亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金大幅続落、1週間で100トン余り買いを増やしていたファンド」

2024年07月22日 22時05分22秒 | 金市場

先週木曜日から九州出張中にて久々の更新に。

 

まず日本時間本日22日の早朝にバイデン大統領が選挙戦からの撤退を発表。

自身は候補者としてハリス副大統領を指名したとされ、民主党全国大会にて正式決定される。米政治リスクは地政学リスクの範疇に入り、年初から米政治分断リスクが24年リスク項目のトップに位置付けられてきた。しかし、表面化は年後半の見られたが、すでに年後半に入っているのだった。政治リスクは数値化できないゆえにプログラムが組みにくく、ファンドには苦手分野と言える。

 

先週末7月19日のNY市場の金価格は大幅続落となった。主要な経済指標の発表もなく、手掛かり材料は週を通して続いて来たFRB高官の発言内容ぐらいだった。

ところが、米東部時間の18日夕刻から19日を通し米国からアジア、欧州にかけてシステム障害が連鎖的に発生。実際にNY金は時間外の19日のアジア時間からロンドン午前、NY早朝に掛けてほぼ取引が中断する事態になった。リアルタイムで動く19日大阪取引所の金先物価格も海外価格に値動きがないことから、ドル円相場の値動きにそって小動きに始終して終了。

 

前日18日の時間外取引が2447.90ドルと節目の2450ドル割れとなっていたNY金は、2448.00ドルで取引を開始したものの、中断を挟みNY時間早朝に再開した時は、一昨日(17日)後半から続く利益確定の売りが膨らみ、2420ドル割れとなった。その後も売りが先行する流れが続き、株式市場が開き警戒感から売り先行となり下げが加速。このリスク・オフ・ムードの中で金市場も売り優勢の流れが続き、2400ドル割れを見ることになった。そのまま通常取引は前日比57.30ドル安の2399.10ドルで終了した。

その後の時間外取引は、売りは一巡したものの、上値は重く2402.80ドルで終了。

 

NY時間17日午前の講演にて利下げに関しタカ派と目されてきたウォラーFRB理事によるハト派発言。有力理事の見解を受け9月利下げ転換をフルに織り込み最高値を更新(2488.40ドル)したものの、その後の反落。そして大きめ調整安。

背景は大きく買いついたファンドの利益確定の売り、さらに急落後の手じまい売りの結果といえる。

先週末米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、7月17日時点でのNY金のファンドのポジションは、CTA(商品投資顧問)など短期筋がネット685トンの買いで前週比89トンの増加。その他を含む全体ではネット897トンで前週比103トンの買いと、大幅に買い建てロング)を増やしたことで最高値の更新に至ったことが判明した。 7月10日時点のNY金の終値が2367.90ドル。1週間後の17日が2467.80ドルでこの間に99.90ドルの上昇だが、背景に大幅なロングの増加があったわけだ。

ただし、買いの手掛かり材料はFRBによる9月利下げ観測であり、タイミングとしては株式など金融市場で見られた「トランプ・トレード」と呼ばれるトランプ2次政権発足を読んだトレードと一部重なったこともあった。

 

ただ、最高値更新となったのはいいものの、「さて?この上は誰が買うの?」という典型的な投機的攻勢による高値警戒感の台頭。追随買いなく反落ということに。

下がり始めると「トレンドフォロー型」で流れに沿って(プログラムが判断し)行動することから、一転投げ売りで値を崩すパターンとなっている。何か事件事故が発生し急騰急落するイベント型の上下動に似た動きと言える。ドル指数(DXY)や米長期金利の動きと連動しない、金市場の内部要因主導型の下げと言える。

要は一時的な買われ過ぎの解消というパターン。

その後の出来高から考えて、手じまい売りによるポジションの巻き戻しが起きているとみられる。

 

ただし、週末の6月の米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)あるいは前日の4-6月期米実質GDP速報値辺りまで売り優勢の流れが続くとみられる。

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1 コメント

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暑いよ~ (故人のムスコ)
2024-07-23 11:13:46
というわけで、暑さで爺、脳細胞が・・・
思い出すのは、「杜子春」のお話。
仙人様に言われた通り、門のそばを掘ったら車一杯の金が出てきた・・・だったっけ。
金は50liter強で1トンあるから、車一杯分掘り出すのは杜子春はプロレスラーみたいな奴だったのかな。
第一その車にしても、普通の大八車では無理で、10トントラックみたいなものが必要。
さてその辺は解決して、杜子春は貴金属商に金塊をもちこみました。
と、早速警察と税務署の手入れがあり、密輸容疑で尋問を受け、取得価格不明のためたっぷり税金をとられました。杜子春はつましくくらしました。
なおかの門は、皆が周囲を掘り返して基礎から倒れてしまったとのことです。

(すいません)
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