リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Flow my teares の日本語訳(18)最終回・まとめ

2020年05月09日 22時00分46秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
Flow my tearesの歌詞の日本語訳まとめです。18回も引っ張りましたが、最初からここだけ掲載すればよかったわけですね。(笑)こういった古い曲の訳はきっと偉い方が翻訳しているから間違いないと思い込みがあるようで、少々変でも誰も疑わないようです。ある意味思考停止してしまって、変だとも思わないみたいです。でも「流れよ我が涙、滝のように流れ落ちよ」みたいな訳ってよく考えるととても変ですよね。涙がなんで「滝」みたいになんねん?こういった状況に一石を投じようと始めた翻訳でした。

訳に際してはひとつひとつの語義、文法をできるだけ丁寧に吟味して、原詩を忠実に日本語になおすことを心掛けました。どうしてそういう訳になったのかを説明しながら進めて行ったので、18回の長期連載になってしまいました。

リュートソングは詩の内容、ことばの発音、音楽が一体となったものです。それらのどれひとつもおろそかにしてはいけません。特に日本人の場合、英語のネイティブでないため、内容や英語の発音をおろそかになりがちです。また機会があったら別の曲についても日本語訳をしてみたいですが、とりあえず次に書いてみたいのは発音についてです。近々掲載しますので、ご期待ください。

Flow my teares fall from your springs,
流れよ私の涙、汝の泉より溢れ落ちよ!
Exilde for ever; Let mee morn
永久に追われてしまった、私の嘆きを許されよ
where nights black bird hir sad infamy sings,
夜になると黒き鳥が悲しく悪業を歌うところで
there let mee live forlorne
私をこのままはかなく生かしておくれ

(第1部前半繰り返し)
Downe vaine lights shine you no more,
暗くなれ空ろな光よ、もうこれ以上明るくならないで!
No nights are dark enough
どんな夜であっても暗いとは言えない
for those that in dispaire their last fortunes deplore,
絶望の中にあって運命の末期を嘆く者にとっては 
lights doth but shame disclose
光は恥辱を露わにするだけだ

(第2部前半)
Never may my woes be relieved,
私の悲しみは和らぐことはない、
since pittie is fled
なぜなら哀れんでもらうことはもうなくなり
and tears, and sighes, and grones my wearie dayes
涙と溜息と呻吟の日々で疲れ果て
of all joyes have deprived
全ての喜びが奪われてしまったから

(第2部繰り返し)
From the highest spire of contentment,
最も満たされた幸せの絶頂から
My fortune is throwne,
私の人生は転げ落ちてしまった
And feare, and griefe, and paine for my deserts,
当然の報いとして恐れと嘆きと痛みしか
are my hopes since hope is gone
もう残されていない、希望は去ってしまったから

(第3部)
Harke you shadowes that in darcknesse dwell
聞け!暗闇に住まう亡者たちよ
learne to contemne light,
汝らは光を侮蔑するがいい
Happie they that in hell feele not the worlds despite
地獄にあってこの世の恥辱を覚えぬ者は、それで幸せなのだから