亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

480ドル突破

2005年11月17日 15時13分33秒 | 金市場
(14:35)さて昨夜のNYコメックス(NY商品取引所)、スポット市場(現物)ともに結局は10ドル以上の上昇となり、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の株式市況欄まで「金価格がテロ攻撃のあった2001年9月11日直後以来ドル建て価格でみて最大の上げ幅を見せた。米国債価格は急騰。GMがザラバで18年ぶりの安値。銅過去最高値、原油上昇、銀上伸」との書き出しで始まるくらい注目度の高い結果となった。それを受けた足元のアジア市場でも更に強含みで推移しておりスポットで480ドルを突破して年初来高値を更新している。そしてこの高値は「18年ぶりの高値」と同義語。新値を抜くときは、あっさりとしたもんだ。

・・・で、何があったのかというと、以下のようなことだろう。

ファンド勢は、WTI原油がお休みで(相場が止まってしまい)手持ち無沙汰ゆえに需給と値動きの良さでこのところ定評のカッパー(銅)やアルミを買ったら案の定、動きがよかった。カッパーなど中国公的機関のトレーダーが大量のショート(空売り玉)の評価損拡大を苦にして失踪中との話まであって、大騒ぎになっている様子。そうした産業メタルの動きに乗じる形で排気ガス処理触媒需要が高まっているプラチナを延長線上で手がけたらこれまた動きが良かった。こちらは需給データが発表される予定になっていた11月16日にターゲットを絞って煽る向きもあり派手な値動きとなったとみられる。いずれにしてもメタル市場全体が騒がしくなっていた。まあこの辺りは、昨日の続きのような話。そこで動きの乏しかった金市場の割安感が醸成されていたが、こちらは高水準のファンドの買い越し残もあって手を付けにくかった。ところが祭日の関係で週明け14日月曜日に発表されたファンドの残は382トン。思った以上に整理が進んでおり、こちらも動き始めると買いが買いを呼ぶ展開となった。それが昨夜のNYは相場展開を読む上での節目となる価格を突破するたびに、さらにテクニカルな売買(チャート分析を判断材料とした売買)を巻き込む形で上伸した・・・となる。

つまり、前日、あるいは前々日の状況と何も変わっていない。

変わったのは市場参加者(投資家)の見方(センチメント)である。以前下げ局面で書いたことがあるが、上げ局面でも大きな材料が無いにもかかわらず参加者の総意でかくも価格は動いてしまうものなんだね。注意すべきは、こうした動きも次につながるということ、これで上値で“しこっていた(高値づかみで身動きが取れなくなっていた)”取引が解れることになるので、今後の値動きが良くなることも考えられる。

ところで昨晩のNY株式市場でGMが一時20.90ドルまで売られている。1987年11月以来の安値・・・ということは経営危機に揺れた90年代初めの価格をも下回っているわけだ。この春に大物投資家のカーク・カーコリアンが買い集めた時の株価は確か31ドルくらいだったので、カーコリアンも大きな評価損を抱えているのだろう。GMはやはり年明け後の材料になりそう。おそらく金融子会社GMACを分離することで再生を図ろうとするのだろう。
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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2005-11-18 20:44:13
はじめまして。



明日は大阪で講演されるんですよね。

拝聴させて頂く予定です。



楽しみしています。
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