リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プレリュード・フーガ・アレグロのヘ長調編曲(20)

2022年05月18日 16時47分46秒 | 音楽系
プレリュードの後半です。



前回のプレリュードの前半で書き間違えたところがあるので訂正です。

23小節目の4つ目の音(f)は1コースの開放弦です。
30小節目の3つ目の音(e)は2弦で出します。

それから今回の分で36小節目の最初音(上声部)の左手指は2の方がいいと思います。いろいろ選択肢はありますが・・・この小節の最後の上声部は指を3に替える必要があります。

36の後半から38小節の前半にかけての部分はリュート曲の音型ではまず見られない形なのでとても弾きにくいところです。バスもオクターブ下げたところがあります。無理をしてオクターブ下げない方法も考えられますが、そこまでする必要はないでしょう。46小節目3拍目のバスと中間声部→4拍目のバスと中間声部)は平行5度にしました。これは主に技術的な理由からです。

この部分に関しては以前取り上げたことがありますが、自筆譜が明確でないためいろんな議論があります。旧バッハ全集では平行五度、新バッハ全集では平行五度回避になっていて、新バッハ全集が正しいのかというとそう単純に割り切れないところがあります。自筆譜の3拍目中間声部の音は修正の跡があり、修正された音は平行を回避しています。でもこの修正がバッハの手によってなされたのか後世の誰かによってなされたのかがわからないのです。自筆を科学的に鑑定すればわかる可能性はありますが、現在行方不明中なのでなんともいたしかたありません。