列王記上11,5~7。 ソロモンは、シドン人の女神アシュトレト、アンモン人の憎むべき神ミルコムに従った。ソロモンは主の目に悪とされることを行い、父ダビデのようには主に従い通さなかった。そのころ、ソロモンは、モアブ人の憎むべき神ケモシュのために、エルサレムの東の山に聖なる高台を築いた。アンモン人の憎むべき神モレクのためにもそうした。
英文は He worshiped Astrate, the goddes of Sidon, and Molech, the disgusting god of Ammon. He sinned against the LORD and was not true to him as his father David had been. On the mountain east of Jerusalem he built a place to worship Chemosh, the disgusting god of Moab, and a place to worship Molech, the disgusting god of Ammon.
ソロモンは、ユダヤ教を世界宗教に発展させようとした。彼は言う。「異国人がエルサレムの神殿に来て祈るなら、かなえてください。」(列王記8、41~43) 異国の神々に従ったのも、彼らとエホバの神を統合しようとしたからだろう。だがこれは、エホバの神が許さなかった。
アンモン人の神ミルコム、モレクは、英語版ではどちらも Molech だ。おそらく同一の神なのだろう。「アンモン人の神、ミルコムとモレク」という表現が聖書には出てこないことからもわかる。常に、ミルコムかモレクのどちらか一方だ。つまり、アンモン人の宗教は一神教だった。モアブ人にしてもそうだ。彼らはアブラハムの甥ロトの子孫で、ユダヤ人とは近縁だ。神も、エホバの神に近い属性を持っていたのではないか。
さらに、ヤコブの双子の兄エサウの子孫であるエドム人の神については、聖書は何も触れていない。彼らはユダヤ人と同様、エホバの神を崇拝していたのではないか。これらの民族を、エホバの神によって統合しようというソロモンの計画は、それほど荒唐無稽なものではなかったように思える。
アシュトレトについては・・・。「創世記の神はバアルとアシュトレトで、出エジプト記以降、エホバの神に入れ替わった」と、本ブログは主張している。ソロモンも、多神教と一神教の差異は絶対的なものではないと考えたのではないかにゃ。聖職者や宗教学者よりも、一般信徒がどう考えるかが重要で、ソロモンは彼らの支持を得られるだろうと思ったのにゃ。