リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの調弦の仕方(4)

2023年09月20日 13時04分57秒 | 音楽系
リュートは現代の楽器に比べたら本当にメンドクサイですね。きれいに調弦しようと思ってもその前段階に、前回挙げたようなことが必要とは・・・でもリュートは産業革命以前に使われていた楽器です。リュートが栄えた18世紀半ば以前の人たちは当然のこととしてそれらのことを受け入れています。21世紀に生きてコンピュータを使い自動車にも乗る私たちですが、リュートを弾く限りは18世紀半ば以前に人たちがやっていたことを受け入れて共有しなくてはならないのです。リュートを弾くということはそういうことです。(まぁ、ケブラー繊維を使ったり合成樹脂弦を使えたりできる分、まだずっと楽なはずです)

さて前回の2つのことが出来ているという前提で、前段階のトレーニングとして次のことをしてみましょう。

1)ユニゾンの複弦同士を合わせる練習をする。

ジョン・ダウランドは彼の論文で、先生が生徒に指導する確認点として次のことを挙げています。「まず最初に全てのコースのペアの1本1本をユニゾンで合わせる練習をするよう生徒に指導してください」

2)メーターで合わせるのではなく、音の出るチューナーを使い音に合わせる。

ギター用のチューナーではこういうのはありませんが、K社が出しているオーケストラ用のチューナーでは音を出してその音に弦を合わせるということが可能です。これはとても重要な練習で、合わせるためには音をきちんと聴かなければなりません。こういう方法は昔の方法で音叉を使うという方法と同じですが、チューナーを使った場合自分が合わせた音をチューナーに「聴かせて」音程をフィードバックすることができます。チューナーの針がぴったりゼロのところに行けばバッチリです。結果を針で判断する以上針の動きをどう解釈するかという問題は残りますが、それでも音を聴かずにメーターだけで合わせるよりはずっと調弦のスキルは上がると思います。