協議、調整というのは、どういう形で行われていたのか。
◯安全環境部長 指摘の安全協定というのは、あくまでも事業者と自治体との間で交わされる紳士協定である。だから、今回の指摘の京都府と関西電力との安全協定についても、その双方で検討がなされたものと考えている。
◯佐藤委員 要するに、関西電力と京都府の協定だからその双方の協定だと、こういうのか。それはそのとおりであるけれども、何でわざわざ京都府知事が議会で「福井県との調整がデッドロックに乗り上げた」などと言うのか。
◯安全環境部長 京都府知事の発言については、詳細を承知していない。
◯佐藤委員 結局、直接県が言う言わないは別であるが、やはり関西電力を通じてそういうことを働きかけるということもあったのではないかなというように思う。
これは、本当に私は重大だと思う。つまり、地方自治、地方分権、それぞれの自治体がそれぞれの責任で自分の地域の住民を守る、こういうことである。場合によっては、原発の再稼働は困るという、そういう権利もあるということを京都府は最初考えていたわけである。結果的に、その権利はなくなったということになるわけである。
だから、本当に福井県庁、あるいは関西電力が、そういう地域の自治体が原発のそういう心配があるのだから、それぞれの地域の住民の安全を守るということに対して干渉するのは、知事おかしいと思わないか。
◯知 事 極端な前提で言われるから、ちょっと話が………。
◯佐藤委員 京都府知事の………。
◯知 事 それは、京都府のお考えであって、我々にそんなことを聞かれてもどうにもならない。京都の議会でやっていただいたほうがよろしいと思う。
我々は、発電所の問題は、プラント自体の安全の確保、事故の制圧、避難の問題。避難の問題が一番外縁部にあるから、いろんな条件があるし、年々これは内容を充実しなければならないわけであるので、おのずと強さとか濃淡、それから必要性の違いがある。それを、三つのレベルで安全を確保しようという事柄である。
◯田中(敏)副委員長 時間である。
◯佐藤委員 時間が来たのでこれで終わるが、原発再稼働に反対して、意見を表明して終わる。
~以 上~
「北陸新幹線と在来線三セク化について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
最初に、新幹線の建設と、それにかかわって、在来線の三セク化の問題について尋ねる。
新幹線の金沢開業が目前となった。私は、敦賀開業時にフリーゲージトレインの開発が間に合わないということで、敦賀での乗りかえが発生するのは、利用者にとって利便性が大きく低下するということで、現在の特急の運行を継続すべきだと求めている。
この問題は、金沢開業時にも発生するわけである。先日の新聞報道でも、大阪-富山間の時間短縮効果は8分間、一方、料金の値上げは700円と、経済メリットはない。このように、サンダーバードが金沢どまりになる問題点が報道されていた。
北陸3県と関西間の鉄道移動は延べ1,650万人、首都圏との移動の2.5倍あるわけである。しかし、関西間の移動では、富山県は240万人、福井県は1,030万人ということで、福井県は大変関西圏と結びつきが強いと、こういうことだと思う。それで、福井と関西間の鉄道の利便性が新幹線によって低下する影響というのは、富山県の比ではないということは明らかだと思う。3年前倒しするとか、福井先行開業とか、いろいろ議論があるが、そういう浮き足立つだけではなくて、改めて真剣に、この問題の対策検討を求めたいというように思う。
あわせて、私は、これまで新幹線に伴う在来線の第三セクター化は、十分県民に説明がなされていないという問題を指摘してきた。市民団体の調査でも、「知らない」という方が4割を超えている。特急がなくなるということを知らないという方も5割近く、北陸線のJRからの経営分離に反対する方は66%ということになっている。
だから、多くの県民の方が、新幹線に伴う北陸本線、第三セクター化の真実を知らされないままに3年前倒しというようなことで進めていくことは、県民軽視で極めて無責任だというように思う。
説明責任が十分果たされていないということについて、西川知事の見解を尋ねる。
◯新幹線・交通政策監 今、県としては、北陸新幹線の早期開業とあわせて、並行在来線となる北陸本線の地域鉄道としての存続、これについて、県民の理解を得ながら進めることが重要というふうに考えているところである。
これまでも、県民を対象とした講演会や出前講座の開催、パンフレットやホームページなど、各種広報を通じて、新幹線の早期開業の必要性と並行在来線の第三セクター化について説明を行ってきたところである。また、先日、2月末にも説明に出向いて、いろいろ県民の方に説明を申し上げているところである。
これからも県民の理解が得られるよう、さまざまな機会を捉えて周知を図っていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 周知を図っていくのは当然なのであるが、要するに、昨年の市民団体の調査でも、こういう数字が出ているわけである。
西川知事にお答え願いたいわけであるが、知事は、この原発の問題では、国民合意がまだ不足しているということで政府の尻をたたかれるわけである。みずからが進める新幹線の建設とセットの、いわゆる北陸線の第三セクター化、これについては、県民合意が得られていない。県民も知らない。7割の県民が反対している。こういう県民合意が不十分なままで推し進めるというのは、おかしいではないか。
知事、答えて。──何で知事が答えない。知事が答えて。
◯新幹線・交通政策監 県民の皆さんへ周知活動を行っているわけであるが、それと、県民の方々に県民合意をどういうふうに図っていくかということについては、あらゆる機会を通じて理解を求めていくということで、これまでもやってきたし、今後とも、そういう方向で努力していきたいというふうに思っている。
◯佐藤委員 知事、ちゃんと答えて。
原発では、国民合意が形成されていないということで国の尻をたたいているのに、県が進める事業では、県民の合意が非常に不十分なまま、なぜ進めるのか。
◯知 事 二つの話は、全然事柄が違うと思う。
◯佐藤委員 行政とか国が進める、あるいは、県が進める事業で、どれだけ合意が得られているかということでは、同じ問題である。
では、あわせて、この第三セクターに向けて、準備状況を尋ねる。
このJRの資産調査、それからJRとの資産譲渡、これについてのJRとの協議、県と市町との役割分担協議、第三セクター化された場合の需要予測調査の計画、これはどうなっているか。
◯新幹線・交通政策監 並行在来線の第三セクター化に向けては、県、沿線市町、経済団体からなる並行在来線対策協議会、これを平成24年度末に設置しており、昨年度は、北陸本線の駅、線路などの鉄道資産の現況調査をしたところである。
来年度以降、さらに旅客流動調査とか将来需要予測調査、また、収支予測調査、こういった必要な調査を順次実施して、鉄道資産がどの程度になるのかといったことや、また、鉄道資産の譲渡とか運行計画等について、JRとも相談しながら協議を進めていきたいというふうに考えている。
また、これらに基づく対策協議会において、第三セクターへの出資、支援のあり方、これについて、県と市町の役割分担等も含めて協議して、開業3年前の平成31年度をめどに、経営計画案を具体的にまとめて明らかにしていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 需要予測調査の問題も、今、答弁があったが、やはり経営の根本にかかわってくる問題だと思う。
JR西日本は、今でいうと、北陸はもちろんであるけれども、関西圏をトータルして収益がどうなるかということが直接問題になるというふうに思う。ところが、福井県の第三セクターは、石川県境から敦賀までという、その区間での収益性が問題なのだということだと思う。当然、厳しくなるということである。
それで、3月14日の新幹線の金沢開業に伴って、JRは、金沢-富山間のシャトル新幹線を運行するということである。だから、従来なら、在来線、第三セクターに流れるお客さんの層もすくいとろうとしているというふうに思う。それから、バス会社も、富山-金沢間の通勤定期を出して、サンダーバードがなくなった後の通勤客を鉄道からバスへ奪おうとしているわけである。
だから、こういう点で、各県ごとに経営体が変わる第三セクターというのは、ますます厳しくならざるを得ないわけである。そのことは結局、石川県の例でも、運賃が3割値上げになるというようなことに出てきていると思う。
だから、はっきり言って、新幹線の料金で県外に行くときも値上げになる。さらに、第三セクターで県内の通勤も値上げになるということでは、これは、県民の家計から見れば大ピンチである。敦賀開業3年前倒しなら、きちんと需要予測調査もするし、それに基づく料金がどうなるのかというのを、やはり、県として示していくということがどうしても必要だと思う。それは、開業3年前でいいのかという問題も出てくると思う。富山、石川がもう開業して、いろんな問題点、課題が見えてくるわけであるから、より早く、福井県民には、そういうアナウンスをしていくということが必要ではないか。
◯新幹線・交通政策監 富山、石川の例で運賃のお話が出たが、運賃については、富山、石川とも、これまでとそんなに値上がりしないような形で──従来、既設のしなの鉄道とか、岩手、青森とか、そういったところにおいては、運賃水準が2割から3割というふうに高く上がっていたわけであるが、今回の北陸新幹線の沿線の場合は、えちごトキめき鉄道については、運賃を据え置く。また、石川、富山についても、1割増しぐらいの運賃のアップで経営をしていくということで、できるだけ国の財政支援も引き出しながら経営を安定させるとともに、利用者の方にも不便をかけないように、きめ細かくやっているところである。
◯佐藤委員 その説明はわかる。説明はわかるが、実際、これから第三セクターの経営がどうなるかというのは、それは厳しくなるのである。よくなる可能性というのは余りない。
例えば、国立国会図書館が2月17日に出した「並行在来線の現状と課題」という小さな資料であるが、これを見てもやはり、国立国会図書館の分析でも、今は例えば、貨物からのいろんなお金が入って何とか経常収支が黒字になっているところでも、これからは、人口減少と利用者の減少によって、なかなかどこも経営は厳しいということを、常識的に分析するわけである。
だから、福井県がやはり、そういうデメリット面もきちんと見て、県民にアナウンスをしていって説明をしていかないと、とにかくいい面だけ、新幹線が来ればよくなる面だけ宣伝していくと、これは大きな問題があるなと思っている。
それと、あわせてもう一点、第三セクターで尋ねたい。
この第三セクターをつくられる際に、北陸3県が今のままだと、ぶつぶつに切られていくわけである。今、言われたように、富山は富山、石川は石川、福井は福井ということで、ぶつぶつに切られていくことになる。これは、保守管理の上でも大きな問題が出てくると思う。
福井県内でいうと、新幹線が経営される。これまでの越美北線など、従来のJR線、これはこれでJRが経営される。それから、いわゆる第三セクターが新しく立ち上がって、これを経営するということになるので、従来は、JRが責任を持っていた巨大な北陸線のシステムが大きく変わるということによって、災害時などにうまく対応できるかどうかという問題も心配されている。
そこで、以前も検討をお願いしたことがあると思うけれども、第三セクターの経営にJR西日本にしっかりとかんでもらうことはもちろんなのであるが、まずは、石川県と統合した、要するに敦賀開業にしろ、あるいは福井先行開業にしろ、石川県も、同じ時期に新しい路線が立ち上がるわけであるから、やはり統合したシステムをつくって、せめてリスクの軽減を図るということを検討すべきではないか。
◯新幹線・交通政策監 これまで第三セクターについては、経営分離された区間は、県単位で会社が設立されているところである。
それについて、相互の乗り入れ、また、災害時の、今指摘のあったような場合の対応、そういったものについては、石川県、富山県においては、現在、JRの支援を受けて、いろんな運行システム等については、統一して共同で運用するということで対応している。
今後、我々福井県が並行在来線を運営するに当たっては、そういうことも含めて、先行事例を十分、並行在来線対策協議会の中で議論をいただいて、現在も、JRの方のオブザーバー参加をいただいているので、その中で十分議論して、そういう運行システムが円滑に進むように進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 先ほど言われた富山、石川の共同のシステム運行というのも、それは、今のシステムの期限までである。要するに、いわゆる保守期限というか、それが過ぎれば、もうそれぞれ別々になるということもあるわけである。だから、それは真剣に考えていただきたいというふうに思う。
「原子力行政について」
次に、原子力問題について質問する。
福島原発事故から4年ということで、間もなく3月11日を迎えるわけであるが、福島では、放射能汚染された廃棄物の中間貯蔵施設の建設について、結果的に福島県内で建設されるということになった。これについて、知事の見解を尋ねる。
◯知 事 福島県内のいわゆる中間貯蔵施設について、その経緯や内容を詳しく承知しているわけではない。
なお、福島県内の中間貯蔵施設は、除染に伴い発生する汚染土、あるいは、廃棄物を保管するものであって、福井県が国及び事業者に強く求めている中間貯蔵というのは、使用済み燃料を保管する中間貯蔵ということで、全くといったほうがいいのか、性質の違うものである。言葉は同じであるが。
◯佐藤委員 性質が違うことは、もちろんわかっている。
要するに、原子力発電に由来する使用済み核燃料、あるいは、原子力発電の事故に由来する汚染物質、これをどこが保管するかということで、結局、今回の場合は、福島に押しつけられたということについて、どう思うかと聞いている。
◯知 事 それは、福島県と国との関係であるから、そういう議論の中で決まったということではないかと思う。
◯佐藤委員 こういう問題は、私、一般質問でも──国の対応、電力事業者の対応を見ていれば、福井県もやはり、そういうことを真剣に考えていかないと、どんどん原子力発電を動かしていけば核のごみは事故がなくてもふえていくわけであるから、そういう問題を真剣に考えなければいけないというように思う。
あわせて、福島では、地震と津波で直接亡くなられた方が1,603名、それに対して、東日本大震災以降亡くなられた方が1,862名ということで、被災された東北3県の中ではずば抜けて、宮城県、岩手県に比べて多くなっているわけである。
なぜ、福島県だけ東日本大震災の地震津波以降の死者がこれだけふえているのかということについて、福井県はどう分析されているか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員の指摘の点であるが、まさに福島県の事柄であって、県として、その理由など詳細については、よく承知をしていない。
この問題であるが、国会でも議論されていることは承知しているけれども、まず、国としてこの問題、何が課題であり、そして、福島の復興に向けて国がどのように取り組むのか、そういう国としての責任ある対応というものが何より重要ではないかと考えている。
◯佐藤委員 宮城、岩手、そして福島。福島は原発事故が加わっているわけである。いまだに12万人近い方が家に戻れない。ふるさとに戻れない。商売を再開できない。先の見通しも放射能汚染で立たないという苦悩が、いろんな形で、こういう死者の増大につながっているというふうに思う。
だから、原発事故は、一旦起これば本当に取り返しがつかないということを今回の福島原発事故そのものが示しているし、その後も、残念ながら、死亡者の極端な増大ということも示しているということを、福井県としては、真摯に受けとめないといけないというように思う。
それで、事故から4年たつのであるが、いまだに原発事故は収束していない。先日も、汚染水が海に流されていて、東京電力が隠していて大変な漁業関係者からの批判が報道されていた。こういう安全上──壊れたのがまともに修理もできない、4年たってもそのまま、これからどうなるかわからない、こういう技術に頼っていていいのか。知事はどう思うか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員指摘の福島原発の今の状況については、まず、事業者たる東京電力、それから、これを規制監督する原子力規制委員会が、地元民、あるいは国民の安全・安心を守るという観点から、しっかり対応していただかなければならない、そういうことかなというふうに考えている。
◯佐藤委員 やはりこういう、一旦事故が起こったときに、もう元に戻せないという技術は本当に問題だと思う。
それで、いよいよ高浜原発がどうなるのかという問題で、福井県は、あす県の原子力安全専門委員会を開催するというふうに発表された。これは知事の諮問機関であるので知事に尋ねるが、知事がこの委員会に諮問する内容、これは、具体的にどういう点を議論してもらおうとお考えなのか。
◯知 事 県の原子力安全専門委員会は、これまでも、いろんな局面で必要な専門的な調査、あるいは、いろんな検討をしてこられたわけであるが、今回、高浜3、4号機の安全対策の進捗状況を、主に工学的見地から節目節目に独自に確認をするということになるわけである。
あすであるが、今回の設置許可の内容について、まず、原子力規制庁から説明を受けるということが前提になる。その上で、引き続き安全対策工事の達成状況、また、いわゆる東京電力での吉田調書などに見られる、現場から吸い上げられた教訓、これについて事業者の運用体制がどうなのか、また、現地調査などによって必要な確認も行うことになると思う。また、工事計画そのもの、保安規定の審査状況についても、原子力安全専門委員会は確認をしていくと、こういうことになると思う。
◯佐藤委員 以前から議論があるが、住民の事故時の避難計画、これについて、どうしても議論が抜け落ちてしまう。原子力規制委員会も責任を持たない。福井県は、県庁としてはもちろん責任を持つのだけれども、知事の諮問機関であるこの専門委員会も、その問題では専門家としての意見を述べないというので、そこを埋めるということが必要だという議論がある。
知事は今度──あす開かれる委員会はもうどうしようもないが、次回以降開かれる委員会において、住民、県民が最も心配している避難計画問題についても、専門委員会の場、いわゆる専門家の立場から検証してもらうという考えはあるか。
◯安全環境部長 県の原子力安全専門委員会であるが、これまでもプラントの安全性を工学的観点、技術的な観点から確認するということを目的としている。佐藤委員指摘の避難を含めた防災避難、そういったものは、これまでも当委員会の議論の対象とはしていない。
◯佐藤委員 これは以前からそうなのはわかっている。けれども、福島事故後、そういうことが県民の一番の心配事ではないか。
県庁がその仕事をしているのはわかる。けれども、専門委員会のような場をつくって、同じメンバーだけではだめだろうが、メンバーを変えるか、別の委員会をつくるかは別として、きちんと専門家のそういう検討を得るということは考えないか。
◯安全環境部長 今、福井県では、もう既に避難計画要綱をつくっている。防災訓練も実施した。そして今、課題になっているのは、近隣府県との広域的な課題ということで、ここのところについては、国のワーキンググループのほうが調整、あるいは、その検証をしているので、まずは、そのような場で防災体制のさらなる充実というものを図っていきたいというふうに考えている。
◯佐藤委員 しかし、いろいろお聞きすると、例えば、奈良県とか兵庫県に避難する場合に、その避難場所が、いわゆる警戒区域とか土砂災害の危険区域、そういうところに指定されている場所も結構あるというふうにお聞きしているが、その実態はどうなのか。
◯安全環境部長 今、佐藤委員指摘の奈良県、あるいは兵庫県への広域避難である。これは両県と協議をして、既に平成25年度中には、敦賀市民の避難先として奈良県、これは247の施設がある。それから、小浜市、おおい町、高浜町、若狭町の住民の避難先として、兵庫県に200施設を決定したところである。
その後、平成26年4月に改正災害対策基本法が施行されて、いわゆる避難生活を送るための指定避難所は、被災者を滞在させるために必要な規模であることのほかに、土砂災害警戒区域を避けるなど、災害による影響が少ない場所であることなどが新たに基準となったところである。
このため、現在、奈良県及び兵庫県の各市町においては、まさに奈良県民、あるいは兵庫県民みずからの地域住民の安全確保のため、これまでそれぞれ指定した避難所が新たな基準に適合しているかについて調査し、現在、必要な見直しが行われているところと承知している。
◯佐藤委員 計画をつくったといっても、そういう状況である。だから、全然安心できる計画ができたとは言えないではないか。
いろんな避難訓練の問題もあるし、今回のように実際、避難先がどうなのか、その間のルートがどうなのか、そういう問題があるわけだから、専門家の委員会をつくるか、あるいは、今の委員会を活用するかは別として、きちんと専門家の検証を受けてはいかがかということを提案しているのである。なぜそれができないか。
◯安全環境部長 防災対策がこれで終わりということはなく、日々充実させていかなければならないものである。制度もさまざまに変わっていく。
そういった意味で、当面、現在の私どもの対応としては、先ほども申し上げたが、県は県として、これまでも計画をつくり訓練もしているが、残された広域的な課題については、国のワーキンググループという場で検証、あるいは、さらなる充実を検討していきたいと考えている。
◯佐藤委員 県の原子力安全専門委員会で工学的には検証するけれども、肝心のソフト面、住民の避難がどうなのかということについて、まだ穴があいたまま再稼働に進むことは絶対に許されないというふうに思う。
もう一点尋ねるが、厚生常任委員会の新聞報道によると、再稼働の同意権の問題で議論が交わされたというふうに報道されている。関西電力と京都府が安全協定を結んだが、ここに再稼働の同意権は入っていない。それから、運転再開の事前説明も事故で原子炉を停止した場合に限定しており、今回のように、事故でとまったのではなくて、停止して再稼働するという場合の協定もない。協定というか、協議もないということになっている。
京都府の山田知事は、議会への答弁の中で、この安全協定については、当初は「福井県並みの再稼働の同意権を持つ安全協定というのを目指すのだ」というふうにおっしゃっていたそうである。ところが、「福井県との調整がデッドロック──暗礁に乗り上げて今回のようになった」と京都府議会ではお話をされているそうであるが、実際、京都府と福井県とのそういう協議、調整というのは、どういう形で行われていたのか。
◯安全環境部長 指摘の安全協定というのは、あくまでも事業者と自治体との間で交わされる紳士協定である。だから、今回の指摘の京都府と関西電力との安全協定についても、その双方で検討がなされたものと考えている。
◯佐藤委員 要するに、関西電力と京都府の協定だからその双方の協定だと、こういうのか。それはそのとおりであるけれども、何でわざわざ京都府知事が議会で「福井県との調整がデッドロックに乗り上げた」などと言うのか。
◯安全環境部長 京都府知事の発言については、詳細を承知していない。
◯佐藤委員 結局、直接県が言う言わないは別であるが、やはり関西電力を通じてそういうことを働きかけるということもあったのではないかなというように思う。
これは、本当に私は重大だと思う。つまり、地方自治、地方分権、それぞれの自治体がそれぞれの責任で自分の地域の住民を守る、こういうことである。場合によっては、原発の再稼働は困るという、そういう権利もあるということを京都府は最初考えていたわけである。結果的に、その権利はなくなったということになるわけである。
だから、本当に福井県庁、あるいは関西電力が、そういう地域の自治体が原発のそういう心配があるのだから、それぞれの地域の住民の安全を守るということに対して干渉するのは、知事おかしいと思わないか。
◯知 事 極端な前提で言われるから、ちょっと話が………。
◯佐藤委員 京都府知事の………。
◯知 事 それは、京都府のお考えであって、我々にそんなことを聞かれてもどうにもならない。京都の議会でやっていただいたほうがよろしいと思う。
我々は、発電所の問題は、プラント自体の安全の確保、事故の制圧、避難の問題。避難の問題が一番外縁部にあるから、いろんな条件があるし、年々これは内容を充実しなければならないわけであるので、おのずと強さとか濃淡、それから必要性の違いがある。それを、三つのレベルで安全を確保しようという事柄である。
◯田中(敏)副委員長 時間である。
◯佐藤委員 時間が来たのでこれで終わるが、原発再稼働に反対して、意見を表明して終わる。
~以 上~