連邦公開市場委員会(FOMC)は、特にサプライズのない結果となった。波乱を起こさないように慎重にが、FRBのスタンスでもあるのでその線に沿った流れというべきか。声明文には昨日取り上げた、“relatively soon(比較的早く)”という表現も用いられ、9月にはFRB手持ちの債券で償還分(=満期分)からの乗り換え金額を段階的に減らす政策(バランスシートの縮小)が発表されるのは、ほぼ決定といえる。ただし、そこまでに2ヵ月近くあり、その間に市場に波乱がなければという条件付きではある。
このところ下振れ傾向のインフレについては、現況を下方修正、見通しは強気のままということになった。つまりインフレの減速は、一時的との見方は変えていない。市場は、現況の下方修正に反応しハト派的と受け止め、債券は買われ金利は低下、ドルは全面安となり、金市場では思惑外れのファンドがショート(売り建て)の買戻し(カバー)に走ったことで1260ドル台に乗せることになった。もともと12月の利上げを読んでいる市場だが、現況の下方修正は9月の利上げが消えたことを意味し、米金融政策の材料性はやや後退することから、当面金は政治リスクや地政学的要因に反応しやすくなりそうだ。