連休明け1月21日のNY金は反発した。
20日に就任したトランプ米大統領は、選挙戦時の発言などから就任初日のいわゆる「Day1」にでも世界一律関税や中国などへの追加関税の即時発動などが警戒されていたが、具体策を打ち出すことはなかった。もともと選挙用のトークとして本人は気にもしてないのだろう。
気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」と世界保健機関「WHO」からの離脱の決定など、まずは前政権の政策の否定からスタートした。ただし報じられたようにその後、早ければ2月1日にもカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すことを検討していると述べたことは為替市場などで乱高下をもたらした。
関税を巡る攻撃的とも言える発言を予測する向きもいた中で、内容的には比較的落ち着いたスタートに、米長期金利は低下。10年債利回りは一時4.532%と昨年12月下旬以来の水準まで切り下げた
金市場はこの展開を受けNY時間外のアジアさらにロンドン午前からNYの午前の中盤までマイナス圏で推移し、一時2722.70ドルまで下値を見た。ただし、昼前から買い優勢に転じ一時2762.00ドルと24年11月1日以来約2カ月半ぶりの高値を付けた。終盤に向けても買いが先行し前日比10.50ドル高の2758.70ドルで終了した。
21日はドル円が上下に振れ、154.79~156.25円と振れ幅が拡大したことから、本日午前の段階で国内円建て価格は、24年10月末に付けた過去最高値に接近する動きを見せていたが、午後になり大阪取引所のJPX金は1万2860円まで買われ最高値を更新。NY金が時間外で2770ドル台まで買われたことで、夜間取引にて日本時間19時までの時点で1万3873円まで上値を伸ばしている。
この分だと明日は、税込みで表示される国内店頭小売価格も1万5000円台で最高値を更新する可能性がありそうだ。
昨年末以来続く米長期金利の上昇とドル高にもかかわらず2700ドル超の堅調展開を維持して来たが、トランプ新政権がスタートしてなおその傾向が続いている。同政権が打ち出す経済政策を巡っては不透明感が強く、まずは目先の具体的な買い手掛かり材料を見つけにくいのは確かだ。
しかし、だからと言ってゴールドは売りなのかというと安全資産として保有するのが得策と判断する投資家が多いとみられる。
一方で、新政権が打ち出そうとしている政策の多くが、インフレ刺激的とみられることと、すでにひっ迫気味の財政へのプレッシャーを高めるとみられていることは、先行きの買い手掛かりの浮上を予見させるものでもある。
欧米投資銀行のプライベートバンキング(富裕層相手の)部門では、米財政赤字急拡大懸念に対するヘッジとしてゴールドの保有を薦める動きがある。
もっとも、米新政権の動きは始まったばかりであり、頻発され話題の大統領令を含め当面、影響力のある政策の具体策の登場には要注意といえる。
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