亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

先行きのゴールド押し上げ要因が育っている

2025年01月30日 20時24分58秒 | 金市場

1月29日のNY金は小幅に続伸した。この日の午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表を控え、方向感の出ないレンジ相場に始終した。通常取引は前日比2.30ドル高の2769.80ドルで終了した。

 

ちょうど29日は米連邦準備理事会(FOMC)が開かれたので、その話題を書けばいいのだが、はっきり言って予想通り過ぎ話題は少ないので軽く触れる程度にて。

政策金利(FFレート)は4.25~4.50%に据え置きとなった。ここで確認したいのは、今月に入り上昇を続け一時4.808%まで上昇し、今でもその後下がったとはいえ4.6%程度で推移している米長期金利(10年債利回り)が、FFレートを上回っているということ。長らく長短金利の逆転状態が続いて来たが、それは終わっている。

FOMCは声明文から「物価上昇率が2%目標に向かって前進を続けてきた」との文言が削除され、前回と同様に「幾分高止まりしている」とした。パウエルFRB議長は会合後の会見で、「制約的な政策を過度に早急に、もしくは過度に大幅に緩和すれば、インフレを巡る進展が妨げられる可能性がある」としたが、この内容がややタカ派的と株式市場などでは受け止められたようだ。インフレ警戒を高めている。トランプ政権の政策については、まずは「どのような政策が実施されるのかを見極める必要があり」、 「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と した。

後はトランプ大統領が何を言おうと、中央銀行として課せられた任務を果たすのみと。

 

主要な経済指標の発表のない中で、目を引いたのは昨年12月の米国のモノ(財)の貿易赤字が前月比で18%増え1221億ドルと過去最大に膨らんだというもの。

トランプ新政権がスタートする中で、この先の大きな注目点の一つが拡大一方の財政赤字だが、同時に貿易赤字の拡大からも目が離せない。ただし昨年12月については、トランプ政権による関税措置発動を前に、企業が在庫確保を急いだことを輸入増加は示しているのは容易に判断できる。

米国の製造業者は他国の景気が振るわず輸出が延びないことに加え、ドル高で打撃を受けており、貿易赤字は今年も高水準で継続するとみられる。

本日は米24年10~12月期GDP速報値が発表される。市場予想は前期比年率2.6%になっている。

GDPは貿易赤字が増えることがマイナス要因となる。FRB傘下の地区連銀のひとつアトランタ連銀の経済予測モデル「GDP・Now」では10~12月期GDPでは0.6%程度押し下げるとしている。29日はフロントページのチャートにあるように3.2%予想から2.3%と市場予想より引き下げた。

さて今夜の発表はどうなるか。 米国の貿易は赤字が続き前期まで3四半期連続でGDPを押し下げてきた。このことはぜひ覚えておこう。

 

なおNY金は、中心となる取引(限月)が2月物から4月物に移行する。その際に(簡単に表現すれば)4月物は2カ月分の金利相当分が乗っている関係で(足元では)2800ドル台の水準に跳ね上がる。

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