前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

ようやく  もんじゅ廃炉!長いみちのりでしたね。

2016年12月22日 | 福井県政
  もんじゅの廃止が決まった。感無量。しかし、これから数十年におよぶと思われる廃止作業はこれまで以上の期間となるかもしれない。
政府も機構も万全の態勢で取り組むことは当然。安倍政権がさらに高速炉開発や核燃料サイクルに固執することは、もんじゅの失敗の受け止めがきちんとなされていない証左ではないか。もんじゅの失敗の総括、評価を第三者委員会などを設置してきちんとおこなうことが先決でしょう。失敗をあいまいにしたままで、高速炉云々は許されません。

  いまは亡き原発反対県民会議の小木曽事務局長らと会議を繰り返し、「もんじゅは二度と動かさないで」署名運動に県民署名草の根連帯で取り組んだことも思い出されます。20万を超える署名が直接、当時の栗田知事に提出されました。 
 当時の渡辺三郎県議の議会論戦や裁判闘争、大衆闘争などさまざまな福井県民、全国のみなさんの運動が廃止にむけて、もんじゅを追い詰めてきました。

 ナトリウム火災事故の際は私は議員ではありませんでしたが、事故の1週間ぐらい前に県庁の原子力安全対策課で科学技術庁のもんじゅ技術資料をみせてもらっていました。ナトリウム火災のくだりをコピーしていただいた直後に、本当に起こったのでびっくりした記憶があります。

 事故後は、亡くなられた原発問題住民運動福井県連絡会の山田興宗事務局長と相談して、全自治体にもんじゅ廃炉をもとめる陳情活動に緊急に取り組み、大野市や武生市、池田町など多くの自治体での意見書採択につながりました。
 日本共産党福井県委員会として独自のパンフを3000部発行し、もんじゅ事故の本質を県民に知らせる活動にも取り組みました。

 その後も、日本共産党や住民運動は営々として、もんじゅの問題点と廃炉を求めて活動してきました。

 ざっと議員以前の当時のことを振り返りましたが、今後はもんじゅの経緯と総括について国が責任をもっておこない国民・県民への説明の機会をもうけることが必要です。
核燃料サイクルにしがみつく原発だのみの安倍政権の政策の転換、福井県や立地自治体の産業構造転換への国の本格的な支援体制の構築が求められます。

 また、忘れてはならないことはもんじゅで働くみなさんについて、廃止作業を中心にして、これまでとはかなり変わっていくであろう仕事の展望をなるべく早くしめしていくことが引き続きの万全の安全確保のうえでも重要だと思いますね。


 以下、報道です。

■福井新聞・・・・もんじゅ廃炉方針を福井県に再説明 西川知事「廃炉を容認していない」

                      福井新聞ONLINE 12/21(水) 10:55配信


 政府は21日、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、福井県と情報を共有する関連協議会を開き、福井県の西川一誠知事に廃炉方針を改めて説明した。西川知事は同協議会で「県と敦賀市の理解、納得を得なければ廃炉作業には移れない」と述べ、その後、記者団に「廃炉を容認していない」と明言した。一方、政府は、高速増殖炉もんじゅの関係閣僚会議を同日午後1時半に開くと発表した。

 協議会には政府側から世耕弘成経済産業相、松野博一文部科学相が出席。19日の前回協議会で廃炉方針を伝えたが、西川知事は「説明が不十分で、到底受け入れられない」と反発。もんじゅがトラブル続きでほとんど運転していないことを「国として反省が十分示されていない」と指摘した。

 また原子力規制委員会が運営主体として不適格だとした原子力機構が廃炉作業を担うことに懸念を示し、安全を確保できる体制の検討も求めていた。

 政府はこの日の協議会で「もんじゅは技術的に問題があったのではなく、保全体制や人材育成、関係者の責任関係などマネジメントに問題があった」との見解を示した。

 また、廃炉作業を安全に進めるため、政府が指導・監督し、第三者の技術的評価も加える特別な廃炉措置体制を構築する方針を示した。

 政府は廃炉には30年で最低でも3750億円かかると試算。2022年までに使用済み核燃料を取り出し、47年に解体を終える工程を示している。

 もんじゅは原発の使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを燃料に使う核燃料サイクルの象徴的な施設。消費する以上に燃料を増やす目的で開発を進めたが、ナトリウム漏れ事故などのトラブルが相次ぎ、運転実績はほとんどない。



■NHK・・・・政府 もんじゅ廃炉方針を正式決定   12月21日 13時49分

  政府は原子力関係閣僚会議を開き、安全管理上の問題が相次いだ高速増殖炉もんじゅについて、時間的、経済的コストが増大しているとして、原子炉として運転を再開せず、およそ30年かけて、廃炉にする方針を正式に決めました。

政府は総理大臣官邸で、菅官房長官、松野文部科学大臣、世耕経済産業大臣ら関係閣僚が出席して原子力関係閣僚会議を開き、福井県の高速増殖炉もんじゅの取り扱いに関する方針を正式に決めました。

それによりますと、もんじゅの運転を再開するまでには最低8年の準備期間が必要で、運転を続けると5400億円以上の費用がかかる見通しであると指摘しています。

そのうえで、もんじゅは時間的、経済的コストが増大しているとして、原子炉として運転を再開せず、およそ30年かけて施設の解体などを行い、廃炉にするとしています。

そして、廃炉作業については、政府が一体となって指導・監督するなど設置者である日本原子力研究開発機構が安全性を確保し着実に進められる新たな体制を構築するとしています。

一方で、将来的には、もんじゅの敷地内に新たな試験研究炉を設置するなどもんじゅを含む周辺地域を高速炉の研究開発の中核拠点の1つと位置づけるとしています。

また会議では、今後の高速炉の開発方針について、フランスと協力して設計する実証炉や、高速実験炉「常陽」など国内外の施設などを通じて、研究開発を進めることも確認しました。


官房長官「政府一丸となって取り組みを」

菅官房長官は、会議の最後に、「もんじゅをこれまで支えて下さった福井県、敦賀市の皆さまに改めて感謝申し上げるとともに、今後も国と地元自治体が、引き続き意見交換をする場所を設けるなど、原子力研究開発の推進と地域の発展の両立に向けて協力していく」と述べました。そのうえで、菅官房長官は、「関係閣僚は、今後も高速炉の研究開発ともんじゅの廃止措置の着実な実施に向けて、政府一丸となって取り組むようお願いする」と述べました。

松野文部科学大臣は記者会見で、「必ずしも、当初、期待された成果まで至らなかったことは事実だが、私自身は一定の成果だったと判断している。これまでの過程で得た知見や人材をもとに、将来的な高速炉研究につなげていきたい」と述べました。また松野大臣は、「政策責任者として、結果責任へのけじめをとりたい」と述べ、およそ5か月分の大臣給与および賞与を自主的に返納することを明らかにしました。一方、松野大臣は、福井県の西川知事が、廃炉を容認していないことについて、「知事からも厳しい指摘をもらっており、これからの中において理解を得られるように努力を続けていく」と述べ、来週の早い時期に、福井県を訪れる考えを示しました。

世耕経済産業大臣は記者団に対し、「福井県の西川知事からいくつか宿題をいただき、特に廃止措置の具体的な体制についてもう少し説明がほしいということだった。これからも協議の場を作って地元に対して丁寧に説明し、理解を得ていきたい」と述べました。そのうえで、今後の高速炉の開発については「実証炉の開発に向けて工程表の作成を主導して進めていく必要がある。これまでもんじゅで得られた貴重な知見や人材をフルに活用しながら高速炉開発を進めていく」と述べました。


これまでの経緯

もんじゅを廃炉にする一方、高速炉開発は継続するという今回の決定のきっかけになったのが、去年11月、原子力規制委員会が文部科学大臣に出した異例の勧告でした。

高速増殖炉もんじゅは、使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として平成6年に試験運転が始まりました。しかし、その翌年、ナトリウム漏れ事故が発生し、その後もトラブルが相次いで、長期間、停止した状態が続き、これまでにおよそ1兆円が投じられましたが、この22年間の運転実績は250日にとどまっています。

平成24年からの国の検査ではおよそ1万件にのぼる機器の点検漏れが明らかになり、その後も機器の安全上の重要度を決める分類の誤りも多数見つかるなど安全管理上の問題が相次いだため、去年11月、原子力規制委員会は、いまの日本原子力研究開発機構はもんじゅの運転を安全に行う資質がないなどとして、新たな運営主体を示すか、それが出来ない場合は、廃炉も含め事業を抜本的に見直すよう求める異例の勧告を文部科学大臣に出しました。

勧告を受けて文部科学省は、外部の専門家で作る検討会で問題点の検証や新たな運営主体に必要な要件を議論し、原子力機構からもんじゅの運転部門を切り離して電力会社やメーカーの協力を得て新たな法人を設立する案を軸に経済産業省など関係省庁と協議しました。しかし、もんじゅを存続させた場合、5400億円以上の追加の費用が必要になることや原発の再稼働に向けた審査などの対応で余裕がない電力会社やメーカーから協力が得られない可能性が高いことなどから政府内ではもんじゅの存続は難しいという声が強まりました。

そしてことし9月の原子力関係閣僚会議では、もんじゅを廃炉も含め抜本的に見直すとともに、核燃料サイクル政策は維持したうえで、今後の高速炉開発の方針を策定すると表明していました。その後、政府は、もんじゅの次の段階にあたる「実証炉」の開発方針を検討する高速炉開発会議を発足させ、フランスが計画している実証炉の「ASTRID」への開発協力や国内の高速実験炉「常陽」などを活用し平成30年をめどに開発の具体的な工程表を策定することを決めました。来年から策定が始まる工程表の議論では実証炉の規模や構造などを検討することにしていますが、具体的な実施主体や建設場所をどうするのかといった難しい問題が残されています。



もんじゅ解体は国内初 さまざまな課題が

政府は、高速増殖炉「もんじゅ」について、およそ30年かけて解体を行い、廃炉にすると決定しましたが、解体コストは少なくとも3750億円に上るほか、もんじゅのようにナトリウムを扱う原子炉を解体するのは国内では初めてで、技術的にもさまざまな課題があります。

文部科学省によりますと、もんじゅの廃炉は、まず核燃料の取り出しに5年半がかかり、これを含めて30年かけて施設を解体するとしています。試算では、費用は少なくとも3750億円に上り、このうち施設の解体などにかかる費用は1350億円で、設備の維持管理費が2250億円、核燃料の取り出しなどに150億円かかるほか、使用済み燃料プールの耐震強化など新たな規制基準に対応するのための費用がさらにかかるとしています。

また、日本原子力研究開発機構が平成24年に行った試算によりますと、もんじゅの解体に伴って発生する放射性廃棄物の量は4万トン近くに上ると見られています。このうち1500トン余りについては、深い地層やコンクリート製の容器での処分が求められる放射性物質の濃度が比較的高い廃棄物だということで、現段階では、具体的な処分場などは決まっていません。また、ナトリウムを扱う原子炉の解体は国内では初めてで、機器や配管から付着したナトリウムをどう安全に取り除くのか、技術開発も必要になるということです。原子力機構によりますと、もんじゅの場合、運転期間が250日と短かったことで、運転に伴って発生する半減期が2年半ほどの放射性ナトリウムの発生量は比較的少ないとのことですが、処分方法などについては決まっていないということです。

一方で、フランスやアメリカ、イギリスではこうしたナトリウムを扱う原子炉の解体はすでに始まっています。このうちフランスにある高速増殖炉「フェニックス」では、2009年に運転が停止して以降、解体作業が行われていて、ことし10月までに300体ある原子炉の核燃料のうち、30体を取り除いたということです。原子炉に入っているナトリウムについては、すべての燃料を取り除いたあとに回収し、放射性物質を取り除くことにしていて、その後、塩酸で中性化し、塩水として川に放出するとしています。原子力機構は、こうした海外の経験も参考にしながら、もんじゅの解体を進めていくとしています。