リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

フェイク

2022年05月11日 12時04分13秒 | 日々のこと
フェイクとはでっちあげのことですが、よの中はフェイクで一杯でよほど注意しないと正しい判断はできなくなります。騙されていることも気づかないまま過ぎてしまいます。ロシアのウクライナ侵略に関するロシア政府側の報道姿勢は間違いなくフェイクに満ちている感じがします。ウクライナ側からとロシア側からの両方のニュースを見るとそう思います。日本のメディアもこの件に関しては概ね正しい方向を向いていると思います。

でもメディアというのはなかなか曲者です。最近だとEV(BEV)イチ押しみたいな論調はメディアがこぞって国民をあおっている感じがします。「EVシフトの危険な未来」(藤村俊夫著、日経BP)を読みますと私のEVイチ押しはおかしいというシロウト判断にきちんと理由付けを与えてくれます。「ほれみぃー、やっぱりな」って感じです。(笑)

この本には現実を考えたら欧州委員会主導のEVシフトは早晩行き詰まるだろう、という主張とその具体的な理由がきちんと述べられています。そして中国はすでにHEV(ハイブリッド)も認める方向に転換していてEVとのことです。これは少し前の新聞報道で読みました。このことをきちんと報道はしていますが、マスコミは世の中EVに早く転換しないとえらいことになるというスタンスを取っています。他のメディアも同様ですね。

フェイクを流して世間誘導をするということで古いところだと、反ゆとり教育キャンペーンがありました。2003年度から新しい学習指導要領(現行の前の前です)に切り替わる頃から、あおっていました。曰く、円周率を3.14ではなく3と教えるようになった!、中学英語の必修単語がたったの100語になった!、これだけ内容が減ったら学力低下必至!などなど。

学習指導要領をきちんと読めば円周率は3であると教えよとはどこにも書いていないし、中学英語の必修単語が100語になったとも書いてありません。不正確な情報を元に世間をあおっているだけでした。正論をおっしゃっている方もいましたが、悪貨は良貨を駆逐するかのように、いい加減な評論家の意見をマスコミは流し世間を誘導しました。ゆとり教育はペケ、1998年告示、2003年実施(小中学校)の指導要領もペケということが定説になっています、残念ながら。

私は1998年12月に告示された学習指導要領(外国語)の作成に関わりましたが、告示された翌日朝のニュースを車の中で聞き愕然としたものです。もっともこの学習指導要領が完璧だったとは思っていません。一番問題だったと思うのは「総合的学習の時間」の導入です。この理念を達成しようと思うと当時の現場の力量、人数では到底無理なのは始めからわかっていました。話が長くなるので詳しくは書きませんがこれが一番問題なのは明らかだと思います。でもこの肝心な点に関してはマスコミはだんまりです。

こちらとしては全ての分野に精通しているわけではないのでマスコミのフェイク度について全て自力で判断できかねますが、少なくとも全ての報道についてまず眉にツバをつけてから読み聞きするべきではと思っています。