先週の金市場は米国の追加緩和期待の剥落を映す形でファンドがまとまった投げを見せ、13日水曜日に大幅な下げに。ただし、その後は自律的な反発から1660ドル近辺で取引終了。いずれにしても、しばらく休みで、レンジを探る動き。今回もやはりファンドによる調整局面入りということで、手仕舞いという面ではETFをはじめ現物筋には大きな動きはない。ここまではむしろ1650ドル割れではアジア系の買いが入っているようだが、特筆するほどのものでもない様子。
16日の一時的な急落はインドが新年度予算案に乗じて貴金属の輸入関税の引き上げを決めたと報じられたこと。今年の1月に重量当たりの定額制から輸入総額の2%に変更したものを、更に4%に引き上げることになった。短期間に2倍になるということで、最大の需要国インドの金の輸入量が目立って減るのではとの見方もあって売られることになった。インド国内の市場関係者の見方として“30%減る可能性もあり” とのコメントを流していたが(3月16日ウォール・ストリート・ジャーナル紙)、そこまでの影響はないと見られる。インドは来月以降前半の需要期に入るため、いわゆる“買いたい弱気”と見受けられた。経験則の教えるところでは、インドの場合、輸入規制を図るとドバイ経由の密輸が増えるというのがパターンとなる。関税引き上げは、もちろん悪材料ではあるが・・・。
今週の注目点は、米国関連では住宅販売の指標がいくつか発表されること。米国景気の回復の中で住宅がネックとなっているが、このところの流れの中で、住宅指標の改善も見られるとなると、株式市場にはプラス、金には抑制要因になりそうだ。ユーロ圏に関しては、本日19日は、部分的デフォルトと判定されCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれる一種の“保険”が発効となったギリシャ国債に関連して、その内容が明らかになる予定となっている。どの程度の補償となるのかが関心事。