リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Flow my teares の日本語訳(14)

2020年05月04日 22時31分32秒 | 音楽系
前回の訳ですが、「私の人生は投げ落とされた」を「私の人生は転げ落ちてしまった」に訂正します。英語のthrowのニュアンスが訳にあまり反映されてない感じもしますが、こっちの方が日本語として自然な感じです。

さて、

第2部の後半(繰り返し部)のつづきです。

And feare, and griefe, and paine for my deserts,
are my hopes since hope is gone

desertという語は「砂漠」という意味で覚えた方も多いと思いますが、ここではdesertsのように複数形で用いて「当然の報い」という意味があります。1行目のdesertsはこの意味です。

アクセントは「砂漠」の場合は、第一音節ですが、「当然の報い」の場合は第二音節になります。ちなみに食後のデザートはdessertで s がひとつ多いです。

1回目と同じパターンで、長い主語にさらにfor my desertsという形容詞句が続き、またさらに実際の歌ではこのfor my desertsが2回繰り返されます。ひっぱりまくった挙げ句、それがmy hopesだと言うのです。

「恐れ」「嘆き」「痛み」がそもそもhope「望み」であるがありません。自嘲気味に言っているのでしょう。since 以下はその理由です。

この2行を以下の様に訳してみました。

当然の報いとして、恐れと嘆きと痛みしか
もう残されていない、希望は去ってしまったのだから