バロック時代のパート譜からスコアを作る時に私がまず最初にすることは、それぞれのパート譜に5小節おきくらいの小節線番号をつけることです。そうしておくと間違いのチェックが簡単にできますし、そもそも間違って入力することがぐっと減ります。
ところがルネサンス時代の声楽曲は小節線が書かれていないので、スコアを作る時に注意深く行うことが必要です。スコアにしてエラーが見つかった時に、そのエラーがどこにあったのかを探すのはなかなか大変です。
でも慎重に書いて完成させたとしても、それだけでは実は演奏譜にはならないのです。15世紀から16世紀始めにかけての声楽曲は臨時記号は原則としてついていません。今回のPerche non date voi donna crudeleでもいくつかの音符には♭がつけられていますが、それら以外に♭や#を付ける必要があります。それらを見極めるのが極めて重要です。これらの楽譜には表示されていない半音変化した音をムジカ・フィクタと言います。フィクタというのは英語のフィクションと同じ語源を持つラテン語です。
どういう原則で臨時記号を付けていくのかというと、まずテノールの旋律にカデンツ※がある場所(赤で囲んだ箇所)のカントゥスは#音(半音上げる)を含む装飾的な音型(装飾的でなくてもいい)で歌うということです。(矢印の箇所)楽曲の節目節目にはカデンツがあります。カデンツがあった所で一区切りがあり、また次の区切りへと進んでいくわけです。

よく似たハーモニーの流れがあってもテノール(あるいは他のパート)にカデンツが見られない箇所にあってはムジカ・フィクタはありません。
別の原則では、旋律的な流れで、例えばドリア音階なのかそうでないのかと見ることによって半音の変化が生じます。
※カデンツ:中世ルネサンス声楽曲の建付けは定旋律のテノールがまずあり、それにカントゥス、アルトゥス、バッススを作曲していくという方法を取っていました。定旋律とは当時知られていた旋律のことですが、作曲者が書くいわば「自分定旋律」もありました。その定旋律の区切りは、主音の長二度上から主音に入ることで表されます。その部分がカデンツです。
次回につづく。次回は最終回、何と新発見!?の発表です。
ところがルネサンス時代の声楽曲は小節線が書かれていないので、スコアを作る時に注意深く行うことが必要です。スコアにしてエラーが見つかった時に、そのエラーがどこにあったのかを探すのはなかなか大変です。
でも慎重に書いて完成させたとしても、それだけでは実は演奏譜にはならないのです。15世紀から16世紀始めにかけての声楽曲は臨時記号は原則としてついていません。今回のPerche non date voi donna crudeleでもいくつかの音符には♭がつけられていますが、それら以外に♭や#を付ける必要があります。それらを見極めるのが極めて重要です。これらの楽譜には表示されていない半音変化した音をムジカ・フィクタと言います。フィクタというのは英語のフィクションと同じ語源を持つラテン語です。
どういう原則で臨時記号を付けていくのかというと、まずテノールの旋律にカデンツ※がある場所(赤で囲んだ箇所)のカントゥスは#音(半音上げる)を含む装飾的な音型(装飾的でなくてもいい)で歌うということです。(矢印の箇所)楽曲の節目節目にはカデンツがあります。カデンツがあった所で一区切りがあり、また次の区切りへと進んでいくわけです。

よく似たハーモニーの流れがあってもテノール(あるいは他のパート)にカデンツが見られない箇所にあってはムジカ・フィクタはありません。
別の原則では、旋律的な流れで、例えばドリア音階なのかそうでないのかと見ることによって半音の変化が生じます。
※カデンツ:中世ルネサンス声楽曲の建付けは定旋律のテノールがまずあり、それにカントゥス、アルトゥス、バッススを作曲していくという方法を取っていました。定旋律とは当時知られていた旋律のことですが、作曲者が書くいわば「自分定旋律」もありました。その定旋律の区切りは、主音の長二度上から主音に入ることで表されます。その部分がカデンツです。
次回につづく。次回は最終回、何と新発見!?の発表です。