リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Easy Baroque Pieces (6)

2021年01月10日 13時17分47秒 | 音楽系
フランスの時代以降のバロック・リュートのソースは、どちらかというとヨーロッパの中央部から東部の方に多いですが、西部のフランドルにもいいのがあります。

王立音楽院や王立図書館に所蔵されている一連のコレクションがそれです。Fetis Collection MS2913, MS2914 あるいは MS II 4087, 同4086などです。これらの中にはハイドンの「カッサシオーナ ハ長調」とかクロップフガンツの華麗な「協奏的三重奏曲 ハ短調」といった室内楽曲も含まれていて、かなりハイレベルは曲が多く見られます。

でも丹念に探してみるといいのがあります。それがMS II 4089にありますブローム作曲ニ短調のパルティータです。それから「モデラート」と「フィナーレ」を選んでみました。★3つです。ブロームは18世紀に活躍した人ですが詳しいことは分かっていません。ヴァイスよりあとの世代の人だと思われますが、作風は割と保守的で少しギャラント味がするかなというところです。

実はブロームの曲は私の教則本の中で2曲使わさせていただいています。それらよりこの「モデラート」と「フィナーレ」は長く少し難しいですが、中級レベルで十分余裕を持って演奏できる曲です。パルティータ ニ短調はこれらの2曲以外にメヌエット1,2(ダカーポします)とポロネーズがあります。パルティータ全曲では10分は優に超える「大曲」ですが、比較的易しい技術の曲で長い曲をまとめて弾くのもとても勉強になると思います。