「JOIN INN」を聴く。
このバンドの「SCHWINGUNGEN」は持っていたけど、こっちの方がずっといい。ジミ・ヘンドリックス、グレイトフル・デッド、裸のラリーズに匹敵するサイケの傑作だ。
スピーカーから流れる音が、こっち側の空気までどんどん変色させていってしまう。ギターにディレイをかけつつ同じフレーズを何度も畳みかけるマニュエル・ゲッチングの技が強烈な1曲目。当時の彼が追いかけていたジミ・ヘンを、一瞬だが超えたようにも思える。今では電子音楽の巨匠のイメージが強いクラウス・シュルツェのドラムも、ゲッチングのプレーによく反応している。そして、ゲッチングのギターなのか、シュルツェのキー・ボードなのか判然としないが、叙情的な音の波が果てしなく寄せては返す2曲目。このまま音と一体化して、ずっと漂っていたくなるような、至福の時間だ。
ジャーマン・プログレの枠を超えた名盤だと思う。数年前、キング・レコードからアシュラの初期のアルバムがまとめて発売された時に、これだけが洩れたのが不可解だ。さらに付け加えるなら、これの次に出たポップな「STARRING ROSI」を続けて聴くといい。そうしないと、もとに戻れなくなっちゃうかも。