リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

主よ、人の望みの喜びよ(3)

2020年05月19日 23時59分05秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
なかなかいい歌詞で音楽によくあっていると思いますが、原詩とはかなり異なる内容ではあります。それで、なぜか誰かが(多分どっかのレコード会社の方か音楽評論家の方でしょう)いつ頃かは知りませんが、英語のタイトルを見て、適当に日本語に直したのでしょう。

Jesu (主よ)、joy of man (人の望み)'s (の)desiring (喜び)+(よ)ってやっただけの訳ですから、算数で1/2+1/3=2/5とやる小学生とそう変わりません。
でも悪いことに、この迷訳がすっかり浸透してしまいました。偉大なるバッハの作品であり、宗教曲でもあるので、曲名に関しては思考停止してしまって疑問に思うことはなく、ずっと来てしまったのでしょう。

ちなみに、この部分を忠実に英語になおしますと次のようになります。(ウィキ)

(独)
Jesus bleibet meine Freude,
meines Herzens Trost und Saft,

(英)
Jesus remains my joy,
my heart's comfort and essence,

面白いことに、ある翻訳アプリで1行目を英語に翻訳しようと、Jesus beleibet meine Freudまで入力していきますと、順次Jesus, remain my joyと英訳がでてきますが、最後の Freude の e を入力しると、とたんに訳がぱっと変わり「Jesu, Joy of Man's Desiring」になります。これって文化的な翻訳であってもことばの翻訳ではないですよね。間違っていても定着してしまったものが正しい。悪貨は良貨を駆逐する。AIというのはこういうものなんですね。