先週末から、トランプ、ゼレンスキー会談が決裂したことでニュース番組は持ちきりだ。
ゼレンスキーがホワイトハウス到着直後からの映像を見たが、スーツ姿でないことを副大統領のバンスが「なんてこった!」という反応を示し、そんな恰好で来たんだと非難。
ゼレンスキーは我が国は戦時中ゆえに許されよ、という返答。スーツ持ってないのか?持ってる、たぶんあなたのよりいいかもしれんと。
いいじゃないか、自分はその恰好が好きだと米大統領、しかし、かなり皮肉っぽく見えた。
バンスにしてみれば、そもそもこちらのおかげでなお存立している国のトップが、我らの大統領と運命の契約をする場にその恰好は失礼だろ!ということだったのか。その辺りから、広く知られる結末に至る流れができていたようにみえる。
会談について触れた、本日の日経朝刊のコラム「春秋」の内容は同感だった。
以下、一部抜粋 「もっとおとなしく、下手(したて)に出ればよかったのに。平たくいうと、そんな論調でゼレンスキー大統領の「失敗」を指摘するメディアもある。でも個人的には全く違う感想をもった。
▼よくぞ言った。フランス、英国のトップがトランプ詣でをし、作り笑いで親密さをアピールする映像にいささか辟易(へきえき)していたところ。大国風をふかせて恫喝(どうかつ)する相手に、じっと耐えつつ一歩もひかないゼレンスキー大統領の姿に胸のすく思いがした。」抜粋おわり。
特にフランスのトップの映像はご機嫌を取っているとしか見えず、なんじゃこれはと思っていたので同感だった。 いろいろ意見があるのは分かる。しかし、ロシアは明らかに侵略者であり、クリミア戦争は侵略者に対する防衛戦争であって、決してウクライナとロシア間の内紛ではない。
ゼレンスキーが安全保障を声高に要求するのはロシアを信用できないからであって、事実、協定を反故にされてきた経緯がある。それを誰も正面切って対応しなかったことが、22年の侵攻開始につながった。
米国はじめ欧州主要国が放置したというゼレンスキーの発言は事実だ。
今回のロシアに対するトランプ政権の対応は、チェコスロバキアに侵攻しドイツ系住民が多いズデーテン地方の割譲を要求したナチス・ドイツに対する、当時の英チェンバレン政権になぞらえられる。
英首相ジョセフ・チェンバレンは、ドイツ南部のミュンヘンで独裁者ヒトラーと会談。領土拡大はこれを最後という条件でドイツの要求を認めた。1938年9月のこと。
当面の戦争は回避された。しかし、ヒトラーは増長。翌年、チェコスロバキアを占領し、さらにポーランドに侵攻して第2次世界大戦が始まった。
英国は当時の大国ではあったが、現在の米国ほどの圧倒的な力はなかったと思われる。しかし、欧州には、こうした歴史がある。
欧州連合がウクライナへ派兵し、ロシアとの間で戦闘行為が起きた場合はどうなるか。米国の鉱業利権の話しどころではなくなる。
損得を前面に出し当てにならない米国の穴を埋めるのは大変だ。