リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プレリュード・フーガ・アレグロのヘ長調編曲(17)

2022年05月05日 20時19分55秒 | 音楽系
アレグロの解題その4



49~56小節のフレーズはバスの動きが多くて難しそうなところですが、この運指とポジションを守って弾けばそれほどのことはないと思います。54小節目の2拍目のバス D は1オクターブ下げて10コースで弾いた方がいいでしょう。また54,54小節のバスのオクターブだけ弾く箇所はジャンプしてオクターブだけ弾くのは結構難しいので、バス弦も一緒にひいてもそれほど違和感はないと思います。

58、58小節のスラーは書き間違いです。スラーでくくる音はそれぞれ3つ目と4つ目(fis-g)です。

2声に分かれるような感じのフレーズが、これまでもまたこれからも一杯出てきますが、完全に2声に分けてしまうととても不自然です。かといってまったく一本のラインだけで弾いてしまうのもこれまた不自然。まるでリュートで弾いているかのように(実際リュートで弾くのですが)適切に音を重ねながら弾くのが重要です。例えば60小節-64小節とか73-78小節がそういったところです。この適切に音を重ねる、というのは具体的にはどうするのかはとても文では書ききれませんので省略します。これらの当該箇所の左右運指は、こういったことが実現されるべく付けられています。73ー79小節(次回分ですが)のフレーズはこの曲随一の難所でしょう。でも然るべき左指の柔軟さ、敏捷さ、力強さで、ここに記された左右の運指を守って弾けば必ず弾けます。