「国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」が先頃まとめた報告書を読む。同会のサイトからダウンロードできる。本書は600ページにも及ぶ膨大な量なので、ダイジェスト版で。メディアでも盛んに報道されていたが、今回の事故をはっきりと「人災」と位置付けている。
要因は以下のように5つに分かれる。
1.根源的原因
これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局および事業者である東京電力が、それぞれ意図的な先送り、不作為、自己の組織の都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま「3.11」を迎えてしまったこと。
2.直接的原因
安全上重要な機器も、地震で損傷を受けている“可能性がある”。すなわち原因を「想定外の津波」にだけ狭く限定できない。
3.運転上の問題の評価
過酷事故に対する十分な準備、レベルの高い知識と訓練、機材の点検が十分になされていなかった。また、緊急時に際し、運転員・作業員に対して時間的制約の中で、具体的な指示ができる体制ではなかった。
4.緊急時対応の問題
官邸及び規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかった。緊急時対応において事業者の責任、政府の責任の境界が曖昧であった(結果、総理が事業者本社や発電所に直接乗り込み、現場を混乱させるなど)。
5.被害拡大の要因
事故発生当時、政府から自治体に対する連絡が遅れたばかりでなく、その深刻さも伝えられず、結果避難施策が遅滞・混乱した。
こうして時系列的に分析・整理した上で、「人災」と結論付ける。
「人災」にメディアは大喜び。TVニュースでは、国会でブスっとした表情でこの報告を受ける菅直人を何度も放映する。
読みながら感じたことは2点。
1点目は、本報告は最初から「人災」という結論を出すしかなかったんだろう、ということ。
本事故の推移と直接関係する重要な機器・配管類のほとんどが、この先何年も(いやおそらく永遠に)実際に立ち入ってつぶさに調査、検証することのできない原子炉建屋及び原子炉格納容器内部にある。すなわち、報告書にもエクスキューズ的に述べられているが、上記2は放射能に邪魔されて、十分に調査できていないのだ。結局一番大事な現地・現物調査が行われないままに、周辺状況のみ詳細にリサーチし、「状況証拠」を導き出したのである。1、3、4、5はすべて、人や組織に関する事柄。ここを調べた上での結論は、「人的要因」とする以外にない。
もう1点は、本事故が、「人災」ということであれば、人や組織の問題を解決すれば、今後このような事故は未然に防げ、万が一起こったとしても、きちんと対処できるのか、という疑問。
まず何より、原子力発電所に対して、現行の耐震安全性評価基準を満たし、津波対策を施す。これは当然の話。加えて、本報告書で提言している「人的要因」の部分、すなわち監視や管理体制を強化しさえすれば、今後、予測されている南海・東南海地震のような、今回と同規模の地震・津波が起こっても、本当に大丈夫なのかどうか。福島の原子炉の実地検証ができなければ、その疑問は結局のところ解消されない。少し前に、中国の列車脱線事故で、中国政府が件の車両を土の中に埋めてしまい、以降の調査を完全にうやむやにしてしまったことがあった。故意か過失かの違いはあるものの、あれと同じ状態なのだ。
相当の時間と労力を費やした渾身のレポートなのだろうが、いかんせん2が徹底的になされないと、どこまでいっても隔靴掻痒の感は否めない。
要因は以下のように5つに分かれる。
1.根源的原因
これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局および事業者である東京電力が、それぞれ意図的な先送り、不作為、自己の組織の都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま「3.11」を迎えてしまったこと。
2.直接的原因
安全上重要な機器も、地震で損傷を受けている“可能性がある”。すなわち原因を「想定外の津波」にだけ狭く限定できない。
3.運転上の問題の評価
過酷事故に対する十分な準備、レベルの高い知識と訓練、機材の点検が十分になされていなかった。また、緊急時に際し、運転員・作業員に対して時間的制約の中で、具体的な指示ができる体制ではなかった。
4.緊急時対応の問題
官邸及び規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかった。緊急時対応において事業者の責任、政府の責任の境界が曖昧であった(結果、総理が事業者本社や発電所に直接乗り込み、現場を混乱させるなど)。
5.被害拡大の要因
事故発生当時、政府から自治体に対する連絡が遅れたばかりでなく、その深刻さも伝えられず、結果避難施策が遅滞・混乱した。
こうして時系列的に分析・整理した上で、「人災」と結論付ける。
「人災」にメディアは大喜び。TVニュースでは、国会でブスっとした表情でこの報告を受ける菅直人を何度も放映する。
読みながら感じたことは2点。
1点目は、本報告は最初から「人災」という結論を出すしかなかったんだろう、ということ。
本事故の推移と直接関係する重要な機器・配管類のほとんどが、この先何年も(いやおそらく永遠に)実際に立ち入ってつぶさに調査、検証することのできない原子炉建屋及び原子炉格納容器内部にある。すなわち、報告書にもエクスキューズ的に述べられているが、上記2は放射能に邪魔されて、十分に調査できていないのだ。結局一番大事な現地・現物調査が行われないままに、周辺状況のみ詳細にリサーチし、「状況証拠」を導き出したのである。1、3、4、5はすべて、人や組織に関する事柄。ここを調べた上での結論は、「人的要因」とする以外にない。
もう1点は、本事故が、「人災」ということであれば、人や組織の問題を解決すれば、今後このような事故は未然に防げ、万が一起こったとしても、きちんと対処できるのか、という疑問。
まず何より、原子力発電所に対して、現行の耐震安全性評価基準を満たし、津波対策を施す。これは当然の話。加えて、本報告書で提言している「人的要因」の部分、すなわち監視や管理体制を強化しさえすれば、今後、予測されている南海・東南海地震のような、今回と同規模の地震・津波が起こっても、本当に大丈夫なのかどうか。福島の原子炉の実地検証ができなければ、その疑問は結局のところ解消されない。少し前に、中国の列車脱線事故で、中国政府が件の車両を土の中に埋めてしまい、以降の調査を完全にうやむやにしてしまったことがあった。故意か過失かの違いはあるものの、あれと同じ状態なのだ。
相当の時間と労力を費やした渾身のレポートなのだろうが、いかんせん2が徹底的になされないと、どこまでいっても隔靴掻痒の感は否めない。