リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

近所のギター製作家のところに

2021年01月05日 21時29分45秒 | 音楽系
昨年末に届きましたLars Joennsonのルネサンス・リュートの塗装で少し傷んでいるところがありましたので、愛知県某所の某ギター製作家のところに相談に行きました。

傷んでいたところはリブの部分で、運送途中で少し温度が高いところに留め置かれたと思われ、内装の布の跡が少しついてしまいました。スウェーデンからどういうルートで来たのかよくわかりませんが、コロナやクリスマスでいつもとは異なるルートを経て来たのかも知れません。3年前に私の楽器を送ってもらったときは問題なかったのですが。

Larsに尋ねましたら、アルコール性で顔料を入れたセラックニスで重ね塗りをしたとのこと。厚手のセラックニスは完全に乾き切るのに2年近くかかります。もちろん塗装後数日もすれば手で触ってもケースに入れても表面がベタつくことはなくなります。ところが温度が30度くらいより上になると表面が柔らかくなり、一定時間触れている部分があるとそこが傷みます。こういう状態がなくなるのが2年くらいはかかるという意味です。それまでは演奏時に体に当たる部分や普段の保管法に注意が必要です。

こういう塗装は最高級の塗装ですが、某製作家氏によると、注文主によっては塗装がよごれたといって文句を言われることがあるそうです。まぁそういう人は安い合成ラッカーで塗装された安い楽器で十分なんでしょう。

さて某製作氏は状態を見たり触ったりした後で、「ちょっとやってみましょう」といって早速作業を始めました。



10分くらい作業を見ていましたが、みるみる綺麗になって行きました。作業に使った布を見ていますと少し色がついているところから、実際には塗装を少し落としていますが、色目的には全くといっていいほど変化はありません。作業すべきところがもう少しありましたし、乾燥するまでに時間が必要ですので、楽器を預けておくことにしました。