リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの調弦の仕方(5)

2023年09月22日 17時43分42秒 | 音楽系
実はバロックリュートの調弦はとてもシンプルです。唯一重要なポイントは3コースと2コース間の完全4度をどう取るかだけです。これで全てが決まります。

具体的な手順(取りあえず平均律で合わせてみます。3コース2コース間は平均律=500ヘルツ):

3コースをラに合わせる
3コースの5フレットを2コースの開放に合わせる
2コースの3フレットの音を1コースの開放に合わせる
ここまでできたら、実質的にもう終わったも同然です。
あとは1~3コースの音に残りのコース全てをオクターブまたはユニゾンで合わせます。
右手の人差し指で弦をおさえ、親指と薬指で基音になる弦とと合わせるを鳴らして、左手でペグを操作するといいでしょう。

平均律は古楽っぽくない感じがするのか平均律が嫌いな人は一杯いるようですが、平均律の考え方はフレット楽器にとても合致していると思います。V.ガリレイのフロニモでは「均等な半音」について言及している記述がありますし、フローベルガーは平均律で調律していた可能性があるそうです。(音楽の音律:東川清一)

音程の微調整ができないような人が鍵盤楽器用のテンペラメントを引き合いに出したり何分の一コンマだなどとおっしゃってフレットの位置を変更し自慢げに話をするのは噴飯ものです。それは単なるファッションでしょう。そういう人に限って弦の選定も楽器の調整もできていません。もうちょっと勉強し、そして実践を重ねたいものです。