神は全能か。
答えは、ノーにゃ。神は、ユダヤ人の裏切りを止めることができない。結局、ユダヤ人の意志任せなのにゃ。
神は、預言者モーセを通してユダヤ人に明るい未来を約束しつつ、呪いをかける。もしも自分の命令に逆らえば、「 疫病を送る。婚約者を他の男に寝取らせる。あなたをあなたの王と共に知らない国に行かせる・・・等々 」( 申命記28 )。
また、こうも言う。「 この民は入っていく土地で外国の神々を求めて姦淫を行い、私を捨てて、契約を破るであろう 」 ( 申命記31、16 )。
つまり、最初からユダヤ人の裏切りを予想しつつ、それをどうすることもできないのだ。
( 「 申命記 」 のこの記述はいつ書かれたものなのか。「 バビロン捕囚 」 後なのではないか、という議論は置いておく。少なくとも作者はこのように神を描写していて、それが現代まで残っている。 )
ユダヤ人はカナン地方を征服するが、先住民を皆殺しにはできなかった。これは、命令違反だ。神は 「 現地の七つの民を滅ぼし尽くせ 」 と命じていたのだ ( 申命記7 )。ユダヤ人は逆にカナンの文化に影響され、偶像崇拝を行うようになる。これは、カナン地方の神バアルの加護によるものではなかったか。さらに・・・。
後にユダヤ人は、アッシリアやバビロニアによって征服されるのだが、それはアッシリアのアッシュル、バビロニアのマルドゥクの方が、エホバの神よりも有能だったからではないか。
にもかかわらず、今日、バアルやアッシュル、マルドゥクを崇拝する人間はほとんどいないだろう。エホバの神の天下だ。それはなぜか。ローマ帝国がキリスト教を国教とし、ルターが旧約聖書の再評価を行ったから。すべては、神ではなく、人間の力によるものなのだ。