トランプ米政権の関税を巡る先行き不透明感に加え、米中の貿易戦争(報復関税合戦)への懸念を背景に逃避需要が金価格を押し上げた。
4日のNY金は前日比18.70ドル高の2875.80ドルで終了した。一時2877.10ドルまで付け、取引時間中、終値ともに連日で過去最高値を更新した。本日5日も騰勢止まずここまでのところ新値街道を走っている。
トランプ米政権は4日、合成麻薬フェンタニルの米国への流入が続いているとして、中国からの輸入品に10%の追加関税を発動。中国政府は対抗措置として、米国からの一部輸入品に最大15%の追加関税を課すと発表した。実施は今月10日付で具体的には米国から輸入する石炭や天然ガスなどに15%、原油や農業機械、排気量の大きな自動車などに10%の関税を上乗せする。他にも、タングステンなど重要鉱物への輸出規制強化などが含まれる。
関税対象の輸入金額も140億ドル(約2兆1700億円)相当と、米国側が標的にする中国製品の規模と比べてごくわずかにとどめたとされる。中国サイドは発動を10日とし対象品目も絞り込むなど、話し合いの余地を残しているのは、第1次トランプ政権時代の学習効果ということのようだ。
もちろん不動産バブルの崩壊で景気が落ちており、余裕がないこともある。米国サイドはそれを見越してすぐに協議に応じずプレッシャーを掛けているようにも見える。
こうした中でNY金は、前日3日と同様時間外のアジアからロンドンの時間帯に売りが先行し、一時2837.40ドルを付けこれが安値になった。このところアジアの午前に売りが目立つが、時間帯から中国勢の売りの可能性がありそうだ。本日5日も下げ幅は浅かったもののアジア午前にここまでの安値(2870.10)を付けている。
このところNY時間に入り買いが膨らむ傾向が続いており、今週に入って昨日までも同じだった。
4日はNY早朝から買い優勢に転じ早々に2860ドルを超えると、前日に付けていた最高値を更新。その後も利益確定の売りを消化し、終盤にかけても2870ドル台の高水準を維持して終了した。
本日は、アジア午後の時間帯からジワジワ水準を切り上げ、4日に付けた最高値2877.10ドルを抜くとそのまま新値街道をひた走り、ここまでのところロンドン午前に2901.50ドルとついに2900ドル超に。
モメンタム相場となっている。
本日、日本時間15時に発表されたワールド・ゴールド・カウンシルの第4四半期及び2024年FullYearのデータでは、注目の新興国中央銀行の買いは、1045トンと3年連続で1000トン超となっていた。
発表が予定より遅れていたので何かあるのかと思い、中銀データであろうと目星をつけていたが、その通りだった。
重量トン数で前年並みということは、金額ベースでは20%以上増えていることになる。
本日の2900ドル突破は、このデータが買いの背中を押している。